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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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2-02.家族

引っ越しの準備自体はそんな難しくなかった。

例の不思議なカバンがあるし、荷物も少ない。

ユッカちゃんもお墓を移さなくていいって言ってたし。

でも、その前に……。

「スザク、引っ越しの準備をするんだけど、その前にいくつか確認しておきたいことがあるの」

「なんでしょう?」


「スザクは、私が男爵領に着いたら、すぐに王子の元へ帰るの?それとも、監視役として残るの?」

「どちらでもありません。強いて言えば、執事、兼護衛役として残る形になります」


「それって、私たち二人を守ってくれるっていうこと?」

「王子の命令になります」


「ふ~ん……。そうなんだ……。これまでど通りに影から?それとも表のサポート役として?」

「臨機応変にどちらでも対応します。私の可能な範囲に限られますが」


「じゃ、表の名前が無いと不便だよね?」

「あまり気にしておりませんでしたが、新しい任務の都合上そうなりますね」


「ユッカちゃん、スザクさんの名前を考えてあげてよう」

「ヒロシ」と、ユッカちゃんが即答する。


「なんか和風だね。それも現代風。スザクどう?」

「もういくつか候補を挙げて頂いた中から選ぶというのは可能でしょうか……?」


「じゃぁ、タツヤ、シンジ、ケンスケ」と、私。

「『執事ならセバスチャン』って、おかあさんが言ってた」と、ユッカちゃん。


「でしたら、表の名前はセバスチャンでお願いします……」と、ちょっと不満気なスザク。

「なんか、長いね。呼びにくいよ」と、私。

「そだね。セバかチャンがいいかも」と、そのまま手を加えるユッカちゃん。


「そ、そうですか……」と、スザクから、かなりガッカリ感が漂ってきた。

「あんた、家族になるんだから、その名前で呼ばれる覚悟してる?」


「「え??」」


 と、スザクとユッカちゃんが驚いた反応を示す。いや、この二人は状況が分かってない?


「スザクが裏も表もサポートしてくれるんなら、家族扱いじゃないといろいろ困る。表の仕事をしているはずの執事が勝手にあるじを放置して、裏の仕事をするために出かけるわけにもいかないし。逆に裏の仕事をしてるのに、表立って執事の仕事をする訳にもいかない。だから、私たち3人で家族を作る必要があるよ」


「おねえちゃん、私もおねえちゃんと一緒の家族になるの?」

「うん」


「確かに私の任務の都合上、その方が良いかも知れませんね……」

「うん」


「じゃ、もっとおにいちゃんの名前を真剣に考えよう!」

「そうですか……。家族……。自分の名前……」


 と、まじめに考え始めた様子のユッカちゃん。一方で、まだ、自分に表の名前をもらって、私たちと家族として暮らすことに実感ができてない様子のスザク。ユッカちゃんの方が柔軟性というか、怖いもの知らずというか、状況に合わせて行動ができるっぽいね。


「自薦があれば、それも受けつけるよ。採用されるといいね」


「タロ、ジロ、リンカケ、フウマ、セイヤ」

「ユッカちゃん、なんかいろいろ混ざってるね。お母さんの影響?」

「そだよ」


「フウマっていうのがカッコいいですね」と、スザクが感想を述べる。

「名前じゃないけどね。サーガの題名の一部みたいな」


「吟遊詩人の物語とか、そういったたぐいでしょうか?」

「たしか、男の子達が10種類の剣を集めて戦う話だったかな……」

「なんか、ますます気に入ってきました」


「ユッカちゃん、どう?」

「いいよ」

「じゃ、スザクの表の名前はフウマで決まりね」


「次にかばねなんだけど。もし問題なければコグレで決めたい」

「ええと……。あの……。どうしてもというのであれば……」


「フウマは、なんか言いたそうだね。ユッカちゃんはどう?」

「おねえちゃん……。本当に……?」


「分かった。これも二人で決めてね」


もう、いいよ……。

ピザも木暮もダメっていうなら、好きにして頂戴。

フウマとかさ、漢字で書くと風魔でさ。<風の魔物>のことだよ。

木暮なんてさ、森の中の木こりが暮らしてる感じでいいと思うんだけどね。

この世界にはこの世界の考え方と意味があるんだよ。きっと。

考えちゃだめだね……。


「メークイン、キタアカリ、インカノメザメ」と、ユッカちゃん。

「ベニアズマ、ナルトキントキ、アンノウ」と、フウマ。

「君ら、ジャガ男爵に喧嘩売ってる?」


 ユッカちゃんは明らかにジャガイモの品種を知ってて言ってる。こっちの異世界に品種改良なんてバイオテクノロジーがあるとは思えないし。まして、その品種が日本で開発されたのが紛れ込んでるのは絶対にトモコさんの影響だよ。

 フウマの方はサツマイモの品種だけど、フウマがどこからともなく、日本サツマイモの品種を知ってる訳がないし。先祖に転生者が居たのかな?


「「何が?」でしょう」と、ユッカちゃんとフウマの答えが被る。


「ユッカちゃんは、わざとやってない?」

「豊作祈願!」


「スザクのそれは?」

「祖父のメモに」


「あのね?この家の爵位は変わるかもしれないけど、姓は変えられないよ?真面目に考えてる?」

「分家するとき、いいのを考える」と、ユッカちゃん。

「王子の元に戻るまでの仮の姿ですので……」と、フウマ。


「今!後悔しないのを考えて!!」

「なんか怒ってる。つまんない」

「すみませんでした……」


「オダ、トヨトミ、トクガワ、モウリ、チョウソカベならどれ?」

「トヨトミ!」

「チョウソカベでしょうか……」


「じゃ、そのどっちかにしよう」

「チョウソカベでいいよ」

「トヨトミで結構です」


「『ヒカリのことだから自分には関係ない』とか、まだ思ってるでしょ?」

「「ううん。チョウソトミですよね」」


「チョウソトミは私が嫌だな……」

「「我儘」」


「なんか……。コグレにするよ?」

「「それはダメ」」


「お~い~!」

「シュナイダー!」

「ロッテンマイヤー」


「ハミルトンかスコットのどっちかに決めるよ」

「「ハミルトン」」


「やっと決まった。ハミルトン家にしよう。


ヒカリ・ハミルトン

フウマ・ハミルトン

ユッカ・ハミルトン


悪くないね。これでいくよ」

「「ハイ」」


「やっと一つ終わった。次は領地のことだ。引っ越す先の領地はどこにあるの?」

「旧ジャガ男爵領です。バイロン侯爵の領地から南東に少し。ここから城下町ぐらいの距離です」


「ジャガ男爵はどうなった?」

「処刑されました」

「そう……。わかった」


「そこは広いの?」

「北側はキリギスの街が境界線です。バイロン卿と接する形になります。

西側は街道までで、こちら側もバイロン卿の領地になります。

南側は館の敷地の庭先に川が流れていて、その川が境界線です。その先は自由貿易組合メルマの支配する領域になります。

東側は館の先は未開の地でして、領地として囲った分だけ領地の所有権を認められます」


「領地の住民は?」

「館と使用人小屋、奴隷小屋に住んでいまして、約30名との情報です」


「うん?領地の収入が無いね」

「行ってから説明します」

「だいたい分かった。ありがとう」


「じゃ、最後だ。スザク=フウマの情報を頂戴」

「情報といいますと?」


「こんな内容が知りたいよ。

1つ目は、魔法や魔力を駆使して行える術のリスト。

2つ目は、武術や体力を基本とした戦闘技術のリスト。

3つ目は、執事としての家事能力。

4つ目は、領地を運営する基本知識と能力。

かな。」


「随分とたくさんのことを知りたいのですね。

魔術に関しては、地水火風+光闇の6属性をランク3まで。

戦闘系魔術は、身体強化、隠密行動、索敵、回復、治癒です

戦闘技術は、騎士レベル3、アサシンレベル5、

家事能力は、炊事、洗濯、清掃、裁縫は人並みにできます。

領地運営は、リチャード王子と一緒に習った範囲までです。

このような感じでよろしいですか?」


「ランク3がどこまで解放されているか判らないけど、

ピュアとか、魔石生成はできる?」

「すみません、仰る意味が良くわかりませんが……」


「ユッカちゃん、見せてあげて」

「はい。ピュア!魔石生成!!」


と、体の浄化とピンポン玉サイズの魔石作成を一瞬で行う。


「どう?」

「初めて見るのですが……」


「普段はお風呂とか、体臭とかどうしてるの?」

「と、いいますと?」


「汗臭くなったりしない?」

「汗は出ますが、この服が吸収しますね」


「「え?」」


 ユッカちゃんと二人と同時にびっくりしたよ?

 だ、大丈夫なの?

誤字などの修正。ストーリーへの影響はありません。

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