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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第89話 世界


スーパーメガミドライヴ──



それはハカセの提唱した、メカニカルワルキューレの新たなエネルギー機関であり



これまでのメガミドライヴとは、動力源こそ同じではあるが


性質の全く異なるこの機関はあくまで"可能性"でしか無かった。


魔力結晶を核とし、結晶が放つ"超新星爆発級"の未知のエネルギーを電力という枷を捨て、そのエネルギーの全てをそのまま力として解き放つ理論───


それこそがスーパーメガミドライヴの原型であり、ハカセが親友と魔力結晶を見つけた時から長年研究し続けていた物だった。



魔力結晶の本来持つ、"無限にも等しいエネルギー"を完全に引き出せたのならば、メカニカルワルキューレはまさに、最強の抑止力たり得る。



───だと言うのに……



ハカセは誰も居ない研究室のデスクを叩く。



「もう少しなのよ…!後少しだと言うのに……っ」


今は亡き親友と構築した基礎理論……その悲願まであと一歩というところでハカセは躓いていた。


現在ラボで所有する中で最も高い反応を示している魔力結晶……


リリィの……ヴァルキリーの魔力結晶を核としてもスーパーメガミドライヴは


稼働どころか、微かな反応すら示さなかった。




構造は問題無いはずだ。



理論に狂いは無いはずだ。



……だというのに、未だ深い眠りの底にいる魔力結晶にハカセは思わず問いかける



「後は……何が足りないというの……ヴァルキリー」



その問いに対し何も返ってくることはなく、ハカセの夢であるスーパーメガミドライヴはただ、静かにそこにあるだけだった。




───



試合の後からリリィは自身を見つめる視線が気になっていた。



振り返ると消える視線。



首を傾げ再び歩き出すと再び感じる気配にリリィはただ困惑していた。



───視線の正体はトーナメント前に散々リリィを馬鹿にしていた……



声を掛ける勇気もなく、ただ見ているしか出来ないでいるフィレアだった。


そんな三女に対しルキアとノアはやれやれと言う表情を浮かべていた。


フィレアは試合前、リリィをただワルキューレとしての経験が長いだけの弱い存在だと思っていた。


それはリリィの、普段からの物腰の柔らかさから齎された誤解であったが、フィレアはリリィ本人に散々悪口を言ってしまった事が気がかりで仕方がなかった。


試合の後、フィレアはリリィの過去の記録を見た。


数多の戦闘において最前線で駆け抜ける白きワルキューレ……


どんな敵にも怯まず立ち向かい勝利する様は先日の試合でみせた力がリリィの一端でしかないと理解させた。


フィレアは眉を顰めると小さく零す。



「そんなに強いなら……もっと誇れよ……もっと威張れよ……」


フィレアは自身の視線に辺りをキョロキョロとして躓くリリィの背中をただ見つめていた。



───



そんな時、ラボの全館に、管制室のコトネから緊急放送が流される。



『ハカセ!それにラボの皆さん!至急管制室に!!』


切羽詰まったその声色から良くない何かが起きた事は想像に容易かった。



ハカセをはじめ、現在集まれるワルキューレ達が管制室に入った時だった。



管制室の大きなホログラムに、

"ある者"が声を荒げながら民衆に演説している様が映し出される。




その男の顔を見たアリアの顔が強張る。


 

『この度、我ら国連は激しい戦いの末……

多くの犠牲の元、ティターニアの一拠点を

壊滅させ、遂に彼らから接収したメガミドライヴという技術が、数多の少女達の命を犠牲に成り立つ、いかに危険で野蛮な技術であるか───それが、ここに示されました!



これよりこの野蛮な技術は我ら国連が全て接収し、正しく管理する事をここに誓います!!』



涙すら浮かべ、戦死者達を弔いながらも世界に向け言い放つ男……


ガドル・E・アヴァリスが、ティターニアのトップでなければどれだけ良かっただろうか……


更に続けた言葉にラボに居る皆が驚愕の声を漏らす。



『───しかし、この危険な技術を世界に広めたのはティターニアではなかったのです!』





『───武装組織メカニカルワルキューレ……彼女達こそが全ての元凶であり、メガミドライヴを世界にばら撒いた諸悪の根源だったのです!!』



『故に──我ら国連はここに宣言します!!彼女達が齎した悪魔の技術、メガミドライヴという毒を持って、彼女達という毒を制すと!!』


民衆は、世界が揺らぐような大きな歓声をあげ、それを受けガドルは高らかに拳を振り上げた。





───世界そのものが、ワルキューレの敵になった瞬間だった。

実質三章の真の始まりです。

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