ホワイト
「探は自分の母親を探したいのよね?」
探の言葉を思い出す。死んだはずの探の母親。彼はどうやら自分の母親が生きていると信じているようだ。
「調査では、遺体を誰かが確認したわけではありません。車ごと海に突っ込んで、そのまま行方知れずだそうです。」
事前調査をしていたセイがそう言いながら資料を取り出した。そこには確かに、そう書かれていたが、死亡扱いになっていた。
「溺れながら流されていくのを見た、という人がいたらしく、そう判断されたようです。」
トントン、と、そう証言をした人の写真を指差した。そこには、美しい男が写っている。けれど、この男には、どこかで見覚えがあった。どこかで見たことがあるのは確かだ。多分、直接会ったんじゃなくて、写真で見たんだ。
「どこかで見たことのある顔ね。」
私がそういうと、2人はうなずいた。昔、何かの調査に出てきたのだろうか?
「資料を取ってきます。」
それはどうやらセイが集めた資料の倉庫に入っているらしく、セイは資料を取りに倉庫へ向かっていった。私達2人、取り残される。別に気まずいわけではないが、なんだかイラついている人と2人きりというのは、なんとも心地の悪いものだ。
「ヤミ。何を怒っているの?」
私がそう尋ねると、ヤミは長い髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回しながらぶっきらぼうに答えた。
「だって、俺らのせいで姉貴を危険な目にあわせちまって……。」
この子は、私に何かあれば自分を責める。ヤミの悪いところだと思う。
「セイも、悲しんでただろう?」
言われてみれば、セイもどこか悲しんでいるように見えた。あれは、私を守れなかったからだったのか。あの子はあまり顔には出さないから、少しわかりづらいが、長い時を共にしてきた私たちにはわかるのだ。
コツ、コツとヒールの音が近づいてくる。セイが帰ってきたのだろう。予想通り、セイは戻ってきた。しまっていた扉を開け、するりと部屋の中に入ってくる。
「……何か?」
思わず見つめてしまっていた。先程セイの話をしていたからだろうか?
ガチャリと扉を閉めると、手に持っていた資料を私たちに見せる。
「こちらです。」
そこには、ホワイトについて、と記載されている。ホワイト。たしか、白い服ばかりを着ている集団だったか。
「通称ホワイトとと呼ばれるその組織は、白いものを好み、とある神を崇拝しているそうです。」
セイは淡々とそう述べる。
「最近、探の父親、真悟の周りに、この組織、ホワイトの者が確認されています。」
セイはそういうと、はあ、とため息をつきながら資料をバサリと机の上に置いた。




