倒された蜘蛛
蜘蛛が、起動していた。そして、おそらく。
ドアノブをゆっくりとひねり、恐る恐る引っ張る。……開かない。
最後の瞬間、私は蜘蛛と目があった。その時、見えたのだ。糸のような白いものをお尻から出していたのを。それを私に巻きつけるつもりだったのだろうか?
「粘着性のある何かで塞がれているわ。切れないことはないけれど。」
実際、切りにくいとは思うがきれないことはないだろう。けれど、押し破ったほうが早そうだ。
「蜘蛛。やはり仕留めておくべきでしたね。」
ウメが悔しそうにそう言った。何がそんなに悔しいのだろう。私達は怪我なんかしていないのに。
「じゃあ、俺とセイで倒してくるよ。」
ヤミが手を挙げる。そうなるだろうとは思っていたが。
2人にいつも任せきりなのが、私は嫌だ。私は2人の主人のはずなのに、守られてばかりなのが嫌だ。けれど、それは仕方のないことなのだ。私は2人に比べれば、弱く、そして頭も良くない。今後悔しても仕方がないのだ。これから後悔しないためにこれから鍛えていくしかないのだ。
「頼んだわ。」
2人に任せきりにするしかないのが、悔しい。……ここから帰ったら、訓練でもしようかしら。
ヤミとセイは笑顔で頷いて、ドアの向こう側に行ってしまった。
俺たちが入ってくる間、蜘蛛は俺たちのことをじーっと見つめていた。ただ見ているだけで、動かない。攻撃もしてこなければ、ライオンのように話しかけてくることもない。
花があるので、地面に足をつくわけにもいかず、俺たちは壁にナイフを突き刺してぶら下がるような形で空中に浮いていた。
「何もしてこないな。」
蜘蛛を刺激しないように通信機でセイに話しかける。
「今のうちにサクッとやっちゃいましょう。」
セイが短刀を蜘蛛の首に突き刺した。けれど、それでも蜘蛛は動かなかった。そして、そのまま息絶えてしまった。いや、正確には壊れてしまった、か?どさっと音を立てて蜘蛛が落ちてきた。
「戻りましょうか。」
「ああ。」
やけにあっさり殺されてくれたな。蜘蛛が狙っていたのは、俺たちではなく、もしかして……この蜘蛛は、いや、ホワイトは。
扉を開けて姉貴の顔を見る。姉貴は俺たちの顔を見て、安心したように笑った。
もしかして、姉貴を……。




