3-12.妖精との対話(1)
クロさんから質問がきたよ。
「あー。ヒカリ殿いいかな?これはウンディーネの話とは別の個人的な興味として伺いたいのだが。」
「クロさん、なに?」
「ステラ殿が探索した地下迷宮で、私が残した暗号があったと思われるが、あれを見つけて解いたのか?」
「うん。無いと不味かったね。とても助かったよ。」
「あの内容を見つけて、詠唱封し覚悟の上で、浄化しつつ、私が封印されていた<闇の鎖>を断ち切ったのか?」
「うん。あと、あの<光学迷彩>の扉を投影したのもクロさんか、闇の妖精さんの力でしょ?」
「ああ。何らかのナイトメアに気づかれずにヒントに成ればと思ったが、人間が意味の無い物と分かりながらに最深部まで到達して、意味の無い暗号を解いて、詠唱が封じられた中での救出をしに来るとは考えていなかった。」
「私にとっても、私たちにとっても、とても重要な意味があったよ。だからクロさんを救出したことは、クロさんのためだけにしたことじゃないよ。」
「重要な意味とは、例の<冷蔵庫の自動化>の話か?」
「あ、あ・・・。そうか、そう思うよね・・・。確かに重要なんだけど・・・。私個人とお妃様の間のお話だよね。その前に、私はここの領主として、この領地と領民を守る必要があったの。領地と領民を守ることは王子から貰ったものを管理するという意味だけじゃなくて、ここに暮らす仲間達との絆を維持するために必要なことなの。」
「ヒカリ殿の実力からすると、運任せに仲間を危険に晒して、仲間を利用して、自分のやりたいことを手伝って貰っただけに感じるのだが?」
「ステラどう?」
「いいえ、違うわ。」
「ヒカリ殿が何らかの役に立てたとしても、仲間を窮地に追い込んだ無謀な作業だったことには変わりないだろう?」
「なんかこの妖精の親子からの信用が無いね。これもライトさんの救出と一緒で、簡単に報告してるけど、簡単な話じゃないんだよね。」
「ああ、僕もそう思うよ。ヒカリと一緒に行動してたから庇うわけじゃないけれど、王宮での経済戦争は僕も支援したが、ヒカリだから勝てたようなものさ。きっと、迷宮の中も似たようなことだと想像できるよ。」
「クロさんや、まだ続けるのかのぅ?ヒカリさんの機嫌が悪くなると、デザートが食べれなくなるんじゃが。」
「私は・・・。私は・・・。自分が救出される方法も見てないし、ライトが救出される方法も見てない。」
「これから面白い物が見れて良かったね。」
「ここに居れば面白いのじゃ。」
「あと、クロさんのナイトメアの件だけど、そのうち罠に嵌るから待ってればいいよ。」
「姉さん、そういうこと言うから・・・。」
「だって、嘘言ってもしょうがないし、探しに行くのも面倒でしょ?」
「クロさんは封印されてて、この国の情勢も判らないし、姉さんがどんな罠を仕掛けたかもわからないから、意味が分からないんだよ。」
「フウマが説明しても意味が分からないと思うよ?」
「姉さんが悪いんだからね!」
「フウマが説明して意味が通じないなら、フウマの説明の仕方が悪いんでしょ?」
「じゃ、俺が説明してみるよ。
戦争を仕掛けているロメリア王国としてみれば、エスティア王国の風土病の進行具合を確認すると思うんだ。そのために地下迷宮のクロさんの状態を確認するとおもうけど、最後の封印の部屋に姉さんが<重力遮断の膜>を仕掛けて、尚且つ<風を循環させる結界>も設置してあるから、無詠唱でどちらかを破壊できないと、あの階から脱出できなくなるんだよ。」
「フウマ、それ言う?」
「言わないと、判らないだろ?」
「いや、そうじゃなくて・・・。」
「フウマ殿、良ければ風土病と私の封印の関係を説明して欲しいのだが。」
「あ!あの・・・。その・・・。」
「クロさん、ごめんね。隠してた訳じゃないけどさ。貴方の体液を利用した結界を用いて、エスティア王国では肺の病が風土病として蔓延してたの。さっき、<領主として大事な意味があった>っていうのもさ、この領地の中に地下迷宮があって、風土病の原因があるならそれを領主が解決しないといけなかったんだよ。」
「ぐ、ぐぅ・・・。ま、まさか・・・。」
「うん。貴方が人間の戦争の道具として利用されてたの。ライトさんの入ったペンダントを囮にでも使われたんでしょ?」
「何故、最初からそれを言わなかったので?」
「その事実をクロさんに突き付けることは公平じゃないから。」
「が、しかし・・・。ひょっとして、今朝のそっけない様子もそれが原因で?」
「そりゃ、そうでしょう・・・。<神器1個返せ><長年の風土病の責任とれ>とか言ったら、全力を尽くしてエスティア王国を支援しようとするでしょ?そんなことしてくれたらロメリア王国にばれて、準備が整わないうちに全面戦争になっちゃう。だから、クロさんとライトさんのことは穏便に済ませたかったの。」
「姉さん、俺にそれを判れっていう?」
「人が死んでるとき、見捨てたでしょ。」
「あれは、必死に姉さんのやりたいことを読んでただろ?」
「私は、起きてる人に任せたかったの。今は何故読まない?」
「姉さん、あのとき以降、<念話ガード>しっぱなしだよ。」
「え?」
「ヒカリさん、<思考漏洩防止>と<念話ガード>は別々のスキルとして管理できます。朝の事件以降、両方のスキルを発動されており、解除されていません。」
「1:1の<念話>も通せないから、姉さんのやりたいことを確認もできないんだよ。」
「そ、それはごめん。<念話ガード>は直ぐに解除するよ。」
<<<念話ガード解除>>>
「で、どうしよう?」
「ヒカリ殿、それは私の台詞なのですが。」
「夕飯のときに挙がった内容を解決するために手伝って欲しい。これから始まるロメリア王国との戦争準備も手伝って欲しい。以上。」
「承知しました。」
いいのかな?
いいことにしておこう。
長老との話も控えてるしね。
いつも読んでいただいている皆様には感謝しています。
今後とも頑張って続けたいとおもいます。




