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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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探達の家

「……出てきなさい。」

私がそう呼びかけると、闇の中からゆらりゆらりと何かが現れる。私の弟だ。彼は無言のまま、私の前に立ちはだかるようにして立った。

「彼は……。」

今度こそ驚いた真悟に、なんだか勝ち誇ったような気持ちになる。私の弟がいる事に、気がつかなかったのね、と言ってやりたい。私達はいいライバルになれそうだ。いや、もう1人強敵がいるな。真悟の息子、探も、あの場所に来れていたのだから、すごい子なのだろう。

「これからは彼がホワイトから彼方を守ります。」

風が悪魔の長い髪を揺らした。その目の前に凛として立つ探偵は、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「私の息子の脅しに屈しましたか?」

ははは、と真悟が笑う。その言葉に、態度に、ふつふつと怒りが湧いてくる。好きでやっているわけではないのに、こんな言い方をされたらたまらない。それは私の弟も同じだったようで、

「やめてもいいんだぜ?」

と、まるで威嚇するように返した。その覇気に押されて、真悟の方がびくっと跳ね上がる。少し、やり返してやったという気分になっていた自分が嫌になった。少しからかわれたくらいで怒ってしまうなんて、妹や弟のようにのようにスパイ活動をする日が来るとしたら苦労しそうだ。

「なんとしても真悟さんを守りなさい。」

にっこり笑顔を作って下した命令。落ち着きなさい、という意味で発したその言葉の真意は伝わったようで、弟は

「了解。」

とだけ答えてまた闇の中に消えていった。

「私はいいから、息子を守ってほしい。」

唐突に発せられたその言葉は、心からの声だった。父親として、息子を大切に思う気持ちが伝わってきた。自分はどうなってもいい。せめて息子だけは。そんな気持ちが、私の体の中まで伝わってきて、そして悲しく消えた。

「……探さんには私がつきます。だからと言って、くれぐれも気を抜かれないように。」

私もそう言って、ゆっくりと闇に紛れていく。

「ありがとう。……すまない。」

そんな言葉を背に聞きながら、私は空にゆっくりと飛び立った。


 セイからの通信で案内してもらいながら、主探偵事務所に向かう。最近真悟は家、探偵事務所に帰っていないらしく、ここ数日はずっと探1人で生活しているらしい。ひとりぼっちか。かわいそうに。

鍵の開いていた窓から侵入する。どうして開けていたのだろうか?探偵事務所のくせに、不用心な。こんなところを見てしまうと、私が守ってあげないと、なんて思ってしまう。

どうやらまだ探は家に帰っていないようだ。大きな鏡を見つけ、どの服にするか、持ってきた服を自分の体に合わせながら考える。やはり、これが面白いだろうか?せっかくやるのだから、楽しくやらなくては。

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