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異世界で気ままな研究生活を夢見れるか?〜魔法と理系の知識でゼロから生活を立ち上げる〜  作者: tinalight


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3-53.視察(3)

さぁ、ミラニアでアルバートさんと合流だ。

問題無ければ城下町まで、とっとと行きたいな。

渡し船は、たまたま乗り合いの船とタイミングが合ったからそれを使うことにした。私はフウマの衣装を借りてるから、ひたすら黙ってフウマの後ろをついて行った。

フウマは使い慣れてるのか、チケットを二人分買って、私を誘導して、ささっと船に乗り込む。

船はボートが長くなった程度の木造の屋根なし。当然モーターとか無いから手漕ぎ船。

川の流れで船が下流に流されちゃうから、船着き場がちょっと下流にある。川の淵では流れが緩やかだそうで、遡ったり、ロープでちょっと上流の船着き場まで引っ張ったりするのだとか。随分面倒だね。

大井川でやってたみたいな人力で渡した方が無駄がないんじゃないかな?

川の深さとか判らないから素人が憶測で言っちゃいけないのかもね。


「姉さん、着いたよ。このままミラニアに向かうよ」

「(分かった。走る?馬車?)」

「(人通りが少ないところから走ろう)」


コクンと頷く。

とにかく、人目がるところではフウマとも喋らないように気を付ける。

警戒して、し過ぎることはないからね。

<身体強化><索敵>は常時しておいた。

あとは、フウマのタイミングに合わせて<光学迷彩>掛けて走るだけだった。


ーーーー


道中なんら問題無く、門のところまで到着。

予めランドルさんが用意してくれていた通行証でフウマも私も通行できた。


街を囲う壁の外側からは判らなかったけど、一言で言うなら圧巻。

デカい、広い、整然としてる。

そして、所々に防衛を目的とした城壁のような検問所のようなアーチ型の場所が見える。こりゃ、戦争したら負けるよ。国力10倍は伊達じゃないね。

そりゃ、まぁ、普通に考えて、農耕や狩猟だけやってて国力が増強される訳では無くて、経済活動による活性化と付加価値の創出が重要だよね。

だから、昨日のサイナスの宿屋とか夕飯もボッタクリ価格に思えたんだ。

これは、生活費が大変そうだ。

いろいろフウマに聞いたり、ちょっかい出したいお店がいっぱいあるんだけど、なるべくフウマから視線を逸らさず、ひたすら大人しく後ろをついていく。

私らしくないね。


「(姉さん、もうちょっとでアルバートさんが宿泊している宿だから、そこまで我慢して)」

「(了解)」


う~~。なにあれ、あの屋台で売ってるホットドッグみたいの。

絶対に美味しくないんだけど、匂いだけは美味しそうだよ。

その隣ではケバブみたいのを売ってる。

あ~~!もう!くやしい~~。


「(姉さん、僕の服をそんなに強く引っ張らないで。不自然だよ)」

「(ご、ごめん)」


割と街の門を入ってからさほど遠くないところのメイン通りから、ちょっと入ったところに宿があった。迷子にもなりにくいし、中心部から外れてるから行動も目立たないし、ちょっとは料金も安いのかな?

フウマが受付のおばさんに声をかけるのを後ろからじっとみてることにした。


「ただいま。いつも二人で予約しているフウマだけど、同じ部屋に一人追加でお願いしたいのですが、構いませんか?」

「あいよ。食事はどうするんだい?」


「アルは今日はどんな予定か言ってましたか?」

「外で食べると言ってたね。ここ2-3年物価が上がってるから、宿で食べても外で食べてもあまり変わらないよ。」

「でしたら、我々も食事は無しで。この人の追加分を一週間先払いで良いですか?」


「ああ、構わない。先払い7日分で小金貨5枚にまけておくよ。ただしキャンセルしても、利用しなくても返金は無しだ。いいね?」

「お願いします。」

「食事、お湯の利用はその都度、別料金で受けるから気軽に声を掛けておくれよ。」

「助かります。そのときはよろしくお願いします」


「そうそう。その連れの名前を伺っておいてもいいかい?」

「リカと申します」


「おや、女性なのかい?」

「はい・・・。外ではフウマの弟のフリをしてるので、ご内密に」


と、小金貨3枚をそっと差し出す。

宿屋の女将はそれを素早くガシッと握り込む。


「ああ、いいよ。困ったことがあれば相談に乗るよ。朝に顔を洗うお湯ぐらいなら、一週間の内緒でサービスしてあげるから、声をかけておくれ」

「たすかります・・・。」


ーーーー


二人が部屋に案内されると、割と小ぎれいな部屋で、ベッドが4つあった。これ、十分宿として機能してるでしょ。昨日に比べたらエライ違いだ。


「姉さん?」

「ごめん。でも、どうしても・・・。」


「理由を聞いてもいい?」

「2つあって、

一つ目は一週間も滞在すると、体臭とかで女性と分かっちゃう。部屋での話し声なんかでも聞き耳を立てられると、女性って判かって不審に思われるから、最初からそこで疑われるのは消しておきたかったの。

二つ目は、この<リカ>っていう偽名が役に立つかもしれないから、そこで登録しておきたかったの。」


「一つ目は分かったよ。確かにそうだね。二つ目も聞いておいていい?」

「飛竜騎士団とパーティーをしたときの偽名が<リカ>だったの。そして、ロメリアの王子のロメオさんに気に入られてるの。だから、いざってときに、役に立つかもしれない。」


「え?」

「なんか、いろいろあって、そうなったの。」

「リチャード王子はそのこと知ってる?」

「ううん。でも、お妃様はメイドとして、そのパーティーに出席してたから知ってるよ。」

「そうか。僕は承知したけど、リチャード王子との婚約がちゃんと決まるまで、あまり公にしない方がいいかもね。」

「うん。というか、<リカ>は関所で働く下っ端のメイド扱いだよ。だから、プロポーズとか婚約とかは無いよ。」


「王族は何するか判らないから、気を付けるに越したことはないよ。」

「私と会ったときは、飛竜騎士団の下っ端という扱いだったけどね。」

「そこのコネを利用できたら、情報収集も捗るかもね。ま、アルさんとの合流を待とうか。」

「うん」


アルさんが帰って来るまで時間がありそうだから、フウマにミラニアの街を案内してもらった。フウマもそんなに長く居た訳でなく、どこに何の商店街があるかぐらいをアルさんに教えて貰っただけなんだって。

とりあえず、私用の男服を調達することになった。胸にサラシも巻いた方が良いってことで、布類と男性用のチュニック。そして髪染めの染料も探したけど、黒色は染まりにくいってことで、カツラみたいな帽子を被って、さらに普通のバンダナを頭に巻いて、首元から下あごにかけてターバンのような布を巻くことにした。

これって、一見して私っぽくないよ。眼鏡とか瞳の色を変えるコンタクトとか無いから、まぁ、この辺が限界だね。


次に立ち食いを試してみたよ。

串焼き肉とか見事に美味しくない。

硬くて臭いのね。マトンとか、牛の内臓みたいな独特の臭いがある。

次はトウモロコシね。

うひゃー。味が無い。塩をかけて食べるんだね。

なんていうか、炭水化物の摂取みたいな感じ。水分少なくて粉っぽさ多め。

日本の水分たっぷりの糖質13度とか表記あるようなのと違う。

コーンの粒に小麦を詰め込んだとでも言おうか。

お腹はいっぱいじゃないけど、心が一杯になった。


しかし、賑やかだね。メイン通りは石畳になってるし、客引きも盛んだ。

お洒落なお茶をするところもあるよ。

紅茶やコーヒーは貴族しか飲めないだろうから、どんぐり茶でもでるのかな?


「フウマ、すっごい賑やかで、華やかで、都会的で活力に溢れてるね」

「表面上はそう見えるだろ?」

「え?なにか問題でも?」


「ちょっと街の外れに向かって奥まで進んでみようか。

その前に<身体強化><索敵>とか防御系魔術が出来る物は全て発動しておいて。

あと、貴重品は厳重に体に括り付けておいて。

ナイフとかも自分じゃないと取り外せない結び方で固定して。」

「わかった。」


ーーーー


一本メイン通りから外れただけで泥と言うか土を固めた凸凹道。

歩道というか路肩というかには、家みたいなのの庭みたいのが並んでる。

曖昧過ぎて申し訳ないけど、家なのか小屋なのか、良く判らないし、その前が庭なのか、道なのか、空き地なのか、境界線がはっきりしない。

要は、家の敷地とか土地って概念が無いんだろうね。

あと、所有権とかなくて、勝手に移り住んできちゃったのかな?

良く判らない。


で、服を着てなくて、腰巻だけの人が増えてきている。

路上にゴミが捨てられてて、囲いも壊れたまま。

なんか薄汚いね。


「(フウマ、どういうこと?)」

「(光と影ってことさ。この先も見たいかい?)」

「(今より深い闇があるの?)」

「(姉さんの嫌いな世界が待っているよ。ただ、それがこの世界の現実だよ。どうする?)」

「(私はこの世界のことを何も知らない。フウマが助けてくれるなら勉強しておきたい。そして実際に自分の目でみて考えることで、より真剣に向き合えるかもしれない。)」

「(わかった。姉さんがストップと言うまで、このまま進むよ)」


さらに進むと街を囲む壁の中なのに、崩れかかった家や掘立小屋が並び始める。関所に在った奴隷小屋よりもっと粗末な感じ。竪穴式住居?

子供たちがウロウロしてこっちを睨みつける。浮浪者なのかな。痩せてて目つきがギロギロ光ってて、獲物を探している感じだね。

あ、人が倒れてる。寝てる?ひょっとして死んでる?

これって、スラム街?


ああ・・・。

私が住んでいた世界にも貧しい地域があって、こういう街があったね。

TVでは映されない現実がさ。

家族で海外旅行に行かせてもらった経験が思い出されるよ。

あのときはガイドさんがバスの中から景色を説明してくれたけど、

今ここにあるのは私が戦って負かす国民なんだね。

私が勝利したら、ここの人たちはどうなるんだろう・・・。

私の領民になったら、私は何ができる?

よく、考えないとね。


「(姉さん、この先は入るのを止めよう)」

「(どうして?)」

「(伝染病の発生源の疑いがある地域なんだ。僕も病気から姉さんを守ることはできない。)」

「(了解。それは危険だから撤収しよう。飛んで関所に戻れればいいけど、病気だと魔術を駆使するのも厳しいからね)」


ここの人たちは、治水工事関連で健康度に応じて仕事を与えたら、この人たちは前向きに働けるんだろうか?そもそもも、<働いて自分の糧を得る>っていう考えがそもそも無いのかな・・・?


う~ん。私の浅薄な知識では考えがまとまらないよ。

いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。

今後とも頑張って続けたいとおもいます。


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