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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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2-50.視察(2)

楽しい昼食会と視察。

大きな問題なんか、無いさ~~。

たまにはこういう日があってもいいと思う。

「ヒカリ、これはなんていう料理?」

「名前はまだ、ありません。<パスタ>という小麦の麺を使った料理です。私が先に毒見すれば良ろしいですね?」


ちゃちゃっと、フライパンから取り分けて、3種類の味見を開始する。昨日作ったラザーニャと、海鮮クリームのフェットチーネ。最後がこってり濃厚なエビのワタから作ったスパゲティーだ。うん、昨日通りで美味しい。


「レナード、なんでお前が先に食べるんだ?」

「私も毒見をしようかと。」

「おい、<スザク>も毒見なのか?」

「王子、できれば、ここでは<フウマ>でお願いします。当然毒見します。」


「ヒカリ!毒は入ってるのか?」

「美味しいですよ。美味しいことが毒かもしれませんが。」

「意味が分からん。食べる!アチチ!」

「素敵なおにいちゃん、試練だね。<タコ丸>はもっと熱いよ。」


「ヒカリ!美味しい!これを隠してるのはズルくないか?そして、ユッカちゃんの<タコ丸>は美味しいのか?」

「そんなに一度にたくさんの質問をされても困ります・・・。」

「王子。私が先ほど<心配>と申し上げた通りでしょう。このお嬢様は扱いが大変なのです。美味しい物を食べながら、一つずつ片付けることをお勧めします。」


「レナード、そんなに気を遣っていては話が進まないだろう。」

「私は、昼飯前に困っていた件を申し上げましたが?一部王子のせいもありましたが。」

「あ、はい。ご用命の<こん棒>をお持ちしました。」


ちらっと、<こん棒>を見せると王子がむせる。一度にたくさん食べすぎなんだってば。


「レナード!あの<こん棒>をもらったのか?」

「2本頂きましたので、1本はヒカリ殿へお返ししました。」

「見返りに何を要求された?」

「ユッカ嬢の住居の保証、パンの製造・販売権。クッキーの製造権を許可したら、翌日には届いていました。貰ったあとは何も与えていません。私から王子の所へ向かうように別のお願いをしましたが。」

「丁度宿屋で住み込みで働いていた時期でして、置き場所が無く、引き取って頂こうと・・・。」


「ヒカリ、あれは<魔道具>だぞ。開墾や開拓には非常に便利な代物だ。戦闘好きのレナードには判らないかもしれないが、もし、<ある神器>が加われば、街道作成や荷物の補給路を簡単に作れるようになる。戦略が変わるんだ!その片方を手に入れたってことなんだぞ!わかるか!」

「王子、ヒカリ殿は異国から攫われてきて放置された身の上だとか。戦争とか戦略の話をいきなりされても判りませぬでしょう。」


そんな興奮されてもね・・・。

<斧>も、もうあるんだよね・・・。

そっか。一度に食べたんじゃなくて、興奮して咽ちゃったのか。

それは、悪いことしたな。さて、どうしよう。困ったらフウマに押し付けよう。


「フウマ、<こん棒>に価値があるんだって。知ってた?」

「キリギスからここまで、姉さんに運ばされたのは覚えてるよ。」

「いや、フウマは最初だけで、<もの干し竿>の方でしょ。私が運んだんだよ。」

「忘れちゃったけど、引っ越し大変だったね。」

「うん。」


「ヒカリ、これはどこで手に入れた?まだ、ありそうか?」

「粘土の洞窟で魔物が持ってました。もう、魔物はいないので、残ってないかもしれません。」

「そうか・・・。レナードとヒカリが1本ずつ所持してるんだな。大事に使って欲しいと思う。そして、いざというときは国に協力して欲しい。」

「しかと承りました。」

「判りました。」


「あ、ユッカちゃん、挨拶が遅れた。

お城で助けてくれてありがとうね。あのときお兄さんが預かっていた<おかあさんの形見の革袋>これを返すね。いろいろと役に立ったよ。ありがとう。」

「ううん。カッコいいおにいちゃんの役に立ったならよかったよ。」


「どう?ここの暮らしは楽しいかい?」

「おねえちゃんがね、いろいろ作ってくれるの。美味しいの。」

「これと<ホットミース>以外にも、何かあるのかな?」

「晩餐会の練習をしてたんだよ。偉い貴族の人がきて、許可をもらうんだって。」


「そうか・・・。ユッカちゃんは素直ないい子だ。ヒカリは悪い子だねぇ?」

「王子、ヒカリ殿は悪気があって、やってるのではないと、先ほど王子が仰ってましたが・・・。」

「すみません。直ぐにお知らせしようとフウマに頼んだのですが、お二人とも忙しいようで、お願いの連絡が遅くなりました。」

「ヒカリ、悪いのはレナードだ。」

「いや、ですから。王子が『今なら間に合う』と。」

「準備不足で至らぬ点が多々あるかと思われますが、視察とはいわずとも、つまらないところですが2か所ほど、ご見学頂ければと思います。」


ーーーーー


「こちらが<新型の窯>になります。トーマスさん、説明をお願いします。私は<ホットミース(改)>の調理を始めます。」


まぁ、窯の方はさ技術的な進歩は大した成果じゃないんだよね。その先の発展を考えると素晴らしい世界が開けるんだけど、これも他の分野の発展とのコラボで達成できるものだし。今日の所はちょっと壊れにくい窯が作れる技術を独占するぐらいでいいと思うんだよ。

で、<ホットミース(改)>も別に大した仕掛けがある訳じゃなくて、生地を薄く焼いたパリパリ触感のせんべいみたいのから、モチモチの薄いパン生地に変えただけ。ただ、やっぱりこのモチモチ触感はいいよね。生地と具の味が混ざる感じ。焦げ具合の香ばしさもいいし。


「窯の視察が終わりましたら、実際に<ホットミース>を試食頂ければと思うのですが。宜しいでしょうか」

「俺は構わないよ。レナードどうだ?」

「王子、この技術は応用が利きます。持っていることを隣国に知られると、脅威になるでしょう。王宮の施設に限るなど制限が必要です。」

「レナード。流石だなぁ。<ホットミース>を食べながらでいいか?」

「あ。失礼しました。温かいうちに皆でいただきましょう。」


「ヒカリ。知っててやってる?」

「<ホットミース(改)>の事でしょうか?触感を工夫しました。」

「レナード、ヒカリには困ったものだなぁ。」

「ヒカリ殿は知ってる場合と、知らない場合があるので判断に困ります。」

「あの窯さ、煉瓦が焼けるんだってね。」

「え?あ・・・。焼いたことないけど、焼けるんですか。煉瓦は普通の石組で作った窯で焼いて作ってましたけど。」

「レナード簡単に説明してあげて」


温度、火力、酸素濃度、断熱、燃料補給、材料補給が自在に設計できることは、鉱物の精錬を自在にできる技術となること。そして、今の鉄製の武器から次の時代への幕開けとなる技術になることを説明してもらった。<たたら製鉄>とか、見学にいって、現地のガイドに案内してもらったことがあるから、ある程度は知ってるんだけどね。鉄の時代から鋼鉄の時代への革新するための重要な技術なんだよね。

それにしても、また戦争か・・・・。


「ということで、許可できない。<焼き煉瓦>の技術は封印。トーマスには<高温炉>の設計をさせる。ヒカリ殿がアドバイザーとなり、トーマスの技術開発を支援して欲しい。王子よろしいか?」

「ヒカリ、どう?」

「あ、あの・・・。ここは関所しかないんですけど・・・。トーマスさんのことは、私が決められないですし。」

「フウマ、お前がヒカリを助けろ。場所、材料、職人全ての手配を進めろ。資金はお前の腰巻の金貨を自由に使え。レナード、期限はどれくらいだ?」

「まだこの窯が2か所しかなく、<ホットミース>を普通の窯で作れることが判れば、情報の隠蔽いんぺいが可能と思われます。その場合、2-3年の猶予はあるでしょう。また、この関所の東側には未開拓の土地がありますゆえ、奥まったところで設計・開発を開始すれば他国は気づきにくいはずです。」


「ヒカリ、これはエスティア国にとって、とても大事なことだから良く聞いてくれ。

既にフウマから聞いているかもしれないが、うちは農業の発展が遅く収入を鉱業に頼っている。そのためメルマの商人たちに街道や海上を封鎖されつつ、高い食料を購入している有様だ。

自給率が上がればメルマの商人達と対等な取引ができるのだが、この関所を守るので精いっぱいだ。山や森が多いこの国で農業を発展させることは簡単なことではない。昔、開墾事業にも挑戦し、開拓騎士団を送り込んだんだが、失敗した苦い経験がある。

そのような訳で、常に鉱業や精錬において他国より優位な立場に居ないと、国が滅ぶ恐れがあるんだ。是非とも協力して欲しい。目標は2年で基礎技術の確立。今から3年後には鉱業としての事業を成立させたい。」

「分かりました。ここの関所を守り、<高温炉>の開発と実用化を進めます。」

「レナード、これでいいか?」

「ヒカリ殿なら安心です。問題ありません。たまに困りごとが無いか、報告なり、<おねだり>に来てもらいたいですが。」


「よし、おねだりの1つ目は聞いてあげられないどころか、こちらからの頼み事になってしまい申し訳ない。2つ目に行こうか。レナード頼むぞ?」

「王子がヒカリ殿をもっと大事にすればいいのです。」

「だから、今日会いに来たんだろう?それにフウマも付けてる。」

「あ、あの・・・。次の<おねだり>を、ご案内させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「「よろしく頼む。」」


と、変な流れに進むので無理やり話を打ち切ってしまう。オイルマッサージの準備はエルフの子らに話は通してあるし、レイにも一度話してあるから大丈夫だよね。モリスがその辺上手く指示だしてくれてると思う。食事が済んだのでユッカちゃんは<こん棒>を持って退場。シルフと遊びたいんだって。私も娼館の絡みでユッカちゃんとは上手く話ができてない負い目もあるし・・・。


というわけで、私が先頭で、王子、レナードさん、最後にフウマの4人で移動する。一度関所を出てから、隣の敷地の門をくぐる。


「「おお~。これはこれは。いつの間に・・・。」」

「ヒカリ、関所が狭いから住居を移すのか?なかなか洒落てるじゃないか。」

「私はまだ贅沢ができるほど偉くないです。ここは関所で働いていた者の一人に<おねだり>されて作った物です。」

「ヒカリが与えたら、ここはヒカリの物だろう?」

「所有権はそうなりますが、運営・管理はレイに委ねています。わたしの<おねだり>が成功して、ここの運営権が貰えれば、管理・経営もレイに移します。」


「自分の持ち物でもないのに、随分贅沢な作りにみえるんだがなぁ。」

「王子、きっと、ヒカリ殿のことですからまた何かあるのですよ。」

「あぁ、フウマに渡した金貨を使ったのか。許可してなかったけど、いいよ。」

「リチャード王子、ここはヒカリ・ハミルトン卿が自力で賄って作りました。」

「いや、フウマ。ヒカリの家族にしてもらったからって、庇わなくていいぞ。この規模は金貨だけでどうにかなるもんじゃない。職人も相当なレベルだろう?領主なら人も使えないと不味い。立派なことだ。」

「リチャード王子、お借りしている金貨は必ず返却させて頂きます。許可も無く勝手なことをして、申し訳ございませんでした。」

「いいんだ。さっきも言ったように、鉱物資源はそれなりにあるんだ。フウマに預けてあるものは、ヒカリが好きに使っていいんだ。フウマにそのことを伝えてなかったのは私の落ち度だ。それで、ここで何をするんだい?」

「旅の疲れを癒すオイルマッサージでございます。今日は運営許可が貰えておりませんので、フウマと私が<お試し>ということで、無償で対応させていただきます。」


「フウマ、レナードさんの方な。ヒカリが僕の方でいいかな。」

「「ハイ」」


<<ねえさん、いいのかい?>>

<<予定通りに、王子でいいよ。>>

<<そうじゃなくて。<高温炉>とか、ここの費用の件とか>>

<<あとでゆっくり話をしよう。目先のマッサージのコツを教えるね>>

<<おねがいします>>

<<オイルマッサージの類はね

1.薬草の効果をオイルを通して肌に浸透させる

2.体内の老廃物をリンパ管に乗せて、疲れを取る

ここを併用してるの。だから、

必ず、血行を良くするために、足先や指先から

毛細血管を押しつぶすように、徐々に徐々に心臓へ向けて押し込むの。

そうすると、血行も良くなるし、ハーブオイルの浸透や効き目も良くなる。

<オイルを擦り込めばいい>って感じで、血流と逆方向に体をマッサージしちゃダメ。

あとは、<身体強化>で血液の流れをイメージしてればいいね。

わかった?>>

<<ありがとう。上手くやってみるよ>>


エルフの子らのサポートもあり、オイルの使い分けも教えてもらいながら順調に進む。マッサージだけで1時間ぐらいしたかな。あとは、サウナミストみたいのがあればいいけど、そんなの準備できないから、温かいお湯で体を流してお終い。

裸?

私はマッサージはともかく、体を流すときの全裸には触れないから、石鹸とたっぷりのお湯を渡してなんとかしてもらったよ。フウマもおんなじ感じだろうけど、そっちは良くわからない。


「あ~。これはいいね。贅沢だね。」

「王子、疲れが取れました。直ぐにでも経営の許可証を発行したいのですが。」

「レナード、ここに人が多く集まると<高温炉>が発覚しやすくならないか?」

「フウマ殿とヒカリ殿が、そのようなミスをしないでしょう。」

「そうか。ヒカリ良かったね。許可貰えるって。」


「あ、あの・・・。」

「「また隠し事かい?」」


「いえ、これは、あくまで普通の旅人向けのサービスでして、この奥に許可頂きたいサービスがあるのですが・・・。」

「その奥は経営者候補の屋敷だろ?門番らしき者が立っているが。」


「経営者の意向で、ワザとそのような作りになっております。」

「レナード。隠してないって。」

「王子、ヒカリ殿に悪気はないんです。行って見ましょう。」


いや~~。レイは凄いね!

貴族の心をギュッと握るコツを心得てるよ。私なんか、食事が美味しかったとか、そんなレベルだけどさ。もう、驚かせるっていっても、相手の想像の範囲外から圧倒させる感じなんだろうね。二人とも驚きと興味津々でキョロキョロしてる。そこを私とフウマが無言で付いていくだけ。余計な言葉は要らないってね。


王子が正門を開けると、中でレイが待っている。


「いらっしゃいませ」


と、レイが声を掛けて、頭を深々と下げる。ここでも余計なことを喋らない。相手が聞きたい事だけを答える。それが貴族の作法なんだろうね。

あ、二人が、チラチラと私とフウマを見てる。これは失敗。


<<フウマ、関所に戻るよ>>

<<判った>>


「レイ、夕飯は関所の館で準備してるから、宜しくね。」

「承知しました。」


いつも読んでいただきありがとうございます。

頑張って続けたいとおもいます。

また、ブックマークや評価を頂けることはとても励みになります。

ありがとうございます。

10月は毎日少しずつ22時更新予定。

手間な方は週末にまとめ読みして頂ければ幸いです。

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