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第7話セクハラ?処すぞ


東の魔王城を目指し、森を歩くのは男勇者のロアとクリフ、女勇者のミランの三人のパーティだ。


「なぁなぁ知ってるかァ?今回の任務、既に勇者が二人ィ、帰ってきてねぇらしいぜ」


オレンジ髪のロアは両手を頭の後ろで組みながら笑う。


「えぇ。相当強い魔王か、勇者がドジ踏んで罠にかかったか、ですね。まぁ、僕らには関係無いですよ」


冷静な黒髪のロアはマフラーで口元を隠した。


「だよなぁ?だってウチには最強の、ミランちゃんがいるんだからなァ?」


オレンジ髪の男は前を歩くミランという女の肩を抱く。


「ロアさん……気安く触らないでいただけますの?」


ミランは鳥肌を立たせながら薄紫の瞳で睨みつける。それは当然、ロアの機嫌を損ねる行為だ。


「あ?勇者風情が斧使い様に口答えかァ?ンー?」


ロアは背後からミランの顔を片手で掴む。


「きゃっ」


「元貴族のお嬢様とか関係ねェ。今やテメェは俺たちに何をされても文句の言えねぇ立場なんだぜェ?」


ロアは服の上からミランの腰を撫でる。明確に欲望を孕んだ手つきにミランの全身が総毛立つ。


「例えばほらァ。この茂みに引きずり込んで俺と仲良しこよしした所でェ……勇者であるテメェは泣き寝入りするしかねェ。俺の女になりたいって言うなら優しくしてやっても良いがな?」


下衆な笑い。たおやかな美貌をもつミランは、脅しにも関わらずロアの手を払った。


「お断りですわ。わたくし、背の高い黒髪の方が好みですの」


ロアの怒りを噴火させるには充分すぎた。バキッと鈍い音と共に、ロアはミランの頬を殴りつけたのだ。


「っ……」


ミランが倒れ込み、次は足蹴に。


「テメェ!クソカス勇者の分際で、俺を舐め腐りやがってェ!!そんなに今すぐブチ犯されてぇのか、ぁあ?!」


「ロアさん。顔はやめてください。萎えます。それに魔王城で戦って貰うんですから、楽しむのはその後にしましょう」


「チッ……オラ!さっさと立って魔王をブチ殺せ!そしたらご褒美に遊んでやるよ。朝までたっぷりなぁ?」


「っ……ふ……くっ」


ミランは殴られた頬を抑えながら立ち上がる。かつて艶のあった薄紫の髪は乱れ、汚れ一つ知らなかった掌は血豆と泥で汚れている。


(こんな姿……しかし、進まなくては……わたくしは負けない。こんな奴らに、負けてたまるもんですか……!)


ミランは歪む視界に歯を食いしばって耐え、魔王城に向けて足を進めた。


◇◇◇


一連の流れを、アザゼルとルイーゼはすべて見ていた。アザゼルの持つ珈琲のカップがカチャカチャと音を立てる。


「なんて下衆な……アザゼル様、どういたしま……」


ルイーゼは言葉を失った。アザゼルの額にはビキビキと青筋が浮かび、髪の毛が浮き上がるほどの怒り。魔王の出すオーラは執務室を軋ませるほどだ。


パァンッ


けたたましい音とともに珈琲カップが粉砕。珈琲がアザゼルの衣服を汚す。


「あっアザゼル様!火傷などされていませんか?!」


「ルイーゼ……」


アザゼルは手の内に残ったカップの持ち手を握りしめる。


「奴らは不合格だ。始末するぞ」


ビキッグシャッ……パラパラ


アザゼルは粉々になったカップの持ち手をデスクへとばら蒔いた。


◇◇◇


ミラン、ロア、クリフの三人は運良く魔物に会うことなく魔王城へ辿り着いていた。


正しくはアザゼルの指示により、騎士達が始末していたに過ぎないが。


魔王城の扉を開ける。アザゼルは王座にて三人を迎える。その威圧感たるや。ミランは震える手で矢を握る。


(な、なんて圧。対峙してわかる。わたくしはこの方に勝てない……恐らく、三人揃ってかかったとしても、動いた瞬間、死――)


「おやおやこれまた、すげー強そうじゃん」


「えぇ。とんでもない圧を感じますね。僕らが全員でかかっても勝てそうもない……」


ロアとクリフもそれなりの手練。戦力を見誤ることはない。


「んじゃあほら、ミラン。行けよ」


「え……」


「えっ、じゃねぇよ。テメェが隙を作り俺たちはそれを叩く。お嬢様のオツムじゃ理解できなかったかァ?」


ロアはミランの背中を突き飛ばす。ミランはアザゼルが座る椅子の階段下へとよろめいた。


「あ……」


顔をあげる。アザゼルの赤い瞳と目が合うと、恐怖はさらに倍増。全身が"死"を感じ取り足がすくむ。


(逃げたい……逃げたいっ!死にたくない!わたくしはまだ、死ぬ訳にはッ)


「君が勇者か?」


「っ」


ミランは弓を引き素早く放つ。雷を纏った素早い矢だったがアザゼルに届くよりも前に弾けとんだ。


矢を粉砕したのはルイーゼ愛用のホウキ。バトンを扱うように回し背に構える。


「此度の面接官、ルイーゼと申します。貴方方がアザゼル様の楽園に相応しい方が、見定めさせて貰いますね」


ルイーゼの柔らかな瞳がうっとりと微笑んだ。






















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