覚めた目
「ごめんなさい、ごめんなさい、姉さん。私達、偽物に使えるなんていやで、本物の姉さんに仕えたくて。体には、作り物の脳を入れて返したの。」
そんなことが、可能なの?いや、セイがそういうなら可能なのだろう。彼らの技術は現代の技術を明らかに上回っているのだから。
そっか。私は人間、いわばサイボーグのような存在なのだろう。
ということは?私は人間で、アンドロイドじゃなくて。なら、おんなじ人間のために頑張ることもおかしなことではなくて。……ああ、もう分からない。でも、分からなくていい。
拳銃を向ける。分からなくていいんだ。一生、壊れるまで、いや、死ぬまで考え続ければいい。
「ありがとう。真悟。あなたのおかげで目が覚めたよ。」
何とか話せるようになり、うまく表情を作れないままわらう。
「もうちょっと頑張ってみることにするわ。」
私の撃った弾は、真悟の頬をかすり、通過していった。
もう少しだけ、頑張ってみよう。人間でも、アンドロイドでも、なんでもいい。私は、私だから。私の信念を貫いて、それが私のためになると思うから。
痛がる真悟の手当てをし、横に寝かせると、後ろで待っていた全員がゾロゾロと近寄ってきた。
「ごめん。俺、自分の父親のことなのに何もできなくて、怖い思いまでさせて。」
そういうご主人様は本当に申し訳なさそうだった。
「構いません。もともとそのために私たちはありますから。」
私がそう言って笑い返すと、今度はお嬢様が私に近寄ってきた。
「あの、皆さんが人間を守るために生きているって、どういうことですか?」
お嬢様は聞き辛そうにそう聞いてきた。
「ああ。……どうなんでしょうね。ただの自己満足のような気もしますが。」
お嬢様が聞きたい答えは、きっとこれではないのだろうが、お嬢様は納得したように
「そうですか。」
と言って優しい笑顔でうなずいてくれた。別に秘密にしたいわけではないのだ。もしかしたら、何故か真悟が知っていたように知る日が来るのかもしれない。けれど、私たちが警察の協力者だということは基本知られてはならないことなのだ。私たちは、本来いないはずの存在なのだから。
「私は……。」
真悟が突然低い声を出した。疲れ切った顔で、彼は言う。
「私は、何がしたかったのだろうか?」
捕まってしまった、負けてしまったことがよほどショックだったのだろうか?真悟は上を見上げながら涙を溢した。
「真悟さん……。」
千春様が真悟を労るように寄り添って座っていた。自分に銃を向けてきた相手を労われるなんて、千春様は強い人だ。




