第百十六話 他愛のない話
※前半京太朗は馬鹿になります。
※少しだけ真面目に考えるシーンもあるけど最終的に後半も京太朗が馬鹿になります。
※男子高校生ならしょうがないの気持ちでお願いします。
第百十六話 他愛のない話
「猥談をしよう」
「のった」
「ほう……」
「いや突然どうした」
場所は相原君の部屋。そのリビングにいつもの四人で集まっていた。
と、いうのも。
「今課題やってんだから後にしろよ……」
そう、学校の課題……というか宿題をやっているからである。
うちの学校は『とにかくダンジョンに行け』というスタンスだが、教師陣は違うらしい。『生徒達の将来の為に』と凄く教育に熱心なのである。
うん。中学とか前の高校の先生たちと比べてかなりいい先生なのはわかる。わかるけど、それはそれとしてめんどい。ダンジョンに行っている分の遅れを取り戻さんと補習も課題もガッツリ出してくるのだ。
本人達も忙しいはずなのに、一切手を抜かずなんなら空き時間にまで積極的に教えてくれるぐらいには熱心だ。将来の事を考えたら本当にいい先生たちである。きっと五年後ぐらいには自分も凄く感謝しているだろう。電話で学校生活について聞いて来た両親も、その点には安心しているようだった。
だが今の遊びたい盛りにはきっつい……体力的には覚醒者特有の頑強さで問題ないのだが、精神的にきっつい。
そんなわけで、ダンジョン通いがクラスでも多い自分達は課題の山に悪戦苦闘しているわけである。
「気分転換……気分転換をさせてくれ……」
「気分転換で猥談ってどうよ」
「嫌なら貴様の恋バナにシフトするが?」
「俺はそれでも構わねぇぞゴリラ」
「人の恋愛模様ほど茶々を入れて楽しいものはない」
「お前らそっち側かよぉ!?」
嘆くゴリラ。悲しいかな、貴様の森は既に人間によって包囲されているのだ。
こうやって自然は破壊されているんだなって、眼の前の熊井君を見て思った。国営放送の教育番組見ている気分になってくる。
「つうか課題あとどんぐらい残ってんのお前ら」
「あと三割ぐらい」
「残り二割」
「もう終わった」
「「「マジで!?」」」
もう余裕をもって今日中に終われるなと思っていたら、既にゴールしていた奴がいた。相変わらず無駄に高性能だな相原君……。
流石『自称出〇杉君枠』。はんぱねぇ。
「ああもういいよ。話せばいいんだろ、話せば」
「恋バナを?」
「猥談だよ!この流れで鉄子さんの話したかねぇよ!!」
熊井君の言葉を聞き、そっと魚山君に耳打ちするそぶりをする。ただし声量は普通ぐらいで。
「聞きました奥さん。あのゴリラあんなに猥談がしたいって」
「聞きましたわ奥さん。発情期かしらあのゴリラ」
「よし、殴る」
「OK、おちつゴッ」
「話せばわがっ!?」
「学習しねぇなこいつら」
ゴリラの拳を受けダウンする僕らに、相原君が呆れたように呟く。
「で、言い出しっぺなんだからはよ言え」
「ちょっと待って、内臓が……胃がちょっとマジであかんどすばい……」
「何語?」
「日本語」
お茶を飲んで落ち着いてから、両肘を机につき口元で指を組む。
「さて……今回はあえて、『メインとは別の性癖』について語りたいと思う。いわば『第二性癖』だ」
「っ……!」
「おいおいマジかよ……!」
「なん、だと……!?」
三人一様に動揺を露にする。しかしそれも無理からぬ事だ。
第二性癖。それはメインの『いつもお世話になっている』性癖ではなく、時折思い出したように猛烈な飢餓感を覚える性癖の事。あるいは、『○○もいいけど△△もいいよね』と思える性癖だ。
捉え方は人それぞれである。だって今適当に考えたし。
「知っての通り、僕は巨乳が好きだ。だが―――『尻』もまた。素晴らしいものだと思っている」
『第二性癖――解放』
「ある意味予想通り、か」
「続けたまえ」
「ふむ」
腕を組み考察する姿勢の熊井君。僕と同じ様なポーズをとる相原君。眼鏡の位置を直す魚山君。
室内に硬い空気が流れる中、僕は続けた。
「母性の象徴、それはおっぱいだ。しかし人がまだ二足歩行できていなかった時代、どこを見て欲情していたか。それは尻だ。尻肉だ。それは間違いない。人類史でもっとも古く、そして未だ続く性癖とは尻なのだ」
人類史は『エロ』と共にあった。三大欲求とは種の存続に欠かせぬものであり、それの否定は今までの歴史への否定となる。そして性欲とは、三大に数えられる欲望の一つだ。
無論、エロの為に何をしてもいいというわけではない。だが人とエロは切っても切り離せない。食事や睡眠が不可欠なのと同じように。であれば、ただ遠ざけるのではなく理解をしていかなければならないのだ。
そうして考察された結果、アメリカフロリダ州エロティック大学のケーツ・ローラン博士が『ケツこそ人類最古の性癖である。プリケツ最高』と発表したのだ。とんでもねぇ変態である。
しかし、これを言ったのは別に『だからケツ派こそ最強』という意味ではない。性癖に、上下など存在しないのだから。
語ったのは、その性癖をもっと知ってほしかったから。本当に語りたい事は別にある。
「だが、こんなものは関係ない。ただエッチだと感じるその心は、当たり前のものだと僕は言いたいんだ。ツンとした上向きの尻はぺちぺちと叩きたいし、もっちりとした尻はねっとりと撫でて揉みたい。偶にアニメで美少女が昔のガンマンみたいに『あたしの尻を舐めな!』と言うが、それはもうご褒美だろうと思う。いや僕の場合ご褒美なのは尻たぶまでだが」
「ア●ルはもう別の性癖だからな」
「舐めたい派と舐められたい派があり、そこから更に細かく分けられると聞く」
「深いな……」
「尻枕が好きだ。上から押し付けられるのも好きだ。尻の柔らかさと張りには乳とは別の良さがある。このまま語っていたら夜になるので切り上げるが、それでも僕は尻も好きだと伝えたかった」
そう言い切り、お茶で喉を潤す。
一拍おいて、パチパチと三人が拍手をしてくれた。よかった、引かれたという事はないらしい。
「感動した……」
「素晴らしい演説だった」
「やっぱすげぇよ、お前は」
「ありがとう……皆ありがとう」
性癖の否定されない空間って、やっぱあったけぇな……!
なお、この場以外では絶対に語るつもりはない。端的に言おう。今の僕は数学と英文で脳がやられていた。
そんな感じで拍手に手を上げて返していると、熊井君が居住まいを正した。
「よし。なら俺もメインではない性癖について語ろう」
「熊井君……語るんだな。今、ここで……!」
「ああ!俺は言うぜ!」
ならば止めはすまい。己が性癖を語ってみせろ!
「と言っても、俺は筋肉が好きすぎてな。第二と呼べる性癖もそれに関わってしまう」
「いいんだ。性癖は法に触れなければどんな形でも許されるんだから」
「この場では気にしっこなしだぜ」
「自由だ。この場は自由なんだ」
なんだろう。微かに残った理性が『さてはここにいる全員、課題のやり過ぎで脳がパーになっているな?』と言っている気がするが、全力で無視した。
いいじゃないか。現実から目を逸らしたって。あと少しで課題は終わると言っても、その少しがまだ遠いんだから。相原君?知らん。
「俺は『汗』だ」
『第二性癖――解禁』
「汗は筋肉を育て、筋肉を維持する時に必ず流れるもの。努力の結晶なんだ。それが服にしみ込み、床に水たまりを作るのを見て『ああ、どれだけの筋肉が磨かれているのだろう』と感動すら覚える。同時にハチャメチャに興奮する」
「なるほど、そういうのもあるのか」
「へぇ……」
「ほほう」
今まで汗でエロと言えば『シャツが透けて』とか『汗の臭いを恥ずかしがる女の子』とかが浮かんでいたが、人の数だけ視点の違いというのはあるものだな。
理解はできないが、受け入れよう。内心で『こいつマジかよ』とは思うけど。
「無論、汗をかけばいいってもんじゃない。掻き過ぎても興奮できない。オーバーワークは筋肉をダメにする。俺は『ここから素晴らしい筋肉がうまれるんだ』という『匂わせ』にこそ、興奮するんだ」
「素晴らしい……流石だよ、熊井君」
「それでこそゴリラだウホな」
「ウホッ、ウホホーホホ」
「歯を食いしばれ」
「「ゴッホっ!?」」
触手メガネと残念イケメンがボディブローを受けるが、いつもの事なのでスルーした。まあ二発目なのでメガネが轟沈したが。少ししたら復帰するだろうし放置でいいだろう。
椅子に座り直した熊井君。言いたい事は言ったのだろう。どこか満足気に腕を組んでいる。
そんな彼を確認してから、少しせき込んでいた相原君が軽く深呼吸する。
「なら……次は俺が語るとしよう」
椅子を少しひき、まるで王者のようにゆったりと足を組む相原君。
中学の頃は読モをやっていたというだけあって、その姿はかなり様になっている。役者としてやっていけるんじゃないだろうか。
信じられるか、こいつ変態なんだぜ?
「奇しくも熊井と同じ、『汗』こそが俺がもつ『第二の性癖』だ」
「ほう……いや、待て。まさか」
「そうだ。お前は筋肉を育てるための汗だが……俺のは違う」
断言する彼の声は冷たくも、瞳の奥底には強い炎を宿していた。
『第二性癖――会敵』
「俺は、ふくよかな女性が熱さで汗を流す姿が好きだ。脂肪というのは防寒効果をもつが、夏場では体温を上昇させる。当たり前だ。セーターを何枚も重ね着している様なものだからな」
なるほど。そう言えばそんな話を少し前にテレビでお笑い芸人さんが言っていた気がする。
「汗を流しながらアイスを食べるふくよかッ子ほど愛らしい存在がこの世にあるか?いいやない。見ただけでその包容力を伝えて来るのに、庇護欲までかきたてるその姿は天使のごとく!一緒にお風呂に入ってあげたい。汗疹にならない様に拭いてあげたい。なんなら舐めてあげたい!俺は強くそう思う!」
興奮のあまり声が荒くなる相原君は、己を落ち着かせるように一度言葉を止めた。そして、自戒する様に視線を落として苦笑を浮かべる。
「すまない。この場では他者の性癖を否定してはならないはずだが……それでも、自分の好きに嘘はつけなかった」
「構いやしねぇよ」
「熊井……」
熊井君が軽く肩をすくめてみせる。
「お前は俺の生涯のライバルだ。しかし、常にいがみ合って否定し合うのも違うだろう」
「そう、だな……時には認めて、それぞれの性癖を磨き合う。それが『好敵手』ってやつ、か」
硬い握手をする二人。ええ話やなぁ……。
冷静になってはいけない。その瞬間自分は『何言ってんだよ僕もこいつらも……あの変態共と同じ所まで堕ちてしまったのか』と自己嫌悪で引きこもる事になるので。
そして、復活した魚山君が椅子に座り直す。
「では、トリは僕が務めさせてもらおう」
「よし、来い!」
「ぶちかませ魚山!」
「俺達はどんな性癖も否定はしねぇ」
受け入れる覚悟はできている。どんなどぎつい物が出てこようと、最後まで耳を傾けよう。
それが僕らの……友情だから!!
「腸って触手に見えないか?」
「「「 」」」
……え?
『第二性癖――開帳』
「腸ってさ『ピー』から出して『ピー』で『ピー』すると肉の触手というか『ピー』で『ピー』だから、それを『ピー』にいれて『ピー』したいなってずっと思っていたんだよ。前にネットで豚の解体をしているのを見たんだけど、その時『ピー』で『ピー』に使えるんじゃないかってずっと思っていて、それからは大腸と小腸の違いを学術的にではなく性的に」
「待って待って待って待って」
「やめろぉぉぉ!聞きたくない!聞きたくなぁい!!」
「痛い!聞いているだけでケツが痛い!!」
―――結論。
性癖は自由だけど、己のうちに留めておくだけの方がいいね。
そう理解して僕らはまた一歩大人になり、黙々と課題を進めるのだった。
* * *
「レイラぁ……」
「おっとっと。どうしました、主様」
自室の異界に戻るなり、出迎えてくれた彼女の胸に跳び込む。
作業の休憩中だったのだろう。通販で買った青い上下の作業着の前を開き、黒いシャツを晒している。長い銀髪も一本にまとめ後ろに緩く流していた。
黒のシャツと白い肌のコントラストが艶めかしい。谷間に鼻先を埋め、顔全体で巨乳を味わう。ふわりと彼女の匂いが鼻孔をくすぐり、柔らかくも確かな弾力が心地いい。
やっぱ、オッパイって最高やな。
「心に深い傷を負ってしまったよ……僕はなんてものをこの世に解き放ってしまったんだ……」
「は、はあ。よくわかりませんが、課題は終わったのですか?」
「うん」
「よく頑張りましたね。えらいえらい」
抱き着く僕の頭を優しく撫でてくれるレイラ。その顔はいつも通りの笑顔であり、視ているだけで心が癒される。
あ゛~、赤ん坊になりそう。
「レイラ、そっちの方はどう?」
「おおよその作業は終わりました。後は実際に使ってみて確認をし、微調整をしていくくらいです」
「おおっ」
強靭な理性で顔を彼女の胸から離し、両肩を掴む。
「流石レイラ!仕事が速い!」
「ふふっ、ありがとうございます」
落ち着いた笑みを浮かべるレイラ。相変わらずの美少女っぷりだ。
そして視線がついつい胸の谷間にいってしまう。相変わらずの巨乳っぷりだ。
純粋なサイズこそ雪音やリーンフォースの方が大きい。だがしかし『乳に貴賎なし』という言葉もある通り、レイラの美巨乳はそれだけで素晴らしかった。
こちらの視線に気づいたのだろう。彼女がシャツの襟をひっぱり、胸を見せつけてくる。
「おおっ!」
青地に黒の飾りが施されたブラと、それに包まれた白い肌の巨乳。上からのぞき込む自分に、彼女が上目遣いで笑いかけた。
「では、後で『ご褒美の時間』が必要ですね」
「はい!」
「ですがその前に。軽く訓練室で剣の素振りもしないとダメですよ?」
「はい!」
「それではまた後ほど、です。主様」
「はい!」
そう悪戯っぽく笑ってから、作業室に戻っていくレイラ。その後ろ姿を視た後、ダッシュで訓練室に向かった。
何度経験してもああいうの、いいよね!
* * *
そんなこんなで岩でできた『ペル』擬きを相手に、練習用のこれまた岩から削りだした剣を打ち込んでいく。
人工異界の中にあるここは、偶にリーンフォースと模擬戦もするのもあってかなり広く作られていた。というか、この異界自体随分と大きくなったものだ。
「とっ」
ばきりと剣が折れたので、回収箱にいれて新しいのを引き抜いてまた打ち込む。
……たしか、昔の『ランツクネヒト』とかいう傭兵達は木製のペルを相手にツヴァイヘンダーを打ち込んで訓練をし、両断できる様になって一人前としていたとか。そんな話をどこかで聞いた気がする。
はたして自分は、どれほどの技量があるのか。ただの木製のペル相手では膂力のみで粉微塵にできるし、そもそも『人間』を対象にした彼らと『人外』を敵とする自分では求められる太刀筋が違い過ぎる。
ふと、この前の授業を思い出した。
それは戦闘訓練の授業で、酒井先生が皆の前で素振りをしてお手本を見せてくれたのだ。剣道四段だという彼の太刀筋はとても綺麗だった。
近接型は自分の足を傷つけない太刀筋を、後衛はそれへの対処を学ぶ授業。正直、彼の授業が今の所この学校の授業で一番冒険に役立っている気がする。他は、うん。色々手探りだから。
とにかく。冒険者は誰も彼も我流である。そして、その事を酒井先生は否定しなかった。彼の太刀筋と比べれば拙過ぎる自分の剣も、むしろ褒められたので印象に残っている。
『君の剣は凄まじく大ぶりだな』
酒井先生は、そう驚いていた。それで先生の剣と比べてみたのだが、確かに自分のは無駄が多い様に思えたのだ。
直した方がいいかと聞くと、酒井先生はむしろそのまま練り上げろと言ってきた。
『大川の剣は怪物殺しの剣だ。自分より大きい存在を斬る事に特化している。無駄なんじゃない。必要だからそうなったんだ。俺の『どちらにとっても』人間用の剣よりも、そっちの方がいい』
そう言ったあと、それはそれとして脇が開き過ぎだし重心が安定していないと修正されまくったが。
しかしなるほどとも納得したものだ。よくよく考えれば、ドラウグルの融合体以外で苦戦した敵はでかい相手ばかり。
だからこそ遠心力を使い、大ぶりの太刀筋で、広い範囲を切り裂く必要がある。人間なら数センチ切り裂けば致命傷でも、ミノタウロスやドラゴンはメートル単位で斬らなければまともな傷になりはしない。
意識して、剣を持ち上げる。
八双に似た構えから、更に外れたものへ。示現流とも違う大上段。そこまでやってから、『なんか違う』と少し引き戻した。
さて……何が正解なのやら。皆目見当もつかない。なんせ戦う相手の体格などてんでバラバラなのだ。
そもそも『強い奴はでかいのが多い』だけであって、人間サイズで強いモンスターも今の時代存在する。
……困った。もしも赤城さんとかみたいなモンスターが出てきたら、自分は圧倒される自信がある。
試しに彼女をペルに重ね合わせて斬りかかり、当然現実の岩剣は綺麗に直撃した。
だが、イメージの中ではあっさりと受け流されてカウンターで首を貫かれる。うん、無理。
レイラと融合した『樹王』であれば太刀筋は矯正される。だが、動かすのは結局自分だ。知らなければならない。学ばなければならない。試行錯誤を繰り返さなければならない。どうすれば己は強くなれるのか。そして自分や周りを守れるようになるのかを。
もう二度と、レイラを死なせたくない。雪音に死ぬ覚悟などさせたくない。リーンフォースだって失いたくない。
ひたすらに打ち込む。これだけで己にあったスタイルを確立し最適化できる様な天才ではないが、やれる事をまずはやろう。
今はただ、少しでも意識して剣を振るうのみ。いつか誰かが『最適な剣』を見つけた時に活かせるように準備をするのだ。
兜の下で流れた汗をうっとおしく思いながら、ペルに剣を振るう。
何度目の打ち込みかわからないが、鈍い音をたててとうとう剣もペルも砕けてしまった。柄だけになった岩の剣を手に、魔装を解除する。全身に搔いていた汗が服にしみ込んでいき、しまったと天井を仰いだ。先に体を拭くんだった……。
とりあえず片付けをするかと訓練室の隅っこにあるレバーをおろす。すると、自分のいた辺りの岩が全て床に溶けていった。あれらが異界の一部だからとは言え、凄いな。魔法ってやつは。
そのまま壁にもたれかかり、少しだけ目をつぶる。とりあえず今日の打ち込みはこれでいいだろう。カメラを回しているから、後で酒井先生に頼んで見てもらって色々修正してからでなければ変な癖がついてしまう。
疲労と達成感の息を吐いて、先ほどペルに赤城さんを重ねた事を思い出した。
……そういや、まだ赤城さんにいつ行くと返事していないっけ。
やっべぇ。冷静になったらまた別の汗出てきた。まだ猶予はあるだろうが、早めに返事をするに越した事はないはず。覚悟を決めなければならない。
けどなぁ、いやだなぁ。怖いもんあの人。桜井会長は会った事ないけどもっと怖い。そして桜井さんと黄瀬姉妹に青い人と変人が多い。色んな意味で疲れそう。
だが、逃げてばかりもいられない。よし、電話するぞ!
「主様。そろそろ『ご休息』しませんか?」
「旦那様。ワタクシも……」
「夜伽モードの準備が整いました」
訓練室のドアから姿を現すレイラ達。
髪をツインテールにして競泳水着姿なレイラ。白いビキニを着て髪をアップにした雪音。黒のスリングショットという凄い水着を着ながらいつもの無表情なリーンフォース。
「今行きます!!」
うん、難しい事は後でいっか!!!
ダッシュで彼女たちの元へと向かったのは言うまでもない。
読んで頂きありがとうございます。
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……『第二性癖』ってなんだよ……。




