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7話 恋愛脳は誤解の元さ

TS娘にとっての未来、選択肢や流れは大体が決まっている。

一つ、基本は幼馴染の少年との精神的BLルート。見た目が合法となった結果、こうなるのは最早当然と言っても過言では無い。

『僕、男のなのにあいつのこと(カァァァァ』

『幼馴染が可愛すぎて辛い…』

のテンプレートは定石。なぜか親友間での男女の友情が成立しないという悲しい現実。いや悪いとは言わないけどね。


二つ、ヒロインとの百合エンド。TS娘が男と結ばれるなんてクソだ!!という読者救済用ルートである。その場合、TS娘が大変男らしいというなんのためのジャンルなのか?と問いたくなる要素が含まれるようになる。百合百合好きだよ?百合百合百合百合百合百合。


三つ、特に誰とも結ばれない。シリアスや異世界転生ジャンルとの組み合わせの場合、このエンドが適用される場合がある。しかし基本的にその場合見られるのは女になって異世界無双!!などなので、好き嫌いは分かれるだろう。TS設定を上手くいかせなければストーリーの重荷になりかねないが、上手くいかせれば斬新さが増すという利点もある。


さてこのお話はいったいどのエンドに適用されるのだろうか?一応スクールラブコメということにはなっているが、それでは明らかに母や妹の望む幼馴染ルートがメインとなりかねない。純愛ものとしてはビジュアル面だけみたら正統派と呼べるだろう。


しかし忘れてはいけないのは、精神が身体に必ずしも引っ張られるとは限らないということだ。多少は影響されるのだろうが、その際の動向は正直さっぱりだ。それに僕はどうしたいということもない。正直男には戻りたいが、戻れないなら戻れないで自分なりの幸せを模索したいと考えている。うん、、長々と語ってしまったね。それでは本編に行こうか


--------------------------------------------

『やっぱり、、来夢も芳樹のことが好きなんだね……』


3人で言った遊びに行った帰り、2人の少女はベンチに座って互いの気持ちを吐露する。しかし、この状況は何かおかしいと思うのだが、


『いやそれはないから、うん、本当にそれはないから、いやいやいやいや』


『誤魔化さなくていいの………私も、その気持ち分かるから。ホラ、あいつって鈍感で、ガサツで、人の気持ちなんか全然知らないけどさ、いざって時カッコよくて、誰にでも優しくて、そんなところが……私、好きなの』


『………』


いや先の独白からのこの流れはいけないでしょう。取り敢えず恋愛脳を周りの人間に押し付けるのをやめて欲しい。ていうかこうなったのもスタバでの芳樹のイケメンスキルが発動した結果だというのも考慮して欲しい!!ああやってオーラ出して周りの女の子釘付けにして、絵梨を嫉妬させるとかヤルゥ!!


(んで、その結果がこれか………)


絵梨はとてもいい子だ。優しくていつも人のことを思って行動する良い子の鑑だ。だがしかし、絵梨には一つ困った癖がある。それが『思い込み』という厄介な癖だ。また重度の恋愛脳でもある。正直よく友情が成立してきたなと我ながら思う。


故にちょっとあのあっついスタバの店内で女の子に囲まれる芳樹をふと見ていたら、それだけで彼女には芳樹を見て赤面する来夢という風に映ったらしい。実は群がる女の子達を見ていたなんて口が裂けても言えまい。


『本当に芳樹は友達としては好きだけど、異性としては見ていないよ?なんなら神に誓える』


『いいよ、そうやって気持ちを押し殺すのやめよ?私、来夢がライバルでも頑張るから!確かに来夢の方が可愛いしクールだしおっぱいも大きいけど、負けないんだから!』


『え、や、いや、ちょっと、落ち着こ??』


『お互い頑張ろうね!!恋のライバルだけど、私と来夢は友達だよ!!!』



これ以上はなにを行っても無駄な気がするが、このまま誤解を解かない訳にもいかない。どうやって切り崩していくべきだろうか?


『あ、もうこんな時間。私帰るね!!今日は楽しかったよ!!!!』



アルゥエェ??これやばいんじゃ………。まぁ時間はたっぷりあるし明日にでも誤解を解きにいけば問題ないでしょ。


今のフラグっぽい………


-------------------------------------------

なんだかんだグダグタに春休みが過ぎていく。気づけばひまりヶ丘高校入学まであと一週間とちょっと。女子になってから生活が一変するとかそういうこともなく只管グダグタする毎日。充実してるなぁ(笑)


因みに大量に出された入学前課題は全部終わらせた。入学前の子供達にいったいなにを求めてるのかね高校教師は…。


高校入ったら何しよう。勉強部活、恋…この三原則は最早お約束。勉強はなんとかなりそうだし、あとは恋?いやいやアリエナイ。


『この姿で女の子を好きになるなんて…できるのかな…』


ガチャっ


『はぁーいお姉ちゃんだよー』


『うわお姉ちゃんどしたの??』


『ほら、制服まだ合わせてないでしょ?結構前に届いてるのにまだ着てないとかなんなの??折角可愛いとこの制服なのに…』


『あーやっぱ着なきゃダメかぁ…』


『何行ってんのこれからほぼ毎日着るのよ?』


この春入学するひまりヶ丘高校は偏差値64のそれなりに進学校だが、服装や髪色についての規制はあまり厳しくないと聞く。そんなひまりヶ丘の制服は青に近い紺色スカート、黒色ブレザーとワイシャツ、黒靴下、赤いリボンとなっている。因みに夏はセーラー服だそうで…。


『ほら取り敢えず着てみ?ほらほら』


『いいよ!自分で着れるし!!』


無理やり姉を部屋から追い出すと先ずは服を脱ぎ始める。だる着を脱ぐとそこには色気もクソもない下着。


ちょっと色がついたやつにしてみるか?そう言ってタンスから取り出したのは水色の下着。今履いてる下着を脱ぎ、手にもつそれを履く過程にいたる。なんか途端に恥ずかしい。呼吸が乱れる。


(あ、可愛い…かも?やっぱ恥ずかしいけど、今の女子高生ってどーなのかな……)


ブラジャーも同様に着用。これだけで鏡にはすらっとした茶髪美少女が映る。自分でも惚れ惚れするほど可愛らしいと思う。こいつの彼氏は幸せもんだなはっはっは(殺)


ワイシャツの次はスカート。さて一応女子高生でしかも制服について厳しくないのなら

『着こなしてみよう!』


ダサ女子にはなりたくないからなうん、決してパリピやビッチを目指しているわけではない!

スカートは膝の上までになるよう調整、ワイシャツは出してブレザーは開く、さらにワイシャツの胸元オープン(第一ボタンを外すのみ)!!リボンはまぁゆる〜く。ミサンガとか水色のシュシュを腕に巻き、リボンを使ってポニテを作る。


『か、完璧だ……』


鏡にはやはり茶髪美少女。しかし先ほどとは変わって若干ギャルっぽくなってしまった。というより都会の今時の女子高生らしすぎる感じになっているうわスカート短!!!


『どー?できたー?うわ!スカート短!!!男でも誘ってんの???』


『いやこれくらいの方が可愛くない??』


『いや可愛いってあんた……いや可愛いけどさ。え、それでいいの?』


『かっこ可愛く着こなしたいという当初の目的が達成できたからよし』



『そ、そっか……』


もう一度鏡をみる。うん可愛い。よしテンション上がったから外出てこよう!!


『外出てくる!!』


『え?今から!?ってちょっと!!』


そっこーでドアを開けて外に飛び出る。無性に走りたい気分だ。



故に姉の不吉な推論は耳に届かない。



残された伊奈は部屋の中でポツリと呟いた。


『あいつ、もしかして心が女の子になってきてる??気のせいかな??いや可愛いけどさ…』

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