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物語について

 2026年2月の衆議院選挙では、自民党の高市内閣が大勝利をおさめました。この勝利の原動力に物語の有用性があったと感じています。日本初の女性首相が、これまでの日本の歴史を変えていこうとしている。抵抗勢力は内にも外にもいて、孤軍奮闘。街頭演説に立つ必死な姿の高市首相の姿に多くの人が心を打たれました。自民党広報部がそうした彼女の動画を作成します。裏では多くのお金が動いたと思いますが、1億4000万回以上も再生されました。


 昨今の政治世界は、ネット社会の中で醸成されています。今回の衆議院選挙では思った以上の爆発力はありませんでしたが、昨年の参議院選挙では参政党の躍進は目を見張るものがありました。兵庫県知事選の結果も記憶に新しい。これらの選挙においても、物語が活躍したと考えています。いや、陰謀論と言い換えても良いかもしれません。


 現代の人々は、溢れるようなネット情報に晒されています。その情報もAIの誘導によって、偏った情報になりがちでした。このようなネット社会の中で、育ちやすいのが陰謀論になります。オックスフォード英語辞典によると、


「ある出来事や現象が、利害関係者による陰謀の結果として発生するという説。特に、秘密にされた影響力を持つ機関が、典型的には政治的な動機と抑圧的な意図で、ある説明のつかない出来事に関与している、とする信念」


と定義しています。陰謀論には、誰かの利益を侵害しようとする加害者が存在しているのですが、その加害者と被害者が直接に対面していないところに特徴がありました。例えば、交通事故が発生した時、当事者同士は過失の割合について話し合いをします。ところが、陰謀論においては、その加害者は憶測で語られました。宗教的な秘密結社であったり、ロスチャイルド家であったり、アメリカCIAであったり……。


 陰謀論において、本当かどうかどうかをこの目で見てきた……という話はあまり聞きません。でも、陰謀論を語る方は、自信をもって語ります。


 ――あいつの陰謀だ。


 オックスフォード英語辞典の定義では陰謀論について、次のように締めくくっていました。


 ――関与している、とする信念。


 見てきたわけでもないのに、そのように断定する。信じ込んでいる。ヨーロッパ中世の魔女狩りも、アドルフ・ヒットラーによるユダヤ人に対する弾圧も、陰謀論の範疇だと考えます。これは信仰に近い。


 陰謀論において、自分の利益を害するものは敵になりますが、信仰においては、自分を救ってくれるものは神になります。敵か味方かという違いはあるにせよ、両者の構図はよく似ています。ただ、そうした対立構造よりも注目すべきは、神にしても陰謀論にしても、実際にはその対象者を目にしていないにも関わらず、信じてしまうという行為になります。これは、ホモサピエンスに顕著な特徴的でした。ハラリ著作「サピエンス全史」によると、このような行為の根源には「認知革命」があったとします。説明は割愛しますが、この認知革命による特徴的な行為が「うわさ話」でした。


 ――隣村にとても美しい娘がいるらしい。

 ――斐伊川で、ヤマタノオロチが暴れているそうだ。

 ――美しい娘を生贄にすると怒りがおさまるらしい。

 ――スサノオが、ヤマタノオロチを退治したそうだ。

 ――俺たちのご先祖様はスサノオなんだ。


 実しやかに語られるうわさ話は、神話や伝承に発展しました。人々の娯楽として口々に伝聞されていきます。またそうした神話を核にして、一族を統べる神が創造されました。この頃の神とは、アニミズム的な精霊信仰が発展したものだと考えられます。ご先祖様が英雄的な勇者であることを、一族は誇りに思ったことでしょう。また、太陽にも月にも神は宿っていると考えられていました。様々な神が創造され、そうした神を核にして神社が誕生し、村的なコミュニティー形成されました。


 家族は血の繋がりでコミュニティを形成しますが、氏族は神の繋がりでコミュニティを形成しました。古代においてなぜ宗教が必要だったかというと、同じ神を信仰するという行為によって、コミュニティーが結束できたからです。特に、稲作という多くの人々が協力しなければならない作業をする場合、強い結束力が必要でした。この目には見えない神の存在を、人々に信じ込ませたツールが「物語」になります。


 この構図は現代でも変わりません。うわさ話がネットのSNSに置き換えられただけです。ただ、古代と現代を比較すると、文明的な成熟度が違いました。古代においては、皆で協力しないと農業が出来ませんが、現代はお金を払えば大概のものは手に入れることが出来るのです。強い結束力でコミュニティーを維持する必要がありません。そうした意味では、宗教の役割は変化したと考えます。


 物語は、人々の心に強く影響を与えました。映画や小説によって描き出される物語が、現実に起こっている出来事ではないと分かっていても、人々は涙を流しますし、笑い転げます。目に見えないものを信じる力は、動物にはないホモサピエンスだけが獲得した能力になります。


 古墳時代末期という激動の時代を生き抜いた聖徳太子の物語を、僕は創造したいと考えています。聖徳太子も物語を生み出した一人でした。十七条憲法はその最たるものになります。物語は、真実であろうと嘘であろうと、相手に信じ込ませることが出来れば、効力を発揮します。聖徳太子は、偉人だったのでしょうか、それとも世紀の詐欺師だったのでしょうか。


 そんな聖徳太子の人生を、僕なりに咀嚼し発表していくのが、「続・歴史転換ヤマト」になります。聖徳太子の物語を生み出すためのたたき台になります。僕が発する言葉は、僕の偏見が多分に含まれています。くれぐれも真に受けないでください。そんな考え方もあるんだ……と、軽く受け止めて欲しい。今後とも宜しくお願いいたします。


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