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第1話 しがない旅人現る


俺の名前はハルト。万篇の魔法使いの異名で呼ばれるしがない旅人だ。路銀は街の冒険者ギルドで稼いで、いろんな人間と出会ってきた。

俺の旅の目的は世界を魔法で彩ること。だから世界中を旅して魔法を収集している。

魔法の手に入れる方法は三つ。自力で魔法を編み出すか、誰かに伝授してもらうか、魔獣を討伐するかだ。

三つ目を達成できる人間は冒険者の中でも少ない。なぜなら魔獣は魔獣に認められた者にしか倒せないからだ。

そして認められるには時間も労力も基本的に足りない。だからこの世界の人間の魔法文明はそこまで高いわけではない。


「まあ、稀にとんでもない魔法使いが誕生したりするけど」


それは百年に一人と言う逸材などだ。俺も一応その一部の人間の一人だが、まだまだ修行の身だ。ふと、道に影が差したことに気付いて空を見上げた。雨雲だ。


「急いで次の街に行かなきゃな」


一度行ったことのある場所なら記憶を頼りに転移できるが、今から行く街は初めての街だ。俺は身体強化の魔法と疾風の加護を発動させて全力疾走した。


「あれ、なにかあったのか?」


街につくと人の気配はするが空気は最悪と言った物だった。大気が汚染されているのではなく、人間の放つ邪気によるものだ。それで空気が悪い。


「なにかあったのか?」


俺は宿屋の女の子に尋ねることにした。この街の空気の原因について何か知っているかもしれない。


「その、竜神さまがこの街にやってくるらしいんだ」


「竜神さま?」


なんでもこの街を始めとしたこの周辺で有名な神様だそうだ。竜の姿をしていて万物のすべてを操れるらしい。人間たちは竜神を恐れ崇め奉っていると言う。


「竜神さまは悪竜なのか?」


「違うの、竜神さまに問題があるんじゃなくて、この街にやって来た冒険者がまずいの」


なんでもこの街の冒険者ギルドに竜神さまに挑もうとするアホが現れたらしい。


「だからどんな祟りがこの街を覆うかわからないの。他の冒険者や街の人たちがやめろと言ってもその冒険者たちは言うことを聞こうとしないの」


「そうなのか」


俺も祟りがあるのは困る。この街に数日は居る予定だからだ。別に正義感から町の住民を守りたいとか。そんなヒーローみたいなことは考えていない。しかし、このままだと街にいる俺まで被害を受ける可能性がある。


「確認なんだけど、竜神さまってどんな性格をしてるんだ?」


「とても賢くて誠実な方だよ。ただ精霊や彼の纏っている神の風がこの街をどうするかはわからないから」


「なるほど」


竜神さまの意思に関係なくこの街は被害を受ける可能性があると。さすが神と言うだけ祟りの規模が違う。


「じゃあ、とりあえず一泊するよ」


「まいど」


俺はどうするか一晩考えることにした。

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