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昔々のお話……


      ……昔々、リティア達が生まれるよりはるか昔……


 小さな村の外れにシキは暮らしていた、二十代前半くらいの外見の彼女は、実は見た目よりは年齢が高いのは、村の住人はみんな知っていた。

 「……ふう~、やっぱりこんな感じかな?」

 書き物を終えたシキは小さく息を吐いた。。

 「……ご苦労さん」

 そう言いながら彼女の作業していた机の上に紅茶の入ったカップを置いたのは、セイヤいう名の男性だ。 二十代半ばくらいに見える彼は、この家にシキと暮らす恋人であった。

 「また”予言”を書いていたのか?」

 「そうだよ、”視え”てしまった以上は書き残しておかないとね?」

 シキは未来を視る力を持っていた。 だが、それは視たいものを自由に視れるような便利な能力ではなく、眠っている間に未来の光景が視えるという一種の予知夢のようなものである。

 普段の夢と違い目が覚めても明確に記憶に残っているどころか、映像から判る以上の情報も頭に入っているのである。 例えるなら、同じ物語の絵本と小説の両方を読んだような感じだ。

 そして、それを書物として書き残したり、当事者に手紙として送ったりする。 なお、その際には本名ではなくノースト・ラダムスという偽名を使っていた。

 それは、未来を視るという能力というものが自身にどんな災いをもたらすかを理解しているからだ。 もしも自分がそんな力を持っていると知れたら、その力を私利私欲に利用しようとする者がいくらでも現れるだろう。

 「今度はどんな予言なんだ?」

 セイヤが覗き込んでみると、そこには短い簡潔な文章があるだけだった。

 「空から星が墜ちてくる時、世界樹は終焉を迎えるだろう……って、何だこりゃ?」

 同い年の恋人の質問にシキは夢の内容を語ってみせた。 それは、とある国のお姫様を中心とした少年少女達の冒険の物語とその結末までもだった。

 「……いつも思うが、もう少し細かく説明してもいいんじゃないか? そうしたらそのお姫様だって苦労せずに世界を救えるだろう?」

 「未来はね、セイヤ。 その時間を生きるヒト達が創っていくんだよ? 僕は少しだけ助言するだけ、それをどうするかはそのヒトが望むように選択して進んでほしいからね」

 そもそも、自分の視る未来もあくまで可能性のひとつに過ぎないと思っている。 現実にシキの視た未来とは別の結果を得た者のいるのだ、未来とは決まっているものではなく創っていくものだとシキは考えているのだ。

 「……そうだな、俺とお前の未来も神様みたいなのが決めるんじゃない、俺達で創っていくものでありたいしな?」

 「そういう事だよ」

 そう言って笑うと、恋人の淹れてくれた紅茶を一口飲んだのであった……。 


 

最期まで読んでくれた方、ありがとうございました。

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