ついた先は
男たちの間抜けな笑い声が聞こえる。つけられているとも知らずに、彼らは楽しそうに笑っていた。そう。それはもう、愚かで見ていられないほど素晴らしい顔で。
「追跡を始めてから3時間です。よく何時間も談笑していられますね。」
頭の中に通信機で直接響いてきたセイの声は、本当に呆れました、とでも言いたげな声をしていた。
「結構遠いところに来たけど……一向に飛行機やヘリコプターに乗る気配がねえな。俺らに気がついていて、まこうとしているとか?」
国外に本拠地があると断定できているのならそうかもしれないが、そうとは限らない。
「アジアのどこか、というのは分かっているのですが……。」
ということは、この日本という可能性もあるわけだ。心の中でウンウンと頷きながら、前を走っている車をしっかり目で掴んで離さないように注意する。逃げられてしまっては、ご主人様とお嬢様の苦しみが無駄になる。
しっかり最後まで追わなければ、と、ギラリと白い車を睨む。すると、車はふと止まった。
「止まりましたね。」
「止まったな。」
あたりに信号はない。信号待ちではなさそうだ。けれど、ここは……。
車のドアが開き、そのドアから男たちが出てくる。後部座席に袋に入れられて乗せられていたご主人様とお嬢様も、一緒に下ろされていた。そして、白と黒のモダンな家に入っていく。
「ここが奴らの本拠地で間違いなさそうですが……まあ、地下室でもあるのでしょうね。」
セイの予想通り、男たちは地下室に入っていったようだ。そのくらいのことは音でわかる。私たちも早く向かわなければ。
「動くな。」
低い声が響く。後ろから何かを突きつけられている。おそらく、銃だろう。足音が全くしなかったし、人間特有の匂いもしなかった。なぜだ?私たち3人とも気づかなかっただなんて。それに、見つからないように隠れながらつけていたはずなのに。
両手を上げ、敵意がないことを見せる。どうやって抜け出す?このままではご主人様達を助け出せない。
「よくここまで来たな。あれでもあいつらは精鋭なのだが……。」
ふむ、と、その男は銃らしきものを私の背中に押し当ててくる。
銃くらいなら撃たれても私たちの体を傷つけることはないのだろうが、今ここでアンドロイドとばれてしまっては困る。
「……ついてきてもらおうか。」
私たちはその声に答えることなく、その男に誘導されるがままに進んでいった。




