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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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2-03.ピュア

とりあえず、3人で同じ男爵家の家族になることになった。

それよりも、フウマはピュアを使ったことがないって!

「ユッカちゃん、フウマにピュアをみせてあげよう」

「はい」

「「せ~の~!ピュア!」


 って、二人で毎朝のピュアの舞をする。もう、ばっちりシンクロしてるね。


「次はフウマの番だよ」

「え?いや、やったことないですから……」


「その服は洗ってるの?」

「割とよく」


「体は洗ってる?」

「湯あみは温かいお湯が無いとしませんね」


「お湯は簡単に出せるの?」

「え?お湯は薪などをくべて、沸かすものですよね?」


それ、普通だよね。

ユッカちゃんとトモコさんが普通じゃなかったんだよ。


「なんか、一緒に暮らすとなると、気になるんだけど……」

「うん……」と、ユッカちゃんも同意してくれる。

「何がです?」と、全く気になってないフウマ。


「フウマのその服を剥ぐよ。ユッカちゃん手伝って」

「え?ダメです。やめてください!」


「無茶するからね。」

「あ、そんなひっぱたりしたら……」


「あら。この腰のところの出っ張りはなに?

なんか、硬くなってるんだけど……」

「そ、それは大事な物です。勝手に触らないでください!」


「そんなこと言われたら余計気になるよね?ユッカちゃん」

「うん」


「あ、ダメです。揉んだり引っ張ったりしたら……。

中身が出ちゃいます。だめですってば!」

「男の子がそんなに興奮しちゃって!」


「うっ。クっ、うう。あ~~あ~。」


フウマの服の下で腹巻の様に腰に巻いていた布袋から金貨がでてきた。


「なにこれ」

「金貨です」


「なんでこんなにたくさんの金貨を腰に巻いてるの?重いでしょ」

「風に吹き飛ばされないように」


「いつから?」

「先日、お二人を追跡中に突風に煽られて流されました。

それで見失ってしまったことを王子に告げると、

『これでも腰に巻いたらとばされにくいだろ』

と、相当な量の金貨の入った腰巻を頂きました。」


「とすると、次に私たちが身体強化で振り切ったときも?」

「はい。この重い腰巻をしていました。」


「よくこんなの巻いて走れるね」

「結構大変ですよ。お二人の全力についていくのはキツイです」


「もう、突風はないから、それ要らないんじゃない?」

「なんでです?ここから領地へ移動するとき、突風が吹いた場所を通ります」


「ユッカちゃん、いらないよね?」

「うん」


「ほら、大丈夫だよ。それより、ピュアを覚えようか」

「なんか納得いきませんが……。ピュアの魔術ですね?」


「フウマはピュアだよね。ユッカちゃん。」

「うん。いい人。」


 そこは『ピュアだね』って返して欲しかったけど。

 ま、どうでもいいや。


「ええと、じゃぁ、フウマが普段どうやって魔術を使っているかみせてくれる?」

「ここで使って危なくないものでしたら、<隠密行動>で良いですか?」

「いいよ」


 フウマが何事かをブツブツと呪文を唱え始めると、今度は両手の指を複雑に絡めて印を結びながら

最後に忍者が使う忍法のような構えになって、そして最後に光学迷彩をまとったごとく姿が消えた。


「フウマありがと~。解除していいよ」

「了解です」


「ユッカちゃんもやってみて」

「はい。エーテルさん、私の姿が見えなくな~れ!」


ス~っと消えてしまう。


「ユッカちゃん、ありがと。解除して」

「うん」


「じゃ。今度は私がやるね」


<<<光学迷彩>>>


何も言葉を発することなく一瞬にして消える。


『解除するね』


と、また普通に姿を現す。


「こんな風に、同じ<隠密行動>でも様々に消え方あるんだけど、知ってた?」

「いえ、びっくりしました」


「エーテルって言葉は知ってる?さっき、ユッカちゃんが唱えていたけど」

「いえ、それも初めて聞きました」


「魔術ってのはさ、頭で考えたことを具現化する手段ってことなの。だから、頭の中のイメージを明確にするために、呪文を詠唱したり、印を結んだり、体を動かすの。やりたい内容が明確になれば言葉すら必要無いの。わかる?」

「なんとなく」


「じゃ、ピュアって何してるか分かる?」

「いえ。汗を飛ばす?」


「長いけど、人間の体の仕組みから説明するね。

そもそも人間は酸素で栄養を燃やして、活動エネルギーを得ているの。


まず、酸素は口や鼻から空気を吸って、肺に取り込む。

肺は呼吸しているときに胸の辺りで膨らんだりしてる場所ね。

酸素は空気の中に大体20%ぐらい入ってるよ。

それで、肺に入った酸素を血液に溶かして、体中に送っているの。

血を体中に循環させるためのポンプの役目が心臓。

心臓は普通は左胸にあって、手を当てるとドキドキと鼓動してるのが分かるかな。

この血は血管を通って、体中の筋肉とか組織に酸素を送るの。


ここまで大体OK?」

「はい」


「次に、栄養の話だけど、

口から取り込んだ食料に含まれる栄養を、食道、胃、腸を経由していく過程で、各種酵素によって、消化して、栄養分を血液中に取り込んでいるの。だから、血液は酸素も栄養も循環させてるってことになるね。」

「わかりました」


「ここで問題。

酸素と栄養で体内で燃やした後の<残りかす>はどうなるでしょうか?」

「大便、小便として排出される」


「大体おっけ~。

だけどさ、熱が出たり、反応させる触媒とかも必要で、

100%全部がおしっこやうんちとして排出される訳じゃないの」


「まさか?」

「そう、汗として熱を逃がしたり、老廃物が一緒にでてくる。」


「それは汚くないですか!」

「体を綺麗にしたいよね」

「したいです」


「じゃ、ピュアを覚えるんだけど、どうイメージする?」

「体の表面に析出している老廃物の類を薄くこそぎ取る感じでしょうか」


「意味合いは合ってる。今度はそれを頭で良く考えて、

表面の老廃物を足先から頭の先まで順番に除去することをエーテルさんにお願いしてみる」


<<<ほわわ~~ん>>>


「なんかできました!」

「それが詠唱なしで魔術を使うってことだよ。

でも、ハミルトン家では、<ピュアの舞>でピュアするから」


「何故に?」

「それは秘密だよ」

誤字、ニュアンスの修正など。本ストーリーへの影響はありません。

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