第88話 トーナメントを終えて
試合を終え、全てのワルキューレ達が集まっていた。
メカニカルワルキューレを脱ぎ、ただの少女達として他愛もない会話に花を咲かせていた。
フィレアはアリアの化粧品に興味津々だし、
ルキアとノアの姉妹はリリィにどう頭の中で戦闘を組み立てているのかを聞いていた。
リリィは人に上手く教えるのが苦手らしく、ディアナに助け舟を求めていた。
元々、感覚で戦ってきたリリィは指導者としては不向きであり、
それ故、他の第一世代と違い教官をせず戦場に出続けたという側面もあった。
他所では最終試合の戦いについてソフィアから見た視点での改善点をミレイナが執拗に聞いていたり……
───世代間を越えた交流が見て取れた。
───必ずしも、試合を行ったからといって強くなる訳ではない。
特別な力を得る訳でもないだろう。
でも……試合前より各々が互いを認め合い、笑い合っている様が見え、ハカセは微かに笑みを浮かべる。
仲良くあれとはけして言わない。
戦士である彼女達にそれは求めない。
ただ、この試合を通して自身の弱点を見つめ直し、向き合い、乗り越えんとして欲しい。
そこに今回の試合の立案者でもあるナギサが歩いてきた。
「貴女の表情を見るに、今回の"親睦会"は成功と見て良いな?」
ナギサの発言にハカセは苦笑いを浮かべる。
「……まさか親睦会として試合をしたいなんて言われるとは思わなかったけどね。」
ハカセもまた、まさか親睦会の為にトーナメントを立案されるとは思わなかったからだ。
そこにアリアが割って入った。
「やっぱ今回のトーナメントはナギサの立案だよな。相変わらずの思考ゴリラ……」
"ゴリラ"と言う発言をしたアリアは笑顔のまま、ナギサの鋭いアッパーを食らい、綺麗に宙を舞った。
フィレアは敬愛するアリアに対する野蛮な行為に
「アリアさんに何すんだよ!このゴリラ!ゴリラ!」
と矢継ぎ早に叫ぶ。
フィレアは仲良くアリアの隣に倒れた。
こうして騒がしく激しいメカニカルワルキューレの、彼女達なりの親睦会は幕を閉じた。
───
トーナメントを終えたある日の昼下がり、
ワルキューレ達がトレーニングルームで束の間の休息を取っていた。
「…そう言えばアリア、お前が紹介してくれた化粧水だが、私の肌には合わなかったな。少しピリピリした」
ナギサがダンベルを置きタオルで顔を拭いながらアリアに話しかける
「え、あぁ?あれでもかなり弱いんだけどなー。
じゃあハカセが使ってるヤツでも聞いてみるか?あの年齢なのにやたら肌綺麗だし」
アリアもまたタオルで顔を拭いつつナギサに応える。
「ちょっとアリア、あの年齢って……いくらなんでも失礼でしょ…」ディアナが呆れた様な声でこぼす。
「へへっ、そう言うディアナが無自覚に一番失礼なんじゃないか?私は素直に褒めてんだぜ?」
アリアはニヤニヤしながらディアナを小突く。
「ち、ちがっ」
ディアナはしまったと言う表情を浮かべる。
明らかにアリアに非があるが、ディアナは真面目過ぎた。
「……そもそもハカセは何歳なんだ?」
ナギサが純粋な疑問を浮かべる。
「確か35」
アリアがあまりにも早く即答する。
「35……ハカセって結婚とかしてたかしら」
ディアナが畳み掛ける様に疑問を浮かべる。
確かにハカセには謎が多い。疑問を浮かべるのは必然でもあるかもしれない。
「恋人すら居ないだろ!だって、あの性格だぞ!」
アリアが大笑いしながら言う。
「ふむ、俗に言う"生き遅れ"……と言うやつか」
ナギサが真面目な表情でこぼす。
思わずディアナすら笑った。ナギサがどこからそんな言葉を仕入れたのか、いや、おそらくアリアだろう。
───ただ、彼女達は知らない。
最初からハカセが曲がり角で全てを聞いていた事を……
「……今のうちに笑ってなさい。いずれアンタ達もこうなるのよ」
笑みを浮かべるも青筋が浮き上がるハカセなのであった。
次回からまた話が動き出すのでギャグ寄りに




