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創世する世界のイヴ # Genesis to the world's Eve  作者: 遍駆羽御
本編―――― 第2章 1000キュリアの祈り
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第46話 異世界限定、無双する銃

 第46話 異世界限定、無双する銃


 視点:凪紗南イヴ

 場所:クイーン王国 イクサの森

 日時:2033年 4月4日 午後 5時25分



 銀色の髪は小学生にしか見えないスレンダーボディーの予にとってはチャームポイントではあるが……木々の葉が織り成す薄暗い影の下では目立って仕方がない。

 しかし、妖精魔法 クリアの発動により、予の身体は盗賊達に見えなくなっている。

 遙か、頭上でウィンチェスター RFを構えていることもあるが……盗賊4人が予の姿を捉えられていないのだろう。


 イヴ「予が……引き金を引いた瞬間、全てが決まる。獲物を素早く、料理するのだ……」


 盗賊4人の殺害プランはあるが……引き金を引くのを少し躊躇う。

 額に汗が滲む。

 静寂を壊すように少し肌寒い微風が盗賊達の会話を運んできた。


 盗賊5「おい、ところでどの女が一番、具合が良かった?」


 盗賊6「俺は竜族の10歳の子。マジできつくて良かったぁ」


 盗賊7「お前鬼畜。しかし、よくロリを掴まえられたよな、お前。リンテリアの女は容姿がロリのまま、成長している人間はクソ強くて俺、ロリに手を出す勇気ないわー」


 盗賊5「ロリは強いからな。素質 A~SS持ちの人間がいる。しかし、素質ってSSSが天才って呼ばれるレベルなんだろう。SSSっているのかよ」


 そう、盗賊5が言ったが……予は浅学だなと感想を持った。

 SSSの魔力の素質を保つ予の銃口がお前達の頭を狙っているのに暢気に言うものだ。日本軍の知り合いの兵のしごきにはとても、耐えられないだろう。凪紗南天皇家のメイドは皆、そこに1ヶ月1度、訓練に行くのだが、普段、実戦闘のないメイドにさえ、負けてしまうだろうと予想できる盗賊の隊列の乱れだ。

 槍の持ち手で肩や足を叩いたりして、予が箱入りの英雄の娘様、蝶よ花よ、で育てられたと思い込んでいるようだ。


 実際は――――


 未来『皇女、ランニング 10周。それが終了次第、真剣の素振りだ。良いか、お前は暗殺されやすい立場にある。せめて、私と同じ強さに高めておけ』

 と、屋敷の周囲を走らされる。10周分で約10キロ。素振り 1000回。鬼未来による鬼の特訓。


 未来『はい、皇女、今死んだぞ。罰としてお尻ペンペンだ』

 と、海の中で泳ぎつつ、鮫役のアイシャから逃げる謎の特訓。鬼未来による鬼の水泳。ちなみに予は幼い頃、みんな、こんなにも過酷な水泳をしているのか、と思った。


 未来『今日、職業体験で漁船に乗ってこい。お魚さん、食べ放題だ。羨ましい』

 と、いきなり、朝起きたら、ヒモノの香りで起こされ、何故か、漁船の甲板で眠っていた。鬼未来による民を知る為の職業体験。


 ――――といった決して蝶よ花よ、ではない。それを聞いた予の知り合いの王族の方々は、


 真央『良かったぁー、あたし、皇女じゃなくて。それ、死ぬわ。なんなの、そのレンジャー部隊の訓練』


 セリカ『今、素直にほっとしている自分がいますわ。あっ、イヴちゃん、今度、漁船に乗る時は紅茶をお飲みするのをオススメしますわ。潮風は冷たいって言いますもの』


 と口々にそう言っている。

 予もこれに関しては、そちら側にいたかった。


 盗賊6「どうせ、先程のあれも、まぐれなんだろう? ほら、女王様が持っていた日本刀? あれ、結構、名刀だぜ、多分」


 盗賊7「売り捌いて、豪華な屋敷を建てよう。女王様の武器だから、最低でも5000万キュリアは堅いだろう。闇市に流せば、買う奴はいると思うぜ」


 盗賊5「ああ、刀はお前らにやるよ。俺はイヴ様をいただくぜ。性奴隷にして、この国を影から操ってやるぜ。それで産まれた子どもも俺の性奴隷にしてやんよ」


 盗賊6「お前、鬼畜だな」


 盗賊7「まだ、女王様? 15歳だろう? クイーン王国の成人年齢は18歳だろう? お前、児童ポで捕まるぞ」


 盗賊5「勇者様が子どもはまだ、身体が発達していないから、科学的な見地により、淫らな行為は認められないって創ったんだろう、児童ポルノ禁止法。うぜぇーよなぁ、勇者」


 盗賊7「もう、死んだだろう?」


 盗賊6「ああ、暗殺されたって話だぜ。詳しいことは国家秘密だけどなぁ。ああ、生きていたら、イヴ様を捕まえて、勇者の前で喘がせてやったのによ」


 盗賊5「鬼畜ぅー♪」


 盗賊8「……俺もそれ、やりてぇー」


 そう、くだらないゲスな会話をしながら大きな口で笑っている。

 その姿はとても予を探しているようには思えない。予を完全にひ弱な兎だと思い込もうとしているのだろう。

 こんな会話を耳にしなければ、予は盗賊達のアキレス健を断って、後から来るであろう兵士に引き渡し、裁判という通常の流れに沿ったであろう。


 イヴ「……お前らは死んだ女の子達を笑った。……お前らは予のお父様を侮辱した」


 言葉が勝手に溢れて、止まらない。

 その言葉は怒りという感情に火をつける。


 イヴ「弾丸装填……」


 冷たい言葉に反応して、予の内にあるアナムネーシスの器から溢れた魔力が手の平の上に魔力の弾丸を創りだす。

 ウィンチェスター RFにその魔力の弾丸――――マジカルバレットはひとりでにすっと入って薬室に装填された。引き金を迷い無く引いた。

 先程とは違い、驚くほどの軽さだ。


 今までの悩みは何だったんだろう。

 盗賊5が突然、倒れて動かなくなったと見えただろう。


 イヴ「弾丸装填……」


 盗賊5が倒れたのを心配して集まってきた盗賊達を迷い無く、予は撃ち殺す。

 集まった盗賊達の内、盗賊6が倒れた。


 リンテリアの人間のほとんどは勇者が銃を武器に無双したと知っているが……銃が身近にない為、銃の射線を予測することは疎か、予の背負っていたウィンチェスター RFをただの筒だとでも思っていたのだろう。

 予はお父様に、勇者様に、憧れていた。

 故に幼き頃から銃の練習を欠かしたことはない。幸い、誰よりも才能があった。


 イヴ「弾丸装填……」


 引き金を引き、いきなり、倒れてしまった仲間達を見て、ただ、おろおろするしかない盗賊達をまた、撃つ。

 盗賊7が倒れた。


 盗賊8「なん、何だよ! 魔法なのか! 炎や、風なんて――――」


 イヴ「弾丸装填……」


 盗賊8「――――な、い……うっ……」


 軽く呻いて、盗賊8は倒れた。

 盗賊達はみんな、首の骨を正確に打ち抜かれて死体になった。故に血はあまり、出ていない。小さな弾丸が人間の脆さを証明したのだ。

 予は死体になった盗賊の首を切り落とす。

 真央が欲しがっていた懸賞金を手に入れる為だ。


 異世界 リンテリアでは死体が転がっている事は多い。地球の人間ならば、死体に動揺するだろう。しかし、未だ、文明レベルが中世である異世界 リンテリアのファンタジーな世界観では死は日常なのだ……。地球から来た観光者や移住者とて、覚悟しなければならない。

 大抵は病気で死ぬ。何の病気で死ぬって? アスピリンなどで簡単に治ってしまう風邪で赤ちゃん~老人まで様々な年齢層、様々な身分の人間が平等に死んでゆく。

 地球の薬は世界天秤条約で持ち込み、開発が禁止されている。


 理由は急激で不自然な文明発展はその世界を崩壊させるからだ。

 知識量の豊富な人間しか、その危険性に気づくことがなく、民達は常に世界天秤条約に罵倒を吐いている。


 イヴ「ただでさえ、消えてゆく命なのに何故、傷つけ合う」


 予は自分も妹を殺すかもしれない運命にある。そんな運命に気づき、予は泣いた。

 どうして、妹を殺さなければならない。


 イヴ「予は妹と一緒にいつか、照り焼きバーガーを食べたいのだ」


 その願いは叶うのだろうか?



<凪紗南イヴはLevel 12に上がった>

<北庄真央はLevel 24に上がった>

<セリカ・シーリングはLevel 18に上がった>

<レイ・リクはLevel 41に上がった>





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