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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?  作者: tinalight


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3-96.外交の架け橋(7)

さ、フウマ出番だよ!

「それでは報告させて頂きます。

エスティア王国内に流通していた<贋金>の鋳造元がロメリア王国内の鉱山と鋳造工房であることが判明しました。

また、その鋳造された<贋金>はロメリア王国内の財務大臣、国防大臣、運輸大臣の3名に配達されており、<融資に対する対価>として受領していることが判りました。」


「フウマ!無礼であるぞ!証拠も無しにそのような重大な告発を行うのか!」

「ヒカリ・ハミルトン卿、お言葉ではございますが、物的な証拠及び証人も複数名確保しております。」


「フウマ、物的証拠とは何があるのか、皆が納得できるものを示すが良い。」

「ハイ。

金貨鋳造の核とする鉛の通貨、その鋳型、金コーティング、その鋳型の4点を持参しました。」


フウマが、金貨より一回り小さな鉛の鋳型と鉛の通貨

そして、金コーティングをして、そこに型を押して仕上げる金型を示した。


「フウマ。それは<贋金が作れること>の証拠に過ぎない。お前が贋金鋳造犯と疑われても仕方あるまい。」

「はい。これは金型の一部であります。もう夜ですので、朝一番で皆様を鉱山と工房へ案内することが可能です。」


「皆様、今のフウマの報告によって、<ロメリア王国内に贋金鋳造設備が存在したこと>これはほぼ間違いないと考えられます。明日の朝一番で確認に向かうことは問題ありませんが、この前提を覆すような証拠など、ご意見はありますでしょうか。」

「・・・。(ALL)」


「フウマ、続けて。」

「工房の護衛役、管理人を証人として連れてきています。その者達から<3大臣による融資活動>として依頼を受けた活動であることが判明しています。

また、3大臣の執事長、メイド達数名ずつからも、<数年前より、給金がロメリア王国の通貨では無く、エスティア王国の通貨に代わり給金も良くなった>との証言をとってあります。これらの者達もこの場へ召喚できます。」


「フウマ、もう一度確認する。その3大臣とはロメリア王国の大臣のことで、

財務大臣であるウフィッツ卿

国防大臣であるスミソニアン卿

建設大臣であるルーブル卿

このお三方で間違いないな?」

「ハイ!」


「ありがとう。またこの内偵作業に対しては後ほど報酬について打ち合わせよう。フウマと証人の召喚があるかもしれないので、そこに控えていて欲しい。」

「分かりました。」


「メディチ卿、無知な私を助けて欲しいのですが、お尋ねしても宜しいでしょうか?」

「ヒカリ殿、本件大変重要な案件です。お役に立てる知識があれば、協力しましょう。」

「ありがとうございます。

ストレイア帝国において、<贋金づくり>はどの様な罪に問われるでしょうか。」


「本人は死刑、全ての財産を没収の上、一族は犯罪奴隷となります。3族皆殺しよりは刑が軽いですね。」

「ロメオ王子、リチャード王子、それぞれの国の法律も同じ厳罰になると考えて宜しいでしょうか?」

「ハイ(二人)」

「お三方、回答ありがとうございます。」


「今回は、他国の<贋金>を鋳造しているため、各国の法律には触れない可能性があり、また、エスティア国外在住の貴族で有れば、そう簡単に手出しができないでと思われます。メディチ卿、このような場合、ストレイア帝国としてはどのような判断を下しますか。」

「基本的には帝国内にある国家間の揉め事には不介入です。ですが、エスティア王国より要請があり、介入をするのであれば、ロメリア王国をストレイア帝国が統治する形になり、<贋金>に関してはエスティア王国の責任にて回収する必要が出て来るでしょう。」

「メディチ卿、ありがとうございます。つまり、当事者同士で問題解決が図られれば、その事例で事が進むという理解で宜しいでしょうか」

「ヒカリ殿、その解釈で構いません」


「ロメオ王子、王国の存続を希望であれば、私がエスティア王国の方達との仲介をすることは可能であると思います。如何お考えでしょうか?」

「わ、私はまだ皇太子であって、その権限がありません・・・。」

「権限があれば、判断しますね?」

「もし私にその権限があれば、ロメリア王国を存続させるために全力を尽くします。そのための仲介をヒカリ殿にお願いしたいと考えます。」

「分かりました。」


「リチャード王子、マリア様はこれを想定して呼びに行ってるんだよね?」

「ヒカリ、その通りだよ。心配なら例の方法で確認してみればいいんじゃないかな?」


<飛竜の念話>のことだね。

確認するまでもないけど、この状態になる前から動くって、半端ない先読みと決断力だ。


「リチャード王子、ありがとうございます。

メディチ卿、重ねての質問ご容赦ください。<奴隷が起こした犯罪はその主人がその罪を負う>という解釈はストレイア帝国または国際法で定められているという理解で宜しいでしょうか?」

「ヒカリ殿、問題ありません。しかし、ここにいる貴族の方達は<奴隷>とは関係がありませんが、どういった話になるのでしょうか。」


「ロメリア王国の財務大臣が<贋金づくり>に加担していて、尚且つその財務大臣に<奴隷印>が付いている場合、その<奴隷印>の所有者が<贋金づくり>の罪を被ることになると考えます。」

「ヒカリ殿、その確認作業がこの後で始まるのですか。であれば、そこに座っていらっしゃるロメオ皇太子がロメオ王になります。」


「ロメオ王子、会話についてこれていますでしょうか?」

「ヒカリ殿、大丈夫です。

ですが、父はまだ存命で、強固な城に守られています。その罪が発覚しても、城を攻め落とされるまでは王位を譲らず、最後まで抵抗を試みると考えます。

さらには、あの城は攻めにくく、包囲しても周囲のロメリア軍に挟撃される立地となっているため、法による裁きだけでは王位継承は、ままならぬでしょう。」


「ロメオ王子、このような重大な事態に於いて冷静にご判断されており安心しました。そのように考えられるのであれば、私がエスティア王国の方達と仲介の役に立ちましょう。」

「ヒカリ殿、先ほどの模擬戦の戦闘は素晴らしい物であったと考えます。

しかしながら、城攻めと平地では勝手が違います。

あの城は正面のみからの攻撃しか受け付けず、深い自然の谷を隔てて橋1本で繋がっています。

500人の兵士が籠城しても3ヶ月の食料が備蓄されているので、包囲して兵糧攻めをしても、囲んでいる側が挟撃されるのは先に申した通りです。」


「500人の兵士の他に、給仕する者達も含めると相当な人数が城に居るのでは?」

「600人程度を見込んで頂ければと思います。」

「馬などは城内に飼っていますか?」

「いいえ。出兵するときに馬は必要ですが、籠城するときには不要なので兵士のみです。」

「とすると、備蓄庫に食料が無い状態では10日間は持ちこたえられませんね?」

「普段の食事は橋を通じて定期的に補充しています。また備蓄倉庫は乾燥させた肉類や穀物であるため、腐敗などの問題もありません。水は井戸や谷川から得ることができます。」

「橋を押さえてしまえば、定期的に補給される数日分の食料が城内にあるだけでしょう?」

「ヒカリ殿、ですから備蓄庫が・・・。ま、まさか?」


「何かの災難によって、備蓄庫の中身が消失しているかもしれませんね。ネズミの大量発生ですとか、崖崩れなど、何が起こるか判りません。」

「いま、王宮でそれが起こっていると?しかし、橋は封鎖されておらず、王宮から城下町に避難すれば良い訳です。」


「恥も外聞も無く、国王が城を捨てて避難するのは如何なもかと思いますが、そもそも数日で橋を越える工事が可能かどうか・・・。」

「ヒカリ殿、橋を落とされたのでしょうか?」


「ステラ、落とした?」

「ヒカリさん、落としてませんわ。でも、私を呼び捨てにすると、皆が怒りますわ。」

「ステラ、ごめん。疲れたんだもん。もう、終わりだよね?」

「もうちょっと辛抱してください。マリア様が戻って来るまでですわ。」

「わかった・・・。」


「ステラ様、質問させて頂いて宜しいでしょうか?」

「ロメオ王、これから国の統治頑張ってください。私の分かることでしたら、差支え無い範囲でお答えしますわ」

「あの、ヒカリ殿とはどういったご関係なのでしょうか?」

「今、私はヒカリさんに養ってもらっているので、とても大切な人ですわ。」

「ステラ様は、あのステラ・アルシウス卿ご本人ですよね。」

「そうですわ。何かお見せしましょうか?」

「あ、いえ・・・。いや・・・。」

「では、今後の友好の意を込めて、こちらをプレゼントしますわ。」


って、ステラが王子の手をとって、そこにステラの手ひらから魔石を生成して落とす。大きさはピンポン玉サイズの金貨5枚程度だけどね。


「す、ステラ様、これは<魔石>でしょうか?」

「そうですわ~。記念にお持ちくださいね。」


ロメリア王国の人は唖然としてる。

メディチ卿も半眼でコッソリ見てるけど、目の前で出されたのは今回が初めてだもんね。勘がいいから、あの大きな魔石もだせるか確認しに来るかもね。

ま、いいや。


「ステラ様、先ほどのヒカリ様との橋の件について伺っても宜しいでしょうか?」

「そうですわね~。ヒカリさんはここまで見越して、王宮を封鎖したかったのだと思いますわ。橋には見えなくて堅牢な石があります。皆様困るでしょうね。」


「ステラ様、詳しく伺っても宜しいでしょうか?」

「まず、<隠密行動>と同じ型の印によって、その石は肉眼では見えませんわ。

次に、その石に<魔術封しの印>が掘られているので、その<隠密行動の石>の所在を魔術を駆使して見破ることは出来ませんわ。

あたかも、<見えない壁>が橋の上に出来上がったような状態ですわ。

各種保護コーティングが施してあるので、壊すのには苦労しそうですわ」


「ステラ様がそれを置かれたのでしょうか?」

「私は石の説明をしただけで、私がそれをしたとは言ってませんわ。必要があれば、解除して差し上げますわ。」

「ステラ様、分かりました。お答え頂きありがとうございます。」

「いえいえ、どういたしましてですわ。」


「ヒカリ殿、エスティア王国の方達への仲介をお願いできませんでしょうか」

「ロメオ王子、王になる覚悟はできたようですね。マリア様が到着するまで少々お待ちください。」


さ、王様、お妃様、ロメリア王国の奴隷印が付いた財務大臣の到着待ちだ。


いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。

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