第四章:影の守護者(ゼノ)と弟(ガイアス)、家族の救い
ゼノは、表に出ない。
リーゼンバーグの歴史において、
“影の守護者”はいつもそうだった。
光が前へ出るために、
影は背後へ沈む。
ゼノは、妹たちを道具として扱わないと誓っていた。
父を反面教師にしていた。
だが、反抗できない現実もあった。
王家は脅した。
「異型を暴かれたくなければ従え」と。
ゼノは葛藤した。
守るために従うことが、
結局は家族を縛ることになるのではないか、と。
それでも彼は、守った。
アリアに菓子を渡し、
「辺境なら自由になれる」と囁いた。
冷たい家の中で、
彼だけが、姉の痛みを理解していた。
ガイアスは無垢だった。
ただ姉が好きで、守りたいと願った。
その純粋さが、アリアの心を救った。
そしてリリアは、秩序を背負った。
それは、誰かを罰するためではない。
壊れた国を立て直すために必要な光だった。
けれどその光は、あまりにも冷たく、孤独だった。
ゼノは戦慄した。
妹の力に、ではない。
その横顔が、誰の手も届かない場所に立っていることに。
(私は、リリアを独りにしてしまったのか)
だからゼノは決める。
妹たちが光として完成したなら、
自分は影として終わらせる。
幽閉された両親を迎えに行く。
不正の根を断つ。
家族の呪縛を終わらせる。
それは贖罪であり、
同時に救いだった。
父は間違えた。
母は演じきった。
祖母は調律した。
兄は影になった。
——誰もが、誰かを守るために壊れていた。
だが、ただ一人、ガイアスだけはこの血脈の中、奇跡的に影響を受けなかった。
そう、守られたのだ。
だからこそ、この血脈は
呪いで終わらなかった。




