2-42.ハーブオイルを作ろう(1)
オイルマッサージっていいの?
なんか、騙されてたりしないの?
何にでも効くとか怪しいよね。
「ユッカちゃん、シルフ、ちょっと娼館の方に寄りたいんだけど、一緒に来てもらってもいいかな。あと、ウンディーネも一緒に連れていきたい。」
「僕はいいよ。ウンディーネなら、丁度娼館の方に行ってたのをみたよ。」
「私もいいよ。<しょうかん>って何か知りたいし。」
「そっか。ウンディーネに<念話>を通してみる。」
<<ウンディーネ。今どこ?>>
<<石の前じゃ。>>
<<娼館の建物の裏ってことでいいね?>>
<<なんで分かるんじゃ?>>
<<今から相談があるの。そっち行くから待っててね。ウンディーネが活躍するチャンスだよ。ここで娼館の経営者であるレイさんにアピールできれば、いいことあるかも?>>
<<そ、そうなのか?大人しく待っておるのじゃ!>>
「レイ!ただいま~。ユッカちゃんは知ってるよね。こちらの少年風な子がシルフ、こちらの老人がウンディーネです。」
「初めまして。この娼館を経営していくことになるレイと申します。今後お世話になることもあるかと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします」
「ねぇねぇ、レイさん。<しょうかん>って何?」
「ええと・・・。」
「あ、ユッカちゃんそれはね。体をマッサージとかして、体の調子を良くするサービスのことだよ。後で話にもでてくるけど、ハーブ入りのオイルで体を洗ったりすると、洗浄の効果だけでなくて、血行が良くなったり、皮下脂肪が取れたりするんだよ。」
「ふ~ん。なんで女の人ばかりが娼館にいるの?私も手伝える?」
「男の人は外で働いて汚れを気にしないから、清潔感が足りないんじゃないかな。ほら、フウマみたいに。ユッカちゃんが手伝えるかは、まだ気にする年齢じゃないと思うよ。」
「おねえちゃんが何か隠してるのは分かった。レイさんに後で聞く。」
「え、え、え~~~!レイさん、後でよろしく・・・。」
「はい。ユッカちゃん後でゆっくり説明させて頂きますね。その前に相談の方を片付けましょうか。」
「うん。今、レイの娼館の建物の経営で3つ不足してることがある。(1)建物の風の循環(2)浄化(3)体調不良時の回復・治療。この3つを経営のために専属で魔術師を雇おうかって話もあるんだけど、そこまでしなくてもいい方法がありそうだから、シルフとウンディーネに来てもらった。」
「風ぐらい僕がやるよ。でも、夜中に起こされるのは面倒だから、印を結んでおいて、だれでも起動できるようにしておけば良いよね?後で場所と強さ、流し方なんかを詳しく教えてよ。」
「シルフは流石だね!ウンディーネは?」
「わ、ワシは・・・。ここに通えるって聞いたんじゃが・・・。」
「ここに毎朝来て、毎朝働いている人たちに浄化をしてあげてお終いでいいの?例えば、疲れた体を特有のマッサージオイルで癒してもらうとか、そういうのは?」
「ワシも年だからのう・・・。マッサージしてもらいたいんじゃが・・・。
そうじゃ!秘伝のオイルのレシピと、環境に優しい浄化できる<石鹸>のレシピを教えることが出来るのじゃ。いろいろと役に立つと思うんじゃがのう?」
「レイ、どう?」
「シルフさんのは凄いと思います。直ぐに打ち合わせをしたいです。あと、有効期間みたいのがあれば、そのメンテナンス方法なんかも知りたいです。ウンディーネさんの方は、正直よくわかりません。そしてレシピだけでは必要な薬草類も入手できるか判らないので、日々のお客様に提供できるか怪しいです。」
「ワシの見立てじゃ、ここの森でほとんど揃うはずじゃ。特殊な物はほとんどない。あっても僅かじゃ。ワシが種を渡せばエルフの姉ちゃんなら育てて増やしてくれるじゃろ。それに、ワシの調合したオイルはいろいろな体調不良にも効くので有名なんじゃぞ?」
「レイ。どう?」
「開店までに間に合うかは分かりませんが、昼間の商品としても価値が高そうですね。ぜひご協力頂きたいです。」
「そしたら、効能次第ではこの人がここに通える権利を与えて貰えるかな?お金が全然ないんだけど。」
「ヒカリさんのご指名でしたら、当然無料ですよ。薬草とか気にせずにご利用ください。」
「ウンディーネ。やる気出た?」
「今から森に行くのじゃ。誰か付き合うのじゃ。」
「レイとシルフで打ち合わせをお願いね。ユッカちゃんは一緒にくる?」
「レイさんと相談する。」
「じゃ、ウンディーネと私の二人で行こうか。私が持っていくものとかある?カバンとか無いけど。」
「おねえちゃん、私のランドセル使っていいよ~」
「ありがとう。借りるね。ウンディーネ、他に何かある?触ると危険とかオイルに漬けるとか。」
「無いのじゃ。すぐ出発じゃ」
ーーーー
「ウンディーネ。作戦なんだけど、私がウンディーネを背負って飛んで、必要な薬草とかを採取するってことで良いかな」
「良いのじゃ。」
「何種類ぐらいあるかな?番号振りながらそのカバンに仕舞っていって欲しいんだけど。番号さえ覚えていれば、後でカバンから順番に取り出せるよ。」
「大体30種類ぐらいじゃな。無ければワシが持っておるのをやるので、それを増やしても良いのじゃ。」
「そっか。私も覚えてみたいから、一応カバンにいれるときに、番号と薬草の名前を教えてくれるかな。あとでまた聞くかもしれないけど。」
「構わんのじゃ」
<<ナビ。これから30種類の薬草を採取に向かうから、薬草の名前、番号、採取した場所を記録しておいてくれるかな。>>
<<了解です>>
「じゃ、出発しよっか。どっちに飛べばいいか教えてね。」
「任せるのじゃ。近いところから順番に行くから、番号はデタラメじゃ。あとで出すときにもう一度教えるのじゃ。」
いやぁ、このおじいちゃん、やっぱり凄いよ。薬草名人とかそういう名前で呼んでも良いよ。私なんか、ただの葉っぱにしか見えない。多少は香りに違いがあるのが判るけど、形とか、大きさ、色合いなんか図鑑調べながらでも間違えそう。そして、その薬草のある場所を目指して一直線に飛行できちゃうのがこれまた凄い。
「ウンディーネ、探さないでも薬草の在り処に行きつけるってどういうこと?」
「香りやエーテルの流れで分かるんじゃ。あと、日光や地下水からの水の流れで、植物にとっての得意・不得意があるんじゃ。その固有の生息場所に近い環境を探せば、より効率が良いのう。お主はまだ経験が足りんのかもしれんが、お前さんと一緒に居るエルフならワシの言っておることが判ると思うんじゃ。」
「なるほどね~。ステラも喜ぶと思うから、一緒にオイルとか石鹸作るの手伝ってもらっても良いかな」
「全然かまわんのじゃ。」
ーーーー
「ステラ、ただいま~。」
「あら、おかえりなさい。そちらの長老さんはどうされました?」
「ウンディーネだよ。朝一緒に体操してるよね。」
「え?」
「いや、ほら、エイサンと一緒に居た長老さん。」
「エイサンが族長で、長老は隠居してる海人かと・・・。そうですか・・・。ヒカリさんはシルフとウンディーネとも知り合いなんですね・・・。」
「知り合いって言うか、みんな一緒の仲間と思ってるよ。で、長老からステラに頼みが在るんだけど、話を続けて良いかな?」
「はい、喜んで。」
「レイの娼館で使う<オイル>とか<石鹸>を作りたいんだよね。今日は長老と一緒に採取してきたんだよ。」
「そうですか。今日はこの牛を解体して、明日への仕込みをしておきたいのです・・・。明日の午後ぐらいには手が空くと思うのですが、その後でも間に合うでしょうか?」
「長老、薬草とオイル作成の話の続きは明日からでもいいかな。このカバンに入れておくと、萎れたりしないから、その辺は大丈夫なんだけど・・・。」
「調合してオイルで煮出すだけじゃ。明日呼んでくれればいいのじゃ。」
「長老、いろいろありがとうね。明日からまたよろしくね。」
「こちらこそじゃ。」
「ところでステラ、牛から煮出すニカワってさ・・・。」
「なんでしょう?」
「<ゼラチン>とか作れる?」
「<ぜらちん>ですか。」
「<プリン>とか<ゼリー>とか、<ババロア>みたいな食べ物での食感をだすやつ・・・。ああ、ごめん。脂とか煮た後に冷えると、プルプルした塊みたの出来るでしょ?あれがニカワと一緒に作れるかな?って」
「あの<プルプル>に呼び名があったのですね。ニカワにするには柔らかすぎますね。ニカワはもっと硬く煮詰まったのもを干したものです。臭いも結構動物臭いですわ」
「そうなんだ・・・。もし水洗いとか繰り返して、透明にしていくこともできるかな?」「やったことがありませんが、ヒカリさんが所望でしたら、好きなだけ使ってください。牛一頭分のニカワなんか使いきれませんから。」
「ありがと~。じゃ、ニカワの元ができたら教えてね。」
よしよし~。
ステラの時間が心配だけど、
いろいろ材料集めが捗ったね。
明日が楽しみだ。
いつも読んでいただきありがとうございます。
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