狙われている
蜘蛛を倒したこと、その蜘蛛は動かず、攻撃もしてこなかったことをヤミとセイから聞く。どうして攻撃してこなかったのか。それは今までのライオンや蜘蛛の行動を見れば明らかだ。……私を、ねらっているからだろう。もちろん他の可能性もなくはない。けれど、今の時点ではその可能性が高いだろう。
「どうして私を狙うんだろう……?」
考えてみても、頭があまりよろしくない私には到底わからない。可能性として、あれかな、というのはあるのだけれど、確証が持てないのだ。確証が持てないことを話すわけにはいかない。それで傷つく人もいるかもしれないのに。
自分が狙われているかもしれない。普通の人はそう考えるだけでも恐怖するのだろうが、私は安心していた。私は壊れにくいアンドロイドなのだから。壊れても治せるアンドロイドなのだから。人間のご主人様やお嬢様、ウメ、アイビー、ビオラ様。みんなじゃなくて本当によかった。ヤミとセイは不安な顔をして私をみている。大丈夫よ。安心して。私、死んだりしないじゃない。
「とにかく、蜘蛛を倒したなら早く行きません?あんまり長い時間ここにいたくなくて……。」
お嬢様が無理やり作り出したような笑顔で笑いながら私の服の腕を引っ張った。お嬢様の割には、ここまでよく頑張ってくれたほうだろう。たまにドジはしていたが。
「わかりました。行きましょうか。」
お嬢様の頭の上にポン、と頭を乗せ、ゆっくり撫でる。お嬢様を慰めるのは本来私の役割ではなく、ご主人様の役割のはずだが。
ご主人様の方に振り向くと、ご主人様は暗い顔をしていた。
「どうかなさいましたか?ご主人様。」
私がそう尋ねても、何も答えない。それにイライラするヤミの腕を掴み、なだめるセイ。もう慣れてきたと思ったのだけれど、やっぱり少し悲しい。
「おい、探!返事しろよ!」
セイの腕を振り払って、ヤミはご主人様の肩をたたいた。暴力を働かなかったことは後で褒めてやろう。
「え、あ……悪い。」
反抗するかと思われたご主人様は、素直にヤミに謝った。これには開いた口が塞がらない私。
「ちょっと考え事してて……。」
考え事?何か悩むようなことでもあったのだろうか。それとも、知ってしまったの?わかってしまったの?ご主人様……。




