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ゴッドスレイヤー・俺  TRPGで育て上げた神殺しの戦士、異世界でも超強い  作者: あけちともあき
1,5.ミドルフェイズ:シナリオ『スィニエーク村を救え』
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英雄の弟子、村を支配するものの手がかりに迫る

「尋問の結果は出たのかい?」


 スタンの問いに、ラシードが顔を曇らせた。

 どうやらあまり、進展は良くないらしい。


「それらしい単語を引き出すことは出来ているのですが、奴らは頭が混乱している様子。意味のある言葉としては、まだ情報を得られていません」

「永続的狂気に囚われているのかもしれないな。あるいは、交渉判定が成功してないか。ソフィ、ここは君の出番だな」

「はい!?」


 突然話を振られて、ソフィは跳び上がるほど驚いた。


「わ、私、そんな尋問なんて全然分からないんですけどっ」

「君の特技だ。導きと幸運の女神の出番だ」

「あ、ああ、それですか!」


 明確に言われて、彼女も理解する。

 そして、ラシードに続いて尋問を行っている部屋にやって来た。

 部屋のあちこちに、縛られた村人が転がっている。

 彼らは猿ぐつわを噛まされ、ふぐふぐと唸る。

 そして椅子に座っている村人は、まるで夢でも見ているかのように視線が曖昧だ。


「これって」

「猫催眠」


 ちらりとソフィを見たイアンナが、そんな妙な単語を口にした。


「村人くらいならばすぐに掛かるのですけれど、それでも満足な言葉が引き出せません。何か、言葉による誘導が足りないのでしょうか」


 イアンナは思案している。


「わ、私が手伝います! そういう特技があるので。だから、イアンナさんはもう一度聞いてみてください」

「尋問を補助する特技ですか。それはありがたい……。では」


 イアンナは村人に向き合う。


「もう一度。深く、深く沈む。月の夜。夜の広場。広場の猫。猫の集会。集会の囁き。囁きが聞こえる。あなたは何が聞こえるの」


 歌うように囁く。

 村人はぼうっとしながら、視線を宙にさまよわせた。

 ここで、スタンがソフィの肩を叩く。


「あ、はい! 導きを……!」


 ソフィが宣言すると、彼女の指先が淡く光った。

 光はイアンナに向かって放たれると、その言葉を通じて村人に向かう。

 村人はカッと目を見開いた。

 そして、ぱくぱくと口を開閉させる。


「聞こえる……聞こ……える」

「……いつもよりも深く催眠が掛かりました」


 イアンナが眼を見開く。

 ソフィが持つ、白魔導師のスキル、導きによって、イアンナの猫催眠の効果が高まったのだ。

 ほんの僅かな差だが、一般人相手なら効果はてきめん。


「何が聞こえていますか。何者が、あなたに囁きましたか」

「お、おおお。神の……神のみ使い……。黄衣をまとう風の神の代言者……。異貌の神の神官様……」

「出たな。そいつが黒幕だ」


 スタンが断言した。


「異貌の神……。機械神が、明確な敵であると託宣した存在だ。スタン殿の仰るとおり、そのような邪神めいたものがこの村に関わっていたのか」

「正しくは、神の力を振るう人間みたいだな。代言者と言っていただろう。つまり、神は直接的にこの事件には関与していない。異貌の神の代言者はこの村のどこかにいて、村人を操っているか、洗脳しておかしくしてしまったんだろう」


 スタンが補足すると、アレクセイ一行は得心がいった、という顔になった。

 話が分かりやすくなった。

 知らない単語を、理解しやすい概念に置き換えたので、この場にいる誰もがすぐに納得できたのだ。

 ソフィはちょっと嬉しくなった。

 ほら、スタンさんは凄いでしょ、と言いたくなる。


「イアンナとラシードが尋問を行った時は、掴みどころがない話ばかりで参ったが、スタン殿とソフィが手を貸してくれたことで光明が見えた。この俺にも理解できるのだから、皆は言うまでもないだろう」


 アレクセイは一息入れると、今後の行動を口にした。


「村の探索を行う。この時、洗脳されている可能性がある村人が立ち塞がるだろう。これを排除することになる」

「なるべく殺さないようにな……」


 スタンが進言すると、アレクセイは難しい顔をした。


「ここで昏倒させた村人程度の強さならば問題がないが、氷の巨人のようなものが出てこないとも限らない。俺はあれと戦う時に、他が死なないように気を配るなどできん」

「神技を使ってもか? アレクセイ、君は戦士だろう。ならば、打撃力を上昇させる神技、神槌(ミョルニル)が使えるはずだが」

「確かに……。だが、一度きりの切り札だ。それを使って、あれを退けても、次に何があるか分かるまい」

「じゃ、じゃあ、ああいう反則みたいな怪物は、スタンさんにお願いすればいいと思います!」


 思わず口を挟むソフィ。

 スタンは、あちゃーという顔になった。


「ソフィ。俺たちはアレクセイのパーティに間借りしている形なんだ。ここで熟練者である俺が出張って、彼らの出番を奪うような事をしてどうする。やはりここは、俺は裏方に徹してだな」

「そうだな。スタン殿に頼めば問題がない」

「えっ、いいの?」


 スタンが思わず素になったようで、砕けた口調で聞いた。

 イアンナ、ラシードもそれでいいと思っているようだ。

 すると、スタンはちょっと嬉しそうな顔になった。


「よし分かったぞ。では、明らかにバランスがおかしい敵が出てきたら、それは俺が担当しよう」

「頼りにしている」


 そのようなことになった。

 スタンの手足がむずむずと動いている。

(ほんとに嬉しかったんだなあ)と、ソフィはほっこりした。

 だが、そんな彼女にスタンが囁くのだ。


「ちなみに、勝負の鍵はソフィ、君が握っているからな。MPポーションを服用しつつバランスよく支援するのだ……」

「え、ええええーっ!?」

※猫催眠

 ウェアリンクスのクラスが持つ特技である。

 イアンナがとちくるったわけではない。


※代言者

 異貌の神、あるいは神々は、人間に理解できる言葉を話せない。

 そのために、狂気に陥った人間を代言者として使い、ラグナロク・ウォーの世界に影響を及ぼそうとする。

 どちらにせよ邪神なので、ろくなことにはならない。

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