84.魔法ロッドの材料
■シベル大森林 ワグナーの小屋
~第7次派遣2日目~
「それで、氷魔法の話以外で、ロッドが欲しいってことだったな?」
「ええ、アイオミー司教から魔法の種類にあった木を加工する必要があると教えてもらいました」
「魔法力にこだわらなければ、木なんて何でも良いさ。だが、強い魔法を放つにはそれに合ったロッドが必要だ。聖教石の力を何倍にも強くしてくれる」
「それでしたら、何種類かのロッドを作って欲しいのです」
「何種類? そうか、どうせまた・・・、じゃあ、ロッドに使う聖教石を見せてくれよ」
リュックからロッド用の台座に取り付けられた聖教石を取り出して、作業台の上に二つ置いた。
「 !! ・・・、まあ、予想はしていたが、実物を見ると改めてびっくりだな。これはやっぱり自分で作ってるのか?」
「ええ、聖教石を作るのは得意みたいですね。簡単に作れますよ」
「簡単にねぇ。だが、炎と・・・、水か・・・、これなら今までで最高のロッドが出来るだろう」
「では、作ってもらえるのですね。必要ならお代も払いますので、よろしくお願いします」
「ああ、作るよ。これだけの石だ、喜んで作らせてもらう。だが、今はロッドの材料が無い。俺は加工するロッドの材料を完全に乾燥させるために、冬の間は北の小屋で寝かせている」
「だが、今年は冬が終らずに、いつまでたっても雪が溶けない。そうこうしている間に魔獣がどんどん増えてきやがった、今から取りに行くのはとても無理だな」
「北の小屋は遠いんですか?」
「歩いて1日、馬車なら半日ってところだろう」
(今からなら馬車でぎりぎり、着けば転移で戻れるが、馬車が・・・)
(ロブも明後日までに馬車で北方州都へ連れて帰るには、明日中にこの小屋まで・・・)
「だったら、明日一緒に取りに行きませんか?」
「無理だろう。何とかたどり着いたとしても戻りは夜になる。あの小屋は泊まれるようにはなってない。魔獣に襲われたらイチコロだ」
「日のあるうちにたどり着ければ大丈夫です。帰りは転移魔法で戻ってきますので」
「転移魔法?」
「ロブさん、教会の人にはまだ内緒にして置いてください。私の固有魔法みたいなものなので」
「承りました」
(ダメモトでロブを信用してみよう)
「私は教会の『転移の間』以外でも、転移する場所を自由に作ることができます。ですから、この小屋の近くに場所を作っておけば、北の小屋から一瞬でここまで戻って来ることができます」
「どういうことだ?」
-今日も途中まで行って、戻ってくるところを見せるか。
「見てもらった方が早いですね、途中まで行ってから戻って見せましょう。そうすれば、あしたはその場所から出発できますので」
「???」
■シベル大森林
ワグナーはタケルの魔法に興味があったのだろう、嫌がらずに服を着込んで外へ出た。
どちらかと言うと、ナカジーの方が歩くのを嫌がっているようだ。
まだ13時ぐらいだから、3時間ほど行けば、明日の分を稼ぐことが出来るだろう。
タケルは小屋の近くへ大きめの五角形で光聖教石(転移用)を埋めた。
ワグナーにはここに戻ってくるとだけ説明して、北の小屋へ向かって進み始めた。
先頭はロブが馬を引いて歩いてる。
その後ろにタケルとワグナーが並び、ナカジーとアキラさんが続いた。
しばらく歩くと、馬が怯えて暴れ出した。
タケルの位置からは何も見えなかったが、先頭のロブが刀を抜いて林の中に走っていった。
ロブが行った方向を見ると、青く光る固まりがロブをめがけて走ってきている!
氷獣化したイノシシだ!
ボルケーノで見たものよりは小さいが、大人の人間ぐらいの大きさはある。
ロブは刀を横にして腰の高さで構えて走りこんだ!
「ハァッ!」-ズバァッ!-
炎の刃がイノシシの口から胴体を水平に切り裂く!
悲鳴を上げることも無く、二つの肉となったものが地面に飛び散った。
「!、おい、あの刀は何だ?」
ワグナーへ魔法石と刀の件を説明した。
「話を聞いてると、教会や俺達がやってたことがお遊びみたいに思えてくるな・・・」
「そういえば、ワグナーさんは何故教会を離れたんですか?」
「それは・・・」




