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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第二章 復讐の連鎖
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第48話 お腹が空いたら悲しいから


……結局、ソフィア達が行こうとしていたオムライスが美味しい店は臨時休業となっていた。

街で戦闘があったのだから当然だろう。


店が臨時休業となった事で、1番落ち込んでいたのはもちろんメガイラだった

アリアの小型飛行機の後部座席でメガイラは顔を下げ俯き、誰が見ても明らかな程の落ち込み方をしていた。


「えーっと……そんなに食べたかったの?」

ソフィアは思わず苦笑いを浮かべる。

食べ物如きで、いくら何でも落ち込み過ぎだろうと思っていた。

メガイラが尊敬するリリィが教えてくれたオムライスと言うのが、そんなに好きなのかと気持ち悪さすら若干抱きかけていた。


「好きなのは分かるがそんなに気落ちするかぁ?」

あまりの落ち込み方に飛行機を操縦しているアリアすら少し呆れているようだった。


「もちろん好きなのは、そうですけど……ソフィーにも食べてもらいたかったから……」



それを聞いたソフィアは言葉に詰まる。

まさか自分に食べさせたかったと言う理由が返って来るとは思わなかった。


「大丈夫だよ。また次皆でくれば……ね?ソフィア?」

リリィがメガイラの背中を擦っていた。


それを聞いてソフィアは更に言葉に詰まる。

私はただ、復讐の為に……その為に……


でも、復讐を果たしたらリリィの言う"次"は来ない。


ソフィアは思わず下を向いてしまう。

……ダメだ。怒りを忘れるな。あの悲しみを消すな。復讐の炎を焚べ続けろ。



「ははっ…そうですねリリィ先輩。また今度……来ようねメガイラ?」


必死に絞り出したその声が、正常に発せられたか、もはや自分にも分からなかった。



───



ラボに戻るとスタッフ達が笑顔でリリィやアリアを出迎えていた。彼女達からすると二人は"英雄"なのだろう。

その光景を、ソフィアは一歩引いた場所から見ていた。

自身の、温かさを抱き始めていた心が再び冷めていくのが分かる。


その、お前達が崇める英雄が他でもない、私の父を殺したのだ、と言う殺意を込めてソフィアはその光景を外からしばらく眺めていたが、踵を返して去っていった。




「おかえりなさいリリィちゃん!ちょっと痩せたんじゃない?大丈夫?」

「アリアも長い任務の後に戦闘になっちゃって大変だったね!」

スタッフ達はリリィとアリア、

"大切な家族"の帰りを労う為に集まってきていた。


それは外からでは、けして分からない温度だった。


去っていくソフィアの背中をメガイラがちょこちょこと追いかける。

「ソフィー。なんだか、怒っていますか……?お腹、空きましたよね?」


「……空いてない」


「でも、朝から何も食べてないですし……それに……」


いちいち食い下がってくるメガイラに対し、

普段であれば抑えられる筈の苛立ちを抑える事が出来なくなったソフィアは、歯を食いしばって後ろを振り返り怒鳴ろうとした。

「……だからっ!」


しかしソフィアの目に入ったのは心配そうにこちらを見つめるメガイラの瞳だった


「…っ!」

やめて……そんな目で私を見ないで。

メガイラの優しい瞳が嫌……

最初から敵として接するべきだった……こんな、こんな思いになると思わなかった。


その時、ソフィアのお腹が『グゥー』っと空気を読まず音を鳴らし自らを裏切る。


「ふふ……やっぱり、食堂に行きましょう!お腹が空いたら、誰でも悲しいですから。店には劣りますが、キュベレの作るオムライスもなかなか美味しいんですよ!」


そう言うとメガイラはソフィアの腕を掴み通路を走っていく。

ソフィアは呆気に取られた

……ハカセに問いただしたいことも沢山ある。

あの気持ちの悪い輪に入るつもりは無い。


だけど……だけど今だけは、自身の空腹を満たす為に、この"真っ直ぐすぎる善意"を利用してやるか、とソフィアはため息混じりに歩幅を合わせた。

お腹空いた……

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