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日本 方針その4

久しぶりです。どうしても忘れずに書きました。前回の運営云々は忘れてください……次回こそやるから!

 独裁者、善良なヒトラー、歴代最強の総理




 君島彰久こと君島はそのような二つ名で呼ばれている。余程のことがない限り総理大臣であってもそのような二つ名は一つもつかない。


 しかし25年間に及ぶ独裁政権を今も尚続けており、外交や内政、人身掌握等に優れ、まさしくその二つ名の通りに行動していた。




 君島が歴代最高の総理と評される理由は米軍駐留の撤退、ロシアや中国、韓国などの領土問題解決など歴代のどの総理大臣が一つも解決出来なかったことをたった一人で解決してしまっただけではない。


 内政においては少子高齢化問題、年金問題の二つを解決させ高度経済成長期をも訪れさせた救世主となっている。


 そして外交、内政において得た支持率は留まることを知らず常に80%を超え、最高支持率は98%というぶっ飛んだことをしている。残りの2%は君島を快く思わない政治家とその支援者である。




 さてその君島だが国会にてまたもや破天荒なことを言い出した。


「つい先日、私は異世界から転移してきた地下迷宮を発見した」


「なっ──」


「また出たよ……」


 唖然とする者が多く呆れる声を出す。しかしそれでも信頼されるあたりが君島の破天荒さを物語っている。


「異世界から転移してきた地下迷宮は日本、いや世界を脅かす魔物を量産しており危険と言える。従って自衛隊やその他の組織を派遣し、地下迷宮を攻略する」


「総理、地下迷宮ってのは本当にあるんですか? それにそれが異世界だってのは証明出来るんですか?」


 騒然とする中、新人の議員が質問する。何故なら君島はこの場において冗談を言う人物であっても真実を入り混ぜており核心にもなるからだ。それを知らない新人議員が無鉄砲に質問するのは無理なかった。


「ある。今、その地域の堂島地方議員が調査しているが現在判明している部分だけ公開しよう。例の物を」


「はい!」


 君島の部下が取り出したのは10枚ほどに纏められた紙、写真とそして魔物の爪だった。




「なんだこれは……」


「地下迷宮の資料、写真、そして地下迷宮に住む魔物の身体の一部だ。これを見てもまだ信用しないというのならこれを見てもらおうか」


 君島が取り出した資料、それは学者達が地下迷宮の断層や魔物の爪を鑑定したものだった。


「その爪を鑑定した結果、地球上に在来する生物ではないと判明した。もしこの魔物が日本に侵略したら、日本の生物は魔物によって駆逐され、下手をしたら我々の日常が平時でなくなり常に非常事態となり得る。これでも自衛隊派遣を認めないというのなら私は首相を辞任する」






「そんな無責任なことが許されると思っているのか!?」


「無責任なのは貴方達だ! 私は一つ一つの政策に首をかける程責任を持ってやっている。自衛隊派遣を今やらなければどう足掻いても手遅れになる。それに対して自衛隊派遣して何もありませんでしたと言うのなら、逆にそれは地下迷宮は現状安全だと言うことがわかり、損することなどほとんどない」


「確かに……」


「地下迷宮と言うからには陸自を派遣する予定ですか?」


「現状その予定だ。本来であれば戦車などを用いて制圧するのが一番良いのだがそういう訳にも行かない。入り口が余りにも狭すぎるからだ」


「狭すぎる?」


「先ほど渡した資料の中に地下迷宮の入り口が書いてある」


 資料を捲って地下迷宮の入り口がマンホールの蓋であることを確認する。


「マンホールの蓋?」


「マンホールの蓋と言うことは人の大きさくらいの魔物しか出ない……などと侮ってはいけない。何せ異世界からやって来た地下迷宮だ。マンホールから出てこれるサイズの魔物がやがて脅威となる。そのサイズならまだいいが、それ以上のサイズとなれば銃刀法の関係上、一般人には難しく駆除が出来るのは現状、自衛隊においていない」


 難しいというだけであって不可能な訳ではない。その例が堂島であるが君島はそのことを黙っていた。


「なるほど」


「しかし自衛官と言えども完璧な訳じゃない。魔物が毒を持っていた場合の身体の生物などを調査する必要がある為、外部に委託し研究者や捕獲のスペシャリストと言った者も異世界の魔物について調査していく。その為には自衛隊の力が必要不可欠であり、それ以外となれば外国の軍隊を動かすことになる……それがどういうものかわかるだろう?」


「ま、万が一の為に必要──」


「確かに必要だ。しかし他の国に支援を求めたら、その地域が軍隊の街に変わるだろう。何せ未知なる生物がぞろぞろといるのだからそれを研究したい人々は国外問わず多くいる。その為に世界が動きかねないということだ」


「つまり総理は独占をし続けると?」


「大変不本意ではあるがやむを得ない。しかし魔物の研究を独占するのではなく、こういった魔物の素材に関しては輸出し、地下迷宮の細部についても逐次発表し、不平等がないように研究者等の文民及び個人でいく分には問題がないように取り計らう」


「いや団体も許した方が良いのではないのではないでしょうか? その方が世界各地から称賛の声こそあれ批判されることはないでしょう」


「それはない!」


 きっぱりと言い切り、続けて発言する。




「何故なら日本の国土に現れ、日本人が発見した地下迷宮だ。その地下迷宮を日本がどうしようが勝手だ。分かりやすく言えば国土に石油が出てきたものを外国がどうこうと口を挟む余地などありはしないのと一緒だ。むしろ個人で発掘を許しているだけ寛大な処置だ」


「しかし、団体を許した方が日本全体の利益に繋がります」


「目の前の利益ばかり追っていては話にならない。国民は目先のことより将来のことを考えて行動している。確かに地下迷宮の発見は大手柄だが、それだけでは済まない問題もある。地下迷宮が危険な物だとわかれば当然のように他国はその情報を欲する。そうなった時、地下迷宮発見という栄誉だけでは不十分だ。だからこそ情報開示をしなくてはならない」


「しかし」


「しかしも案山子もない。そもそも地下迷宮を発見したのは堂島地方議員だ。調査の方も彼が進めており、彼の功績が大きいこともまた事実である以上、彼一人が独断で決めることは出来ない」


「ならば自衛隊派遣を認めましょう」


「そうですね。それが良いと思います」


 君島の論調に飲まれた野党勢は自衛隊派遣を認めることに賛同する。


「私も賛成です」


「同じく」


 そして与党側もこれ以上の議論は無駄と判断し、自衛隊派遣に合意した。


 国会にて地下迷宮への自衛隊派遣が決まった後、新たに設立された地下迷宮対策本部に向かい、そこで自衛隊派遣に関する会議が行われる。




「総理、地下迷宮攻略部隊の編成についてはこちらに任せてもらえますか?」


 統合幕僚長の意見に陸上幕僚長が賛同し、君島が顎に手を添える。統合幕僚長は陸海空全ての自衛隊員の実質トップであり、陸上幕僚長は陸上自衛隊の実質トップといえる人物だ。君島は法律上こそ自衛隊のトップであるが、非時の際にしか動かせない為に自衛隊としての特性を良く知っているのは彼らと言える。


「それは構わんが、どんな部隊を編成するつもりかね?」


「主に戦闘経験豊富な陸自隊員を中心とした精鋭部隊を編制するつもりです」


「ほう。して編成は?」


「普通科連隊を中心に編成します」


「ふむ。確か普通科連中はレンジャー訓練を行っている部隊だったな?」


「はい。その通りです」


「よしわかった。人員と装備に関しては陸幕長に一任する。予算に関しても防衛省を通してくれればいい」


「了解しました」


「あと一ついいだろうか?」


「なんなりと」


「現在地下迷宮は危険度3として認定されていると思うが、これは間違ってはいないかな?」


「はい。間違いありません」


「その危険性をどう判断するかは現場の判断に委ねられると思っていいんだね?」


「はい。その認識で大丈夫です」


「なるほど。ありがとう陸幕長、下がっていいよ」


「失礼します」


 陸上自衛隊の中でも選りすぐられた者たちで構成された部隊は君島が求める基準をクリアしていた。


「さて、次は……」


「私からよろしいですか?」


 挙手したのは防衛大臣であった。


「ああ、構わないとも」


「まず地下迷宮の攻略に関してですが、どのくらいの期間を想定していますか? それに予算規模なども」


「そうだな……まず1ヶ月の派遣を3回繰り返す。その後、2ヶ月の休養を挟み再び1ヶ月間の地下迷宮探索を行うつもりだ。予算に関しては──」


「いえ、そちらではなく攻略そのものにかかる時間の方です」


「なるほど。攻略にどれくらいかかるのかは正直言ってわからない。ただ言えるのは地上と地下迷宮の行き来が限定的だ。何せマンホールの蓋で出入りするような所だ。その点を踏まえると片道だけで5日以上は掛かると見込んでいる」


「往復で10日間……それだけの期間を捻出できる部隊が果たしてあるのでしょうか? 地下迷宮の危険性を鑑みればとても現実的ではないと思われます」


「それは理解している。しかしこれ以外に方法が思いつかないのもまた事実だ。故に精強な部隊──それこそ第一空挺団や特殊作戦群と言った選ばれし者しか出来ない作戦だ。本来ならな」


「本来なら?」


「調査を進めている堂島地方議員は優秀でな、既に地下迷宮の5階層まで調査を進めている。その調査のおかげで地図や怪物の場所まで判明していて、宿営地が建てられる場所も確保している。つまり地下迷宮を攻略するにあたっての初期の障害はほぼないと言って良いだろう」


「なるほど。それでその部隊に本当の普通科も参加しろと?」


「察しが良くて助かる。地下迷宮の危険度もわからん状態で無闇矢たらに突っ込ませるほど愚かでもない。それにこの攻略には我が国にとっても重要な意味がある。それがわかる者はいるかね?」


 君島の言葉に皆が考え込む。そんな中、一人が答えた。


「地下迷宮の発見、そしてそこの調査・攻略の成功によって得られる資源ですね」


「正解だ。地下迷宮が発見されれば当然のように多くの企業がそこに目を向けることになるだろう。石油などは副産物に過ぎない。地下迷宮が見つかったことによって企業からの注目が集まることが問題なのだ」


「もし仮に地下迷宮が他の国に見つかってしまった場合、それを巡って戦争が起こる可能性があるということですね?」


「そういうことだ。地下迷宮が発見されたことにより、日本という国は世界情勢において非常に影響力のある国となった。今はまだ地下迷宮を発見したことで得ている利益が微々たるものだが、いずれは莫大な富を得る可能性もあるのだ。だからこそ我々は地下迷宮を発見し、そして攻略しなければならない」


 君島の説明に誰もが納得した表情を浮かべ、防衛大臣が口を開く。


「総理、先ほど国会で個人での発掘を許すと仰られましたが、それは自衛隊の派遣が終わってからでしょうか? それともその前に発見してしまった場合はどうなさるおつもりで?」


「その時は仕方がない。その者の自由意思に任せようと思っている。ただし自衛隊派遣後に発見した場合はその限りではない」


「わかりました」


「他に何か質問はあるかな? なければ次の議題に移ろう」


 その後も会議は順調に進み、無事終了した。


 そして時は流れ、一週間後。自衛隊員による地下迷宮派遣が始まった。

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