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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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2-45.料理を作ろう(1)

貴族の接待ってなにさ。

そこそこ恵まれた庶民の女の子がさ、

貴族の生活なんか知らないっての。

モリス、ゴードンに助けて貰わないと・・。

<<ナビ、

『貴族のパーティーでは、食べられる量が限られているから、吐いてから胃を空っぽにして、そこからもう一度食べる』みたいな逸話があるけど本当なの?>>

<<この世界のこの時代では、そこまで豊かでないので、食料を無駄にしません。>>

<<医療の一環として、吐くことが推奨されているとかは?>>

<<特別な症状でない限り、無駄に食料を嘔吐することは否定されています。>>

<<そっか。私の勘違いならいいや。ありがとう>>


「モリス、ゴードンと一緒に接待の食事の計画を立てたいんだけど。」

「そうですね。ヒカリさんが出したい特別な料理があれば最初に知りたいところです。料理長のゴードンは、材料と調理方法が判れば、かなり上手く仕上げてくれますよ。ある程度作りたいものが決まってからゴードンを呼びましょう。」


「なるほど。いろいろアイデアはあるんだけどさ。王子クラスだと、どういうのが一回の食事で出るの?」

「<接待する豪華な食事>をイメージされているのでしたら、

1.食前酒と前菜

2.スープ、サラダ、パン

3.メイン1

4.メイン2

5.穀類

6.デザート、お茶

といった具合でしょうか。

あと適宜、お酒をだします。」


「それ、毎回用意するのかな?」

「いえ、食べる側の時間もかかりますので、普通は毎回の食事では行いません。」

「そっか。今回どんな予定で来るかで、準備する食事の回数も変わるね。」

「そうですね。」


「王子とレナードさんが一緒に来るとしたら、馬と馬車どっちなの?」

「馬2頭とフウマさんが走破してくると思われます。」

「城下町からキリギスは?」

「馬で1日掛ければ到着します。」

「とすると、王子とレナードさんが合流してキリギスで前泊するとすれば、昼ぐらいには、この関所でご飯を食べる可能性があるね。

最短だと、

1日目:昼、夜

2日目:朝のみ

ってパターンだね。」

「良いと思います」


「今回の視察みたいケースで長くなる時はどんな感じになるの?」

「そのような場合、<視察>のついでに周辺領地を見回ったり、遊ばれてから帰るケースがありますね。領主の視察としては、一ヶ所に長く滞在することは無いので、最長6日間と見てよいです。」

「そっか。エスティア王国からしたら、税収の上がる領地だもんね。領地マーカーも設置してるし。今回はどこまで見るのかな・・・?」

「お二人とも<飛行術>を持たず、馬の入れる範囲と想定すれば、(1)関所、(2)農地の入り口、(3)娼館、(4)水車、(5)ステラさんの小屋、(6)窯ぐらいでしょうか。船は隠れてますし、洞窟や岩山は道がありませんので。」

「二人とも飛べないよね?」

「『どうやって領地マーカーを設置したか』尋ねられるかもしれません。」

「ステラとフウマが頑張ったってことでいいかな?」

「エルフの族長と王子の付き人で、尚且つ二人とも魔術ランク3を極めていれば、<納得の魔術>として、受け入れてくれると考えられます。」

「フウマが余計なこと言ってなければ大丈夫だね。」


「<斧>、<こん棒>、<冷蔵庫>、<妖精2人>、<ドワーフたくさん>、<エルフ3人>、<牛車で開墾>、<出所不明の資金>は大丈夫?」

「故意に紹介しなければ問題ないでしょう。」


「食事に魚とか、ローストビーフを使うなら、<冷蔵庫>が必要なんだけど・・・。」

「それは困りましたね・・・。」

「ニーニャとフウマのせいにしよう。そうしよう。」


「水車の作成、牛車での開墾とドワーフさんたちの関係もきかれるよね?」

「ドワーフ族の方達と、エルフ族の方達は、それぞれ、ニーニャさんとステラさんを追いかけて辿り着いたことにしましょう。」

「モリス、上手いね?」

「お褒めに預かり光栄です」

「<出所不明の資金>と<贋金が流通していること>と<二重納税>は?」

「ヒカリさんが倒した魔物の魔石を売ったことにしましょう。あとは男爵の隠し財産があったとか。」

「いいね。」


「贋金、二重納税はフウマ殿が何も言ってなければ問題ないです。」

「フウマ次第だね。一応口止めしておいたけどさ・・・。」

「抑止力となりうる手段を講じたので?」

「『言ったら、私が逃げるよ』って言っておいた」

「王子に仕える身であれば、かなり有効に作用しますね」

「よし、フウマ以外問題無いね。食事の計画に入ろう」

「はい。」


「私の希望としては、まず、フルコースから決めたいのね。

1.食前酒と前菜

前菜では<刺身>と<煮凝り>、<モツ煮>の3点盛り合わせ。

日本酒は無いだろうから、<甘口の白ワイン>か<梅酒>


あ・・・。

<刺身>は魚を生でスライスしたものね。塩とかレモンの味付けでいいかな。

<煮凝り>は魚の皮を煮て作る。ステラが<ニカワ>を作っているけど、あれの魚バージョンと思ってね。

<モツ煮>は牛の内臓を良く洗って、臭みを取ってからニンニクとかショウガと一緒に煮込んで味を染みさせたもの。

<甘口の白ワイン>か<甘い感じの果実酒>ってある?」


「前菜の3点は、材料さえ用意できればゴードンが対応できると思います。

<ワイン>は入手出来ておりません。もう少し南の方で盛んだとか。<プラムの果実酒>であれば、準備が間に合うと思います。」

「いいね。」


「2.スープ、サラダ、パンについては、

スープ:<ビスク>エビやカニのミソのどろっとしたスープ

サラダ:トマトやレタス、玉ねぎ、そこへ<お酢、塩、胡椒、油>を混ぜて掛ける。

パン:ふわふわパンに、バジルとかハーブを練り込んだもの。

エビやカニは海から採ってくる必要があるね。」

「<ビスク>が何か判りませんが、魚介類を扱うことは稀ですので、材料を集めて一度練習した方が良いかもしれません。」

「なるほど。練習しよう。」


「3.メイン1

魚は香草と塩で丸焼き。素焼きの土鍋と蓋で蒸し焼きにできるといいんだけどね。

鯛みたいな脂の載った魚を知る必要があるかも。」

「そちらも、試食リストに入れましょう。<素焼きの鍋と蓋>これはトーマス殿と相談した方がよろしいでしょう。」

「機材も必要だね。」


「4.メイン2

これは、牛の柔らかい部位でローストビーフみたいのを作りたいな。」

「子牛を一頭入手しますか?」


「この前、皮用に水牛を一頭手に入れたでしょ。あの肉がそれほど硬くなければ、

私が子牛を見つけてとってくるよ。」

「私は、それほど硬いと感じませんでしたが、お客人達がここで量を求めると、念のため2頭準備されると良いかもしれません。」


「そんなに食べるの?」

「良質の部位を提供されたら、桶に半分は食べてしまうでしょう」

「いや、それ、無理だよね?」

「私にも判りませんが、武人は胃袋も鍛えているそうですよ。戦時中は食べられるときに食べないと、次の食事がいつになるか判らないそうで。」

「なるほどね。分かった。一回でそれだったら、大人の牛の肉を柔らかくするテクニックを使った方がいいね。」

「硬い方が食べられる量が減ってよろしいかと。」


「私が柔らかいお肉を食べたいの。」

「承知しました。そこもゴードンと試作した方がよいですね。」


「5.穀類

穀類ってなに?ジャガイモとか?」

「メインの付け合わせ的な食べ方をされる人もいますし、パンのような類でメインのソースを付けて楽しむ方もいます。あるいは、お粥のようなスープを召し上がる場合もあります。」

「う~ん。メインのお肉を試食してからゴードンさんの意見を聞こう」

「特になければ、それでよろしいかと。」


「6.デザートとお茶

<プリン>を出したい。ステラのニカワが完成する必要があるけどね。あと、お茶は長老のハーブティーがいいかな。長老に言っておこう。」

「<プリン>ですか。全てお任せします。出来ましたら私も試食に参加させて頂けるとありがたいのですが・・・。」

「モリスは<タコ丸>の件があるからね。優先で試食しよう」

「ありがとうございます」


「メインはいいね。あとは軽食を2,3パターン用意すればいい?」

「はい。こちらも何かアイデアをお持ちでしょうか?」

「う~ん。麺類系の<パスタ>を作りたい。麺さえあれば、ソースでいろいろ目先を変えられるから、延泊されたときに準備が楽になるよ。あ。ニーニャに<パスタ製造機>作ってもらわないと。」


「他には?」

「トーマスさんの窯ができていれば、<ホットミース(改)>が作れるよ。」

「そもそも<ホットミース>とは、どこで売ってるのでしょうか?」

「宿屋ジェームズのランチで食べられるよ。ユッカちゃんに作って貰おうか。で、私が<ホットミース(改)>を出すと。」

「ヒカリさん、ワザとやってます?」

「た、たまにだよ。タコぐらいしかやってないよ。」

「そうですか。仲がよろしくて良かったです。」



このあと、ゴードンさんと打ち合わせをしてイメージを共有した。ただ、海鮮を扱った経験が少ないので、やはり練習用を含めて材料を調達して欲しいって。

ニーニャには、パスタ製造機の構造を教えて、詳細はお任せにした。粉物デザートのために、篩いの説明もした。海鮮用に<もり>と、その場で血抜きする<切れ味のいいナイフ>もお願いした。たくさんあるけど大丈夫かな。

トーマスさんとは、『土鍋ぐらいお安い御用』と、10セットぐらい作ってくれることになった。それだけあれば人数分でも出せるね。

ステラは、石灰の抽出が終わって、ニカワと皮の分離を始めてた。早業だね。私用にニカワも分けてくれた。こっからゼラチンってどうやって作るんだろうね。


<<ナビ、ゼラチンの作り方>>

<<ステラの抽出したニカワからですと、水洗いして濾過になります。>>

<<アルカリ溶液で抽出した場合、異物除去の各種フィルターを用いるとの、水洗いすることを併用して不純物を取り除くようです。医療用カプセルにまで利用されるような純度の製法になりますので、簡単な調理に用いるのであれば、臭いが気にならない段階で止めて良いと思われます。>>

<<なるほど。ありがとね>>


確かに、高純度は要らないし、不純物が入ってても臭いや色が気にならなければいいよね。茹でて、固めてを繰り返せば、だんだん不純物が減るかな。エルフ3人組に頼めないかね・・・。長老のところにも用事があるから聞いてみよう。


「長老。ちょっと頼みがあるんだけど。」

「なんじゃ?」

「昨日の朝食に出してくれたハーブティーは長老の調合?」

「そうじゃが。」

「今度、貴族の人たちが来て、視察するのは知ってるよね?」

「知らんが。」

「うん。大変なことだから良く聞いてね。レイさんの娼館あるでしょ。あそこの運営許可が貰えていないの。その視察に貴族のエライ人が来るのね。良い印象で運営許可をもらうために接待する必要があるの。重要でしょ?」

「重要じゃな。何を手伝えば良いのじゃ?」

「うん。今のハーブオイルも続けて欲しいのだけど、お菓子に合うハーブティーとか、豪華な夕食の後に飲むハーブティーなんかも選定して欲しいの。」

「簡単なことじゃな。任せておいて良いのじゃ。」


「ありがと。あとね。<ゼラチン>を作りたいの。」

「それはなんじゃ?」

「簡単に言うと、ぷりぷりのお菓子を作る材料で、ニカワが原料なんだけど、ニカワって動物臭がして臭いでしょ?これを臭いとか色を少なくするために、茹でて、固めてを繰り返して、<透明なぷりぷり>にしたいの。それができれば美味しいデザートが作れるの。」

「ワシより、エルフの子らが得意そうじゃの。」

「あの子達は長老に懐いてる?」

「一生懸命がんばってるのじゃ。教え甲斐があるのぅ。」

「そしたら、ステラからニカワを貰ってきて、<透明なぷにぷに>を長老の指揮で作って貰ってもいいかな。」

「どれくらい必要なんじゃ?」

「先ずは鍋一杯あればいいかな。」

「分かった。任せるのじゃ。全体の指揮はお主に任せるから、よろしく頼むのじゃ」

「うん。がんばるよ。」


よし、次は牛を柔らかくする練習と海鮮集めだね。


いつも読んでいただきありがとうございます。

頑張って続けたいとおもいます。

また、ブックマークや評価を頂けることはとても励みになります。

ありがとうございます。

10月は毎日少しずつ22時更新予定。

手間な方は週末にまとめ読みして頂ければ幸いです。

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