表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴッドスレイヤー・俺  TRPGで育て上げた神殺しの戦士、異世界でも超強い  作者: あけちともあき
1,5.ミドルフェイズ:シナリオ『スィニエーク村を救え』
27/72

英雄の弟子、隠された通路を発見する

 ソフィは緊張しながら、アゾットを握り締める。

 目の前では、早速戦闘が始まった。

 外に出た一行を迎え撃つように、氷の巨人が出現したのだ。

 ただし、その大きさは山で出会った個体よりもずいぶん小さい。

 平屋の家の屋根くらいなのだ。

 その代わり、数だけはたくさんいる。

 これらは、巡回していた村人が呼び出したのだ。

 村人は今、地面に倒れて気を失っている。


「村人一人につき、巨人一体を担当してるんだろう。システムは良く分らないが、数はほら、村人と同じだろう」

「確かに……! だが、これはどういう原理なのだ。私が学んだ錬金術にも、こんな技は存在しなかった」


 スタンの説明に衝撃を受けるラシード。

 だが、会話をしながらも、彼は巨人たちに対する攻撃を行っている。

 展開した賢者の箱から、刃のようになった光が飛び、巨人たちを傷つける。

 そこにアレクセイが突っ込み、回転するチェンソー剣で叩き切るというわけだ。


「数が多いですね。広範囲の攻撃を行います。アレクセイは下がって」

「うむ」


 スカウトの言葉の通り、後退するアレクセイ。

 その機に乗じて襲い掛かろうとする巨人へ、イアンナは手にしたボール状のものを投げつけた。


「魔導炸裂弾です。巻き込まれればただでは済みませんよ……!」


 爆発が起きる。

 巨人たちの一部は、腕や足を吹き飛ばされ、動きを鈍くする。


「この程度では死なないか。やはり、普通の生物ではないようだな」


 アレクセイは再び、戦場へ飛び込み、巨人たちに武器を叩きつけ始めた。

 だが、それを待ち構えていた巨人がいる。

 巨人はアレクセイ目掛けて、横合いから突っ掛けた。


「ぬうっ!」


 咄嗟に反応できず、アレクセイは真横からの奇襲を受けてしまった。

 その瞬間、スタンがソフィに指示を出す。


「ソフィ、あれだ!」

「は、はい!」


 理解するソフィ。


「幸運の女神よ!」


 彼女の手のひらが輝く。

 そして、放浪者クラスの特技は効果を発揮した。

 まるで時間が巻き戻ったように、状況はアレクセイが奇襲を受ける瞬間に戻る。

 機甲兵は驚いた顔をしていたが、すぐに奇襲に対応した。

 チェンソー剣を立てて、襲い掛かる巨人の攻撃を防いだのだ。


「助かる、ソフィ」

「いえ!」

「うむ。あの特技の使い手だったのか。これは心強い……!」


 ラシードは、ソフィに笑顔を見せた。


「よし、押し込んでいくぞ!」


 ここでスタンが出陣だ。

 後衛に向かって攻撃してこようとする巨人を、まずは拳一発で地に沈める。


「横は制圧する。明らかに正面の巨人どもが守りを厚くしてるから、そこに何かあるかもしれないぞ」


 そうアドバイスを残し、一人別の戦線を構築し始める。

 スタンを目掛けて、村の家々から巨人があふれ出してきた。

 これを拳一本で次々に迎え撃つ。

 流石はエインヘリヤル様、とソフィは感心した。


 戦況を見渡す限り、どうやらソフィたちが優勢なようだった。

 前線を支えるアレクセイとイアンナ。そして後ろから攻撃を行うラシード。

 彼らを横や後ろから狙おうとする相手は、スタンが撃破する。

 ソフィは全体をきょろきょろ見回しながら、時々幸運の女神を使ったり、ヒールを使ったり。


「ふう……」


 疲れを感じて、ソフィはアイテム欄からMPポーションを取り出し、ごくりと飲んだ。

 特技や魔法の使用で失われていたMPが、回復していくのが分る。


「でも、戦うだけじゃダメだよね。えっと、スタンさんは確か、正面に何か隠してるって……」


 じいっとソフィは正面を見る。

 そこは村の広場で、中心には井戸しかないように見える。

 井戸なんか、ソフィの村にだってあったわけで特別なものでは……。


「……あれっ? あの井戸、横に階段がついてる……? それに大きい」


 彼女は、井戸のおかしな点に気づいた。

 それがマキナ帝国流の井戸だと言ってしまえばそれまでだが、そもそも男爵領よりも技術が発達している帝国が、こんな旧式の井戸を使うだろうか?

 ましてや、井戸についた階段なんてどう使うのだ。


「ラシードさん、あの井戸、変です! もしかして、井戸の中にどこかに行ける道があるのかも」


「むっ!? 言われてみれば確かに、アレクセイすら楽に入れるほど大きい。どれ……グレムリン!」


 ラシードは戦闘を中断し、賢者の箱から使い魔を呼び出した。

 翼の生えた小鬼が空を飛び、井戸に向かって急降下する。


「皆! グレムリンの突入を支援してくれ!」

「うむ。では神技を使用する」


 アレクセイは即座に決断した。

 彼が強く一歩を踏み込むと、全身の鎧から一斉に蒸気めいた煙が上がった。

 イアンナが素早く一歩下がる。

 巨人たちは、前線が下がったと見て、大きく前進してくる。


「特技発動。回転撃!」


 その瞬間、アレクセイの鎧から噴き出した煙が一定方向を向き、彼の片足を軸にして、その体を回転させる。

 人間の体では不可能な速度だ。

 チェンソー剣を起動したままの回転は、刃を次々に巨人へと叩き込んでいく。


「神技・死の女神(ヘル)


 チェンソー剣が、青白く輝いた。

 その回転刃は、まるで抵抗など無いかのように、巨人の肉体を次々に切り裂いていく。

 たちまち、十体近い巨人がバラバラに引き裂かれ、飛び散った。

 白煙を上げながら、アレクセイの動きが止まる。


「行け」

「よし、グレムリン!」


 使い魔が、井戸の中へと突入する。 

※どういう原理なのだ

 クトゥルフ神話がせめてき(略


※魔導炸裂弾

 イアンナが常備化しているアイテム。

 範囲を一度に攻撃することが出来る高威力のアイテムだが、シナリオ中で一度しか使えない。


※井戸

 マキナ帝国の井戸は、自動汲み上げ式になっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ