第93話 ソーマ・ウェイスター
リリィ達は国連識別の小型飛行機に通信を飛ばす。
「こちらはメカニカルワルキューレ。これよりそちらを救援します!」
そう言いながらリリィは小型飛行機に攻撃をしている無人機をすれ違いざまに切り伏せ、
そのまま振り返りつつ、自身が二つに切り裂いた残骸にビームを放ち、撃ち落とした。
小型飛行機からは困惑した声色の返答が返ってくる。
『メカニカルワルキューレだって!?君達はガドル……国際連合に切り捨てられたんだぞっ!!救援なんて、信用……』
そこまでパイロットらしき者が話していたが、パイロットの後ろから誰かが無線に割って入った。
『メカニカルワルキューレ……良かった……無事だったんだね。』
リリィ達は無人機達を相手しながら会話を続ける。
「無事だったって……貴方はいったい……」
国連の攻撃で自分達はラボを……家を、仲間を失ったのに、その国連の誰かから安否を気にされることに困惑しか無かった。
今、世界では何が起きていると言うのか……
『……挨拶が遅れた。私は国際連合事務総長、ソーマ・ウェイスター。君達メカニカルワルキューレの援護、心より感謝する。』
───
ハカセはヴァルハラ内の自室で、何故最期にキュベレが亡き親友と同じ様な言葉を発したのかを調べていた。
そこで初めて、十年以上苦楽を共にして気付けなかったキュベレの秘密を理解した。
キュベレのメインブレインは亡き親友、サイサの持っていたデバイスをベースに開発した物だった。
理由としては量子コンピュータとして十分の性能を有していた事と、親友との思い出を少しでも感じたかったからと言うものだった。
しかし、ハカセはサイサのデバイスを詳しく解析せず、ただ性能と本人が持っていた遺品だからと言う理由だけで埋め込んだ事で、それ以後キュベレの内部データを見ることはしなかった。
残されたキュベレの記録データを見てハカセは再び項垂れていた。
そこにはサイサが幼少期から書いていた日記があったからだ。自分との出会いから亡くなるまでの出来事が、親友だった自分も知らないくらい事細かく記されていた。
つまり親友が生きた証を残したいからと、
姿をサイサに似せたキュベレは、せめてもの思い出として埋め込んだデバイスにより、サイサの記憶すら一部引き継いでいた事を示いていた。
「なんで言わないのよ……バカキュベレ……」
それまでハカセは姿だけが親友のキュベレを開発した事を後悔すらしていた。
しかし、彼女が親友の記憶の一欠片でも持ち合わせていたのなら……
もっとキュベレとちゃんと会話するべきだったと、新たな後悔を抱いていた。
そして親友の日記をスクロールしていたハカセはある文を見て目を見開く。
それは魔力結晶についてのサイサの独自解釈
「……これは……!」
その時、自室にコトネから無線が入る。
『ハカセっ!今リリィちゃん達が救援している小型飛行機の搭乗者はソーマ・ウェイスター、国連の最高責任者だと言っています!』
ハカセはコトネの発した人物の名前に驚く。
「な、ソーマがっ!?」
ハカセはそのまま自身の端末を操作すると小型飛行機に通信を送る。
「……こちらはメカニカルワルキューレ最高責任者です。……ソーマ、貴方なの?」
ハカセの声を聞いたソーマは声色が明るく、そして涙ぐんだものに変わる。
『あぁ…良かった……ベル……ラボに気化ミサイルが放たれたと聞いて僕は気が気で……』
ハカセは頭に手を当てため息混じりに言う。
「……はぁ…とにかく、機体の状態から見て陸に行くのは厳しいでしょう。
……そちらの着艦を許可します。今ガイドビーコンを出すわ。」
無人機達を全て蹴散らし、リリィ達はハカセとソーマを名乗る男性の関係がどういったものなのか、勝手に考察していた。
「なぁ……今ベルって、妙に馴れ馴れしかったよな。」
アリアは空中に浮いたままヴァルハラと小型飛行機が並列飛行している後に続く。
「これは……ワクワクするわねっ……!」
ディアナも普段ラボでは感じられないゴシップ的な男女の何かを察したのか、ニヤニヤしている。
「ソーマ……国連のトップとして名前は聞いた事がありますが……」
メガイラの発言にリリィは食いつく。
「……さっき本人も言ってたけど、ハカセとどういう関係だろうね。」
「……なんにせよ……これから分かるだろう。」
そう話すナギサの目にヴァルハラに着艦する小型飛行機が見え、
ワルキューレ達も各々ヴァルハラに戻っていくのだった。
ソーマさんの苗字無いと締まらないなと……
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