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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第90話 放たれた砲火


リリィは隣でこわばったアリアの肩を抱く。

そして私達の"敵"を睨みつける。


ガドル・E・アヴァリス……


まさか奴がこんな手を使って来るとは思わなかった。

接収なんて言うのは真っ赤な嘘だ。

ハカセの齎した情報が正しいなら、奴は最初からティターニアのトップであったはず。


───奴は自身が絶対の正義であり、ティターニアに対抗出来る唯一の勢力、私達メカニカルワルキューレを悪とする事でワルキューレを攻撃する口実を世界に叩きつけたのだ。

何よりこれからは国連のガドル派閥はメガミドライヴをティターニアから接収した技術として、

大義名分の元使える事になった。


リリィは奴の姑息さに下唇を噛み締めた。



その時、演説を終えたガドルはゆっくりと正面のカメラの方を向くと静かに宣言する。

『──我らはこれより断固たる措置を取ります。

世界の平和の為に──今、この瞬間から』



ハカセは苦虫を噛み潰したように顔を歪めホログラムのガドルの発言に零す。

「ガドル……やってくれたわね……っ!」



その時、端末を操作していたコトネが振り返り叫ぶ。

「ハカセ!!高速ミサイルが放たれました!

数は五十っ!!標的は此処、ラボです!!

識別は……国際連合……!国連です!!」


コトネの発言にハカセが叫ぶ。

「くっ……宣言からの対応が早すぎるっ!

ガドル、最初からこのつもりだったわね……っ!!

迎撃しつつエネルギーフィールド最大展開っ!!各員衝撃に備えなさい!!」



───まるで最初から、私達を世界から切り捨てる準備をしていたかのように……


大量のミサイルが私達に放たれた。



ハカセが叫んでからわずか数秒。

ラボ全体が激しく揺れた。

次の瞬間、鼓膜を叩き潰すような衝撃音が貫く。

足元が浮く感覚に、リリィは思わず壁に手をついた。

コップが砕け、壁が軋み、一部のスタッフは尻もちを着いて頭を抱えている。


更にコトネが続ける。

「し、識別が国連の無人機、既にラボの周辺に大量に展開されています!!数はっ……

百機以上!!」



それを受け、誰よりも早くナギサやディアナ、第一世代のワルキューレはスタッフ達やハカセにシェルターに移動するように指示を出し、自身らは出撃に向かった。


それに続いて第二世代のワルキューレ達がカタパルトに向かう。


様子のおかしいアリアの肩を抱き、その場を動けないリリィ達を、フィレアだけが何とも言えない表情で一瞥するも、一度手を伸ばしかけ、

何かを言いかけて、言葉を飲み込み、踵を返し他のワルキューレを追った。




管制室に残ったのはアリアと、リリィだけだった。




アラートがラボ全体にけたたましく鳴り響き、既にエネルギーフィールドが危険域である事を告げていた。



──アリアの震えは未だ止まらない。


それでも、その瞳だけは揺れていなかった。


震えていたアリアの肩が、ゆっくりと強張る。

その震えは、恐怖ではなかった。

唇を噛み、血が滲む。


「……もう、奪わせるかよ、クソ野郎」

その瞳に映っていたのは、過去ではない。

今、ここにいる家族達だった。


「リリィ……行くぞ!」


リリィの方を振り返ったアリアの顔は以前の恐怖に怯えるものではなく、戦士のものになっていた。


「うん…!行こうアリア!」


アラートが鳴り響く中、二人は同時に駆け出す。


揺れる管制室の自動ドアが開き、外の轟音が押し寄せた。


──守る。


その想いだけを胸に、二人のワルキューレは戦場へ飛び出した。

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