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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第二章 復讐の連鎖編
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54話 鏡合わせ


リリィがソフィアのもとに向かうより少し前。



司令室から出て行こうとするリリィに対し、メガイラは声をかけた。



「待ってください!リリィ!」


「……?。どうしたのメガイラちゃん」


リリィは振り返りきょとんとしている。



「私も…私も行きます!だって私は彼女の……」



「バディ…だから、でしょ?」



リリィは優しく微笑みながら答える。



「尚の事……私一人で、行かないと。」




「リリィ……貴女、ソフィアと何か……あったのね……?」



ハカセが聞いてくる。



そう、三年前、リリィは仲間達にすら言わなかった。



隠してしまった。



リリィがダルクを殺めた時……



ダルクをお父さんと呼ぶ少女が居た事を、

その事に気付いたのに、自身の心を守るため、あえて少女を放置した事を。



「そんな……リリィ……!」



メガイラの声が震えた。



リリィの告白を受け司令室の皆が沈黙してしまう。



つまりソフィアが最も憎んでいるのはメカニカルワルキューレの中でも……"ヴァルキリーを装着していたリリィ"ではなく、"ソフィアの目の前でダルクを殺したリリィ"と言う事だ。



ソフィアは……リリィ個人を恨んでいる……



その時、メガイラの中で全てが繋がる。



何故ソフィアがリリィの戦闘データばかり見ていたのか──



リリィを目で追っていたのか──



メガイラは自身と同じくリリィに憧れを抱いているんだと、そう思っていた。



でも……本当は真逆だった。



ソフィアはリリィに追いつきたいんじゃない。



リリィ……ヴァルキリーを堕としたいのだ……と。



司令室を無言で出て行くリリィにアリアが声をかける。




「リリィ。


死んだり、殺したりしたら、アタシはお前を……絶対許さないからな。」



リリィは振り返らず、ただ一言だけ



「……行ってきます。アリア」




自動ドアが、閉じた。





───




自身の前を飛行するリリィをソフィアは見つめながら、ワルキューレとしての先輩であるナギサに以前言われた事を思い出していた。






「何故お前達新米に新型のワルキューレが優先的に配備されるか、知っているか。」



腕立て伏せをしている時にナギサは唐突にソフィアにそんな話をしてくる。



「はぁっ…はぁっ…分かり…ませんっ」



「……リリィがハカセに頼んだんだ。


『自身らは戦いに慣れている、だから次の子達が少しでもちゃんと生きられるように』……と。私達もリリィの発言に頷いた。」




「……お前のMV-10も、本来ならリリィに配備予定だった物だ。


───心して使え」



……と。



───あの時は心の中で嘲笑った物だ。



所詮強者の戯れだと……



でも、リリィ……彼女の戦闘データを沢山見て理解した。



リリィのワルキューレは初期型。



ラプターの攻撃を一撃でも食らえば即死しかねない物だった。



そして、本当は理解していた。



何故リリィが敵のネガ・メガミドライヴをピンポイントで破壊するのか。



頭部や胸部を一撃で仕留めるのか……




もちろん、弱点だからと言う事もある。




しかし、本質はそこでは無い。



ネガ・メガミドライヴに改造された少女、

彼女達が最も憎んでいる筈の破壊をさせない為……戦果を広げさせない為……



彼女達の"手"をこれ以上、血で汚さない為にネガ・メガミドライヴを一撃で破壊しているのだ……と。



……腹立たしかった。



リリィを憎みたいのに憎めないもどかしさが何より憎かった。




──リリィが残虐な人間だったならどれだけ良かっただろう。



──ハカセが研究しか頭に無いただのマッドサイエンティストならどれだけ救われただろう。




──メガイラ……彼女に近寄られた時、拒絶していたら……




私が思考を巡らせていた時……前を飛んでいたヴァルキリー……リリィが止まった。




「───ここなら、誰にも迷惑かからないよ…ソフィア」



リリィが降り立ったのは、寂れた廃墟群だった。



廃棄になってしばらく経ったのだろう。



苔や蔦が生い茂っていた。



「ここは……」



ソフィアが辺りを見渡す。



戦争の……跡地だろうか




「ここは、私の生まれ育った街。」




「えっ…」




ソフィアは思わずリリィの背中を見る。



「プロメテウスのテロでね……魔力結晶に適合した少女の……私の採取が目的だったんだって。」



プロメテウスの……それはつまり、私の父、ダルクがこの惨劇の跡を築いたと言う事……。



「私の家族も、そのテロで皆死んだの。


私の……直ぐ近くで……」



リリィの発言を聞いてソフィアは手で口を覆う。




つまり……リリィは私なんだ。



父、ダルクに家族を殺され、復讐の果てに……私の父を殺めた。




リリィはゆっくりとソフィアに振り返りソフィアに剣先を向ける。



「でも、だからって……貴女を止める権利は、私には無い。



私はダルクを殺した時、貴女の存在に気付いたのに放置したの。



裁かれるのが……怖かった。」




その言葉を聞いて、ソフィアも構える。



これは、もうただの復讐じゃない。




互いに目を背けた者同士の



……戦いなんだ。





「行くぞ……ヴァルキリー!」



「うん……ソフィア!」





───二人の刃が同時に振り下ろされた。

プロットではただお祭り的な感じで一章主人公VS二章主人公が書きたかっただけのはずなのに……二人とも何処向ってるの…

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