妹を呼ぼう②
さて、そろそろセイとの合流を図るべきだろうか。敵も、殺すのではなくさらったのだから、すぐに殺される可能性は少ないだろうけれど、できるのであればなるべく早く真悟様を助け出さないと。
「妹を呼びますので、少々お待ちください。」
通信機が内蔵されていることを知られないよう、リビングから見えない台所の影まで向かう。通信機が内蔵されているとバレれば、アンドロイドだということもばれかねない。一緒に生活する上で、それがいちばんの不安だった。現代の科学では、こんな高性能なアンドロイドは存在しないはずなのだから。
「セイ。聞こえる?」
通信機でセイに話しかけると、セイはすぐに応答してきた。
「はい。先ほど兄さんから聞きました。今、そちらに向かっています。」
先ほど……ああ。ヤミは鍵を閉めに行ったのかと思っていたが、どうやら違ったようだ。
セイは速い。頭脳型のセイだけれど、そのスピードは戦闘型のヤミと並ぶくらいだ。だから、彼女がこちらに着くのにあまり時間は要さないだろう。
「今どこ?」
「はい。あと100mほどで着きます。」
セイはわたしの質問に的確に答えてくれた。まあ、先ほど会ったばかりなので、それほど遠くにはいないと思ってはいたのだが、それでも速い。
10秒もしないうちに、玄関の鍵がかちゃりと開けられる音がした。玄関の方を見てみると、そこには黒いバッグを持ったセイがいた。
「セイ。ちゃんと人に見つからないように走ってきた?」
2人は自分たちが人間と比べて異常に能力値が高いことを忘れがちである。だから、ごく稀にだが人間に疑われるようなミスをしてしまうことがあるのだ。
弟よ、妹よ。お姉ちゃんが心配なのはそこだけなのだが……。
「はい!大丈夫です!」
女の子の笑顔はアンドロイドでもやはり可愛らしいものだ。思わず頭を撫でなくなってしまうのを抑えながら、ご主人様に向き直る。
椅子に座っているご主人様は不機嫌そうな顔をして私たちを見上げていた。
「なんでお前ら俺の家の鍵を持っているんだ?返せよ。」
別に盗んだわけではないのだが、自分の家の鍵を赤の他人が持っていたらそれは不機嫌にもなるだろう。それも、おそらく最も軽蔑しているであろう人物に。
「家の中で何かあったとき、助けに入れなくては困るでしょう?」
にっこり笑顔を作ってそう返事ができたのはいいものの、横を振り返れば不機嫌さを隠すように真顔のまま立っている家族2人がいるのだがどうすればいいのだろうか……?




