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秘密結社のお姉様!?  作者: 折上莢
かかし編
18/71

欲しくな…い


ルビーの視線を気にしながら、取り敢えず碧流の所へ行く。

碧流は棚の前でしゃがみこんでうさぎのぬいぐるみをじーっと見つめていた。


「碧流どうしたの?」

「お、お姉ちゃん…。ううん、何でもないの」


私が急に声をかけたからびっくりしたのか、気まずそうな顔をして立ち上がった。

しかし目線は、棚にあるうさぎのぬいぐるみに釘付け。


「…欲しいの?」

「う…。…違う、欲しくない…」

「いやいや、欲しいんでしょ」

「欲しくな…い」


ふるふると首を振る。

でも明らかに目は欲しがってるし…。


「いいよ、買ってあげるよ。何色がいいの?」

「い、いらない…」


何故折れない。

碧流は私が何を言おうと頑なに首を振る。

何で?


「どったの姉貴?」

「碧流がこのぬいぐるみ欲しくないって…」


碧流と私を見比べて、成る程ねぇと頷く。

そして碧流の側にしゃがみ込み、うさぎを一体手に取った。


「碧流、姉貴が買ってくれるって。選びなよ」

「い、いらない!」

「いらなくないでしょ〜。…碧流、姉貴は『お姉様』なんだから頼って良いんだよ」


無気力さんが声のトーンを変えずに碧流の頭を撫でる。

でもその目は、いつもの飄々としている時の目ではなくどこか憂いを帯びていて、悲しげな感じだった。

碧流は少し俯いた後、ゆっくりと棚に小さな手を伸ばし、薄ピンクのうさぎを手に取る。


「…これ、欲しい…」


私は、まだみんなの事を何も知らないんだなぁと、少し悲しく思いながらも碧流を連れ立ってレジへ向かった。


「五百四十円になりま〜す」


ぴったりお金を払って、袋を碧流に渡す。

碧流は、嬉しそうに目を輝かせて袋を受け取った。


「お若いですねぇ、娘さんですか?」

「はぁ!?」


棚の前にしゃがんでいたのを見ていたのだろうか。

うそ…私そんな老けて見える…?


「旦那さんもかっこよくて…羨ましいですね」

「いや旦那さん!? 違います! 私まだ高校生です!」

「…そ、そうだったんですか!? それは申し訳ございません…」

「ああ…大丈夫です…」


びっくりした…やめて欲しい…。


碧流と手を繋いで無気力さんの元へ戻ると、彼はにやにやしながら空いている方の手を握った。


「お帰り、奥さん♡」

「斬るよ」

「ガチトーンやめて姉貴のそれは冗談に聞こえない」


不意に、外から爆発音がした。

人の悲鳴も聞こえる。ガラガラとコンクリートが壊れる音も聞こえる。


「何…!?」

「…まずい。渦中に烈と千春がいる」


何だって!?

急いで店を出る。

大きく穿たれた床。一階だったから良かったものの、二階以上だったなら確実に床が落ちていたというくらい深い。

烈と千春は、穿たれた床のすぐ横にいた。

二人が見つめる先には、タートルネックのルビー。


「あの子…っ」



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