2-20.海(2)
難破船に到着。
さて、何が待つやら・・・。
「ステラ、ステラの乗ってた船ってこれ?
「これとは違うわね。もっと小型だったわ。それにどんどん水が入ってきて逃げ出したから、最後がどうなったか分からないわ。」
「エイサン、この船は貴方が見たことがある中で大きい方?」
「大きい。他の大陸と行き来する。数少ない。」
中世ヨーロッパとか簡単にいうけど、ローマ帝国崩壊から産業革命前までとか、当該時代区分が広すぎるんだよね。まぁ、良く分からないけど、15世紀の大航海時代の幕開けの前か、この大陸だけ海運技術が取りこぼされているか。ともかく、レアな大きな船が目の前にあるってことで。
<<ナビ、船の中の安全確認。生存者も同時に確認>>
<<黄色多数。動くほど活力がありませんが、生存者多数。>>
またか。また奴隷さんか。積み荷として残されたのか。
ここは人命救助を優先に動こう。
「エイサン、ステラ、ユッカちゃん!
緊急で行動するよ。この船に人が残っている。
生きている人は安全に注意して救護活動。
伝染病や襲い掛かられる危険があったらすぐに声を上げて連絡。
わかった?」
「「「はい」」」
まだ沈没してないからね。
人が生きている可能性はあるんだろうね。
ただ、何日経ってるの。エイサンがこの情報を掴んだのがいつか判らないけど、とにかく生存者の救出だ。
<<ナビ、船内を探査できれば、生存者方面へルート案内よろしく>>
<<探査後、最短ルートを検出し、左目へ投影します>>
<<ありがと>>
こういうのは、大概船倉とか、船底の方へいけばいいんだろうね。何せ奴隷積んでたらその匂いが臭いし。傾いているから歩きにくいけど、まぁ、赤〇もないことだし、転倒、転落に注意して進もうと。
あ、痛。木のささくれで棘が刺さった。ブービートラップ?この場合は私が間抜けだからブービートラップでいいのか・・・。
ナビからのダウンロードが完了する。
なにこれ、黄色が20個ぐらい固まってあるよ。生きてるのかね?吐かないように気を引き締めていこう。
暗い、暑い、蒸す、臭う、それも汚物臭だけでなく、腐敗臭も。
髪の毛を光らせて進む。
なんか、もぞもぞと動いている。生きてるね。動けない塊みたいのもちらほら。なんだか、人族なのか違うのかすらわからない。老若男女いろいろ。
とにかく進もう。床が斜めでたどり着きにくい。
なんとか辿り着いて、鎖を切る作業から始める。
目に匂いが染みる。汗が垂れて目がぼやける。
汗を拭おうにも床が傾いてて、手が離せないんだよね。
生きてるのか、寝てるのか、死んでるのか、とにかく鎖を融かして切っていく。
50人分くらいの鎖を切ったぐらいまで進むと、後から来た3人と合流した。
「鎖は切ったよ。生死は不明。一人ずつ上まで運んで、状態をみてから回復させるのがいいかな?」
「おねえちゃん、脈をとって、生きてる人に水をあげよう。」
ユッカちゃんは手を光らせてる。ステラさんは、妖精さんみたいのが周りをフワフワとんで照らしてる。エイサンはチョウチンアンコウみたいに光がでてる。私の髪の毛よりちゃんと玉みたいのがぶら下がってる。
「ステラ、エイサン。生死確認と水の具現化はできる?」
「どちらもできるわ」
「できる」
「4人で手分けして、生存者へ水の補給までする。生きてる人のみを、この上の階の空いてる場所に運ぼう。」
「「「はい」」」
状態はともかく、30人くらいが生きていた。
これ、一人ずつ救助してたらいろいろ時間切れになるね。
「みんな、協力してくれてありがとう。この人たちの命を救いたい。もうちょっと一緒に協力してもらえるかな。
エイサン、この付近に島か海岸でもいいけど、30人ぐらいが寝かせられて、新鮮な水が涌いてる場所ってあるかな。なければ関所の前に流れている川まで行くんだけど、ちょっと遠くてね。」
「島ある。近い。飛べないと運べない」
「ありがと。船ごと運んでも、置き場あるかな?」
「意味わからない。けど広い」
「よし、船浮かせるから一度外にでよう。3人は船が飛んでいかないように支えてて」
<<エーテルさん、お願い。この船を重力遮断の膜で包んで。99.9%カットで>>
<<<ふわわ~~ん>>>
船が波に揺られて、ガタガタ動き出す。
他の3人が慌てて、持ち場の船の端っこを空中で支える。片手で船を支えて、片手と両足?で浮きながらコントロールしてる。みんな器用だね。私はできるのかな。
「みんな、大丈夫?」
「「「はい」」」
「もっと軽くする?風影響とか重さのバランスがとりにくいけど。」
「おねえちゃん、大丈夫」
「これくらいなら問題ないわ」
「いける」
「先頭はエイサンでお願い。他の3人はエイサンの進む方向へ合わせる。風で船が流されないように注意」
「「「はい」」」
いつも読んでいただきありがとうございます。
頑張って続けたいとおもいます。
9月末までは日々24時更新です。




