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黒のメイド  作者: 藤本 寛那
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妹を呼ぼう①

 弟や妹と言っても、2人は私の部下であることには変わりはない。いつも面倒なことは任せきりで、楽しいことばかりやらせてもらっていた。やりたいということは全てやらせてもらえたし、欲しいものは全て与えてくれた。正直言って、私は甘やかされてここまで生きてきたので、2人に比べて能力はかなり低いだろう。

「それはみんなで考えましょうか。」

私に作戦を立てるなんてできるのだろうか?

ぐるぐる、ぐるぐる。いくら悩んでもその事実は変わらない。今度から私ももうちょっと頑張ってみようかな……?

「姉貴?どうかしたのか?」

きょとんとした目をしながら、ヤミが私の肩にぽん、と手をのせる。私はその手をゆっくりと下に下ろしながら、小さくため息をついた。

「自分の力のなさを実感してね……。少しはいろんなことをやって、力をつけなきゃ、と思って。」

すると、ヤミは驚いたように

「え。」

と声を漏らし、もう一度私の両肩をがしっと掴んだ。

「姉貴がそんなことする必要ねえよ!面倒なことや、危険なことは俺たちがするからさ!」

その表情からは、驚きと共に焦りが見えた。どうしてそんなに私を安全なところにおきたいのだろうか?正義のために生きることは、そもそも私が命令したことなのに、どうしてほとんどこの子たちに任せきりなのだろうか?なんだか恥ずかしくなってくる。もっと、もっと精進しないと。

「やめろよ。そういうの。」

机の周りに並べられた椅子に座っているご主人様は、ギロリと私たちを睨んでいた。ご主人様に睨まれるのはこれで何度目だろうか?

「おまえらのどんな姿を見せられても、俺はお前らを好きになることは、決して!ないんだからな。」

その目はもう、軽蔑しているというよりも、私たちを憎んでいるに等しかった。

ヤミが手を上に振り上げる。私は、その手を制するように

「やめなさい!」

声を発した。

「その手をどうするつもりなの?」

キッ、と、ヤミを睨むと、ヤミは悔しそうにその腕を下ろした。微かな舌打ちも聞こえてくる。きっと、ご主人様の耳には届かないくらいの、小さな舌打ち。

大丈夫。私のためにやろうとしてくれたのね。ありがとう。でも、大丈夫よ。もう慣れたから。

その意を、小さく笑ってヤミに伝える。ヤミは安心したように笑い返してきた。

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