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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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合流

 ウメとアイビーがいたことを姉貴に知らせなくては。

「楓っ!」

通信機を使って姉貴に話しかけようとした時、後ろから聞き覚えのある声がした。探の声だ。

振り返って声の下方を見ると、いつのまにかドアが現れていて、その奥には姉貴と地下9階で倒した女の子がいた。

「お嬢様!」

先ほどまではヘラヘラと笑っていたウメも、今度は本当に嬉しそうな笑みを浮かべていた。

「探!それに……。」

「ビオラって呼んで?楓ちゃん。」

どうやら楓とこの女の子、ビオラは友人のようだ。それならば、ビオラが元々敵であるということは伏せておいたほうがいいのかもしれない。

「ウメ。それにアイビーもいたのね。どうしてここに?」

姉貴がいつもの優しい笑顔でウメとアイビーに笑いかけた。あんなに可愛らしい笑顔をいつでも見られるなんて、俺たちは幸せものだな。なあ、セイ。

 俺たちは先ほど何があったかの情報交換を始めた。

俺たちからは、ここにきたらウメとアイビーが倒れていたこと、怪我を負っているが歩けないほどではないことなどを伝えた。

姉貴は、ビオラは敵であったがもう仲間であること、探や楓の友人として連れていくことを教えてくれた。

姉貴が無事地下7階に来れたということは、あの罠で違う階層に出るのも正解だったということだ。俺にはさっぱり思いつかなかった案だが、さすが姉貴。

それにしても、ビオラが敵だったと知ったときの楓の表情は見ものだったな。言わずに隠しておくつもりだったが、姉貴が言うなら仕方がない。それに、いつかは知る事実だ。

「ウメもアイビーも運が悪かったのね……。ごめんなさいね、巻き込んでしまって。」

姉貴が申し訳なさそうにウメとアイビーに謝ると、ウメは首をフルフルと横に振った。

「大丈夫ですよ。お嬢様の部下である以上、急に駆り出されることもありますし。それに、このまま事件に貢献できたら、警官としても誉ですしね。」

ウメは警官なだけあって優しい人物なのだろう。俺は恵まれているな。優しい人がこんなに俺の周りに集まってくれているのだから。

「それで、この7階には本当に何もなかったのか?」

探が急に口を挟んだ。優しい性格と資料には書いてあったが、本当にそうなのか?姉貴のことをモノとしか思ってなさそうな奴に、俺は従いたくねえけどな。

「ええ。何も。先ほど探してきましたが、何もありませんでした。もしかしたら、あの、ドアの先に。」

ゆっくりと腕を持ち上げ、俺たちが入ってきたドアとは反対の方向にあるドアを指差す。

「何かあるのかもしれませんが、ね。」

もしそうなのだとしたら、地下10階や地下9階と同じ作りなのかもしれない。

「見てみますか?ドアの向こう側を。」

ここから脱出するためには、見るしかない。どちらにせよ、引くことはできないのだから。

「見てみようぜ。どんなものが待っているんだろうな?」

楽しみだな。やってやろうじゃねえの。

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