11話 スキル説明2、そして可能性は分岐する
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
第11話 【スキル説明2、そして可能性は分岐する】
本話にて、第1章は完結となります。
どうぞ、お楽しみください。
――セレンディア城 内庭――
スロット2へのセーブを行った後、俺は一度スロット1へのロードを行い、内庭での女神との密談を始めた。
「無事、見合いの場をしのいだわけだが、これからどうすればいいんだ?」
「……と言いますと?」
「いや、ただ話したり、一緒に出かけて過ごすだけなら何も変わらないだろう? 俺たちの目的は彼女たちの……その、なんだ……」
「今さら恥ずかしがらないでもらえません?」
「なっ!?」
セレーネが冷ややかな意見を告げると、恥じらいを見せていた俺は、なにも言い返せなかった。
「はいはい! つまり、どうやって彼女たちのクロードさんに対する、おっもぉ〜い好意の正体に辿り着こう、って話ですよね?」
「あ、ああ、そうだな……」
セレーネの言葉にうなずくと、彼女はすぐに答えを出した。
「それなら簡単です! 彼女たちの過去を知ればいいんですよぉ〜」
「過去を……知る?」
彼女の答えに、俺は理解が追いつかず、彼女の言葉を復唱していた。
「はい! クロードさん、思い出してください……私がアナタに与えたスキルはセーブ&ロードだけではないはずですよ!」
そう言われて、俺はセレーネから受けたスキルの説明を思い出していた。
「……あっ! 【記憶回想】のスキルか!?」
「イッエェ〜ス! それでぇ〜す! クロードさん、スキルの内容は覚えてますか?」
「えっと、確か……相手の記憶を見れるんだったか?」
「う〜ん、ちょっと違いますねぇ〜、【記憶回想】は対象の深層心理に影響を与えた出来事……例えばトラウマなどを追体験できるスキルです!」
「はぁ……そうですか……」
「……クロードさん、まったく同じ反応っすね! 本当にこのスキルの素晴らしさが、おわかりになりませんか!?」
俺の素っ気ない反応が気に入らなかったようで、セレーネは呆れてしまっていた。
「だって過去の出来事を追体験するだけで、べつに変えることができないんだろ? そこまで重要なスキルか?」
「はぁ……いいですか? クロードさんに問題です! 人が人を好きになるのはいつですか!?」
「はぁ!? なんだその問題は?」
「いいから答えてください!」
謎の問題に抗議するも、セレーネはそれを跳ね除け、俺は仕方なく答えることにした。
「その……あれだ! 『なんとなくこの人いいなぁ』ってなって、それで色々知っていくうちに、いつの間にか好きになってる……的な?」
「はい! 不正解! 正解は【人による】です!」
「おいっ! 汚いぞ!」
「なにが汚いですかぁ! 好きになることに、いちいち正解を求めて、馬鹿ですか? 阿呆ですか? 心ないんですか?」
「ちょっと言い過ぎじゃない!?」
恥ずかしがりながら答えたのに、罵倒されると思ってなかった俺は、心の汗があふれそうになるのを、手の甲で拭いながら彼女に質問した。
「それで、今のが【記憶回想】ってスキルと、どんな関係があるんだよ?」
「えっ? 大ありじゃないですか?」
「はぁ!? どういうことだよ!」
「いいですか! 彼女たちのクロードさんへの愛は異常です! あんなダメ人間っぷりを見てもOKくれるのが3人もいるなんて、無課金が環境メンツを揃えてるくらい、ありえないですよ!」
「むか、きん……?」
「そうです! マーリン・スカディ・コヤン・キャストリア・オベロン、無課金で持ってる人いるんですか!? いたら教えてください!!」
「おい! 落ち着け! そこから先は地獄だぞ!」
よくわからんが、セレーネを落ち着かせると、彼女は説明を再開した。
「ふぅ、失礼しました……つまり彼女たちは明確に、クロードさんの『なにか』に、強く惹かれちゃってるんですよ!」
「もう、話が入ってこないが、そうなのか?」
「そうです! そして、その『なにか』は彼女たちの心に根付いた物を刺激して、あんなにおっもぉ〜いクソデカ感情になってるんです!」
「クソデカ……感情?」
「なら! そのクソデカ感情の根元にある物を、クロードさんは知らなければいけません!」
「そ、そうなのか?」
「当たり前です! だって彼女たちはそれがあるからこそ、悪食なんてしたり、異端者になったり、禁術を作ったりしてるんですから!!」
「な、なるほど……」
「なので! クロードさんのそのスキル! 【記憶回想】はそれができる『神スキル』なのです!」
「か、神!?」
俺はまるで、路上販売のうたい文句に釣られてしまった主婦のような反応をしてしまう。
「そうですとも! このスキルは記憶を見たい対象が、深層心理に根付いた過去の記憶を想起しているときに使うことができます!」
「一応、発動条件みたいなのはあったんだな……」
「そこは前にも言いましたが、発動条件があるにしても、その条件がゆるい! ゆる過ぎる! ……やっぱり今からでも……」
「……だからやめろ! 馬鹿女神!」
「あぁ! また馬鹿女神って言ったぁ! 酷い! もっと敬ってぇ、褒め称えてぇ、感謝してぇ〜」
そう言ってセレーネが腰にしがみついてきたが、俺はそれを強引に振り解いた。
「つまり……次の作戦はどうにかして、彼女たちの記憶を見るってことだな?」
「グスッ、そうです……ついでにクロードさん的にありか? なしか? 判断すればいいと思いますぅ〜」
セレーネは崩れ落ちたまま、質問に答えた。
「ありか? なしか? か……」
俺はその2択を選べるのか不安を抱きながら、次のセーブポイントに向かうため、一度深呼吸をした。
そして、俺は自分を奮い立たせる意味を込めて、大きな声で言い放った。
「よし! 行くか!」
そう言って俺は頭のなかで言葉を紡いだ。
(スロット2をロード)
【スキルの使用を確認しました。スロット2のセーブポイントをロードします】
まだ聞き慣れない声を聞くと、俺の視界は真っ白になっていった……
――セレーネ 独演――
「さて、彼は行きましたね……」
クロードさんのロードを確認した私は【あなた】に語りかける。
「【あなた】は、彼のお話を、お楽しみいただけてますか? もし……お楽しみいただけているなら、この後もお付き合いいただければ光栄です!」
私は頭を下げて【あなた】への注意点を申し上げた。
「さて……ここからのお話は、数ある可能性のお話です! ここからは、各ヒロインの個別の攻略を進めていきます! そしてここから分岐する物語は、同じ時系列の話となりますので、どうぞご注意ください……」
そう言って私は【あなた】に一礼し、最後のお願いを申し上げた。
「そしてもし、願いを叶えていただけるのならば、どうか彼女たちの物語を最後まで……そしてその先もお楽しみいただければ幸いです……」
私は頭を上げると【あなた】に手を振り、いつもの調子で挨拶をした。
「では、次のお話でお待ちしておりますぅ〜! てへっ!」
そうして、私はヘタレ勇者の元に戻るのであった……
――スキル説明2、そして可能性は分岐する 完――
第1章、読了お疲れ様でした!
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
さて、次回からセレーネの言う通り、各ヒロインの『個別攻略パート』へ突入します!
恋愛ゲームで、各ヒロインの攻略を順番にしていく様子をイメージしていただければとわかりやすいと思います。
できれば、皆さんの好きな子から読めるように、同時進行と行きたかったですが……そこはごめんなさいですが、お付き合いいただければ幸いです!
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▼次回予告
第2章
【やり直し勇者と鳥かごを抱く少女編】
第1話 『勇者の育った大地の風景』




