無駄話?
「考え事って、何考えてたの?」
お嬢様がご主人様に歩み寄りながらそう聞くと、ご主人様はうなずいて、
「ああ。ちょっと、昔父さんが言っていた話を思い出して。」
と言って返した。私が話しかけても返事はしないのに、お嬢様なら返事をするのね。……って、なにいじけてるんだ、私。しっかりしろ!
「どんな話?」
お嬢様とご主人様の会話を、私達は黙って聞いていた。声を発することなく、まるで空気のように。……私達本当に空気だな。
「昔父さんがな、俺たちの先祖はものすごくロボットに詳しかったって言っていたんだ。」
そこで、私達同様空気となってしまっていたビオラ様が小さな声でボソッと声を発した。
「そういえば、ボスもロボットに詳しいな。」
その声は本当に小さく、ご主人様とお嬢様の耳には届かなかったようだ。ご主人様の耳に聞こえていたら、失礼な話なのだが。
ご主人様は先祖が、と言っているし、もしかしたら知識があるというボスとは関係がないかもしれないけれど。気になるなあ。
「そういえば、姉さん。」
通信機でセイが話しかけてきた。今の話で、セイもなにか思ったのだろうか?
「私たちを作って連れた人、娘がいたんですよ。その娘の家系だったら、面白いですね。」
その娘さんが、ご主人様の先祖ってこと?面白いとは思うけど、それって……。
「蜘蛛を倒したのなら、先に進みましょう。」
セイが話に終わりをかけた。
そうね。先に進んで、早く真悟様を探さないと。
「早く真悟様をお探ししましょう?ね。」
まだゆっくりしていたい、とでも言いたげな顔をしているお嬢様を急かす。
「はあい……。」
私がお嬢様に笑いかけると、お嬢様は残念そうに下を向いてしまった。それを見て、ご主人様が私を睨んできた。仕方がないじゃない。それに、早く進みたいという願いはご主人様のものでもあるのでしょう?
無駄話をしている時間はない。私たちには、早くこの事件を終わらす義務があるのだから。というよりは、早く知りたいのだ、私も。気になって気になって仕方がない。この遊戯の真実を。こんなところでお話なんてしている場合ではないというのに。それでもつきあってしまう。私が人を心から大切にするなんて、丸くなったものだ。




