第47話 リリィ
何故、割って入ってしまったのか、自分でも理解出来なかった。
ラプターのネガ・メガミドライヴの位置は背部、後ろから攻撃すればそれで片が付いたはずなのに……
「な、何しているの!早く逃げなさい!!」
私の後ろで呆気に取られている親子に叫ぶ。
父親の方が「ありがとうございます!ありがとうございます!」
と礼を言いつつ離れていくのを尻目にラプターを睨む。
礼なんて要らない。
私はただ目の前の機械が親子を殺す光景を見たくなかった……ただ
「それだけだ!!」
私は背部スラスターを全開にするとそのままラプターを押し返しはじき飛ばす。
メカニカルワルキューレの中で最も最新型のこの機体の性能はラプターより純粋に性能でまさる。
それを理解しているからこそ出来た荒業だ。
その光景を見ていたアリアは笑みを浮かべる
「こいつはまた、頼もしい……後輩が出来たもんだ!」
アリアはラプターが反撃にと放つミサイルやビームの数々を、クロー2本だけでいなしていく。
自身の後ろに居る人々に怪我を負わせないために
これ以上、誰かの笑顔を奪わせない為に。
「メガイラ!バインダーユニット!」
アリアは既に一機を無力化したメガイラに対し咄嗟に指示を出す。
メガイラもその指示を受け瞬時にアリアの後ろの人々の前にエネルギーバインダーを展開させる。
アリアはそれを起点にラプターに肉薄すると、すかさずジャンプしそのままラプターの背後のエネルギー機関を二基同時に切り裂いた。
ラプターが爆発し爆風が吹き荒れるが、メガイラのバインダーのおかげで一般人への被害は出なかった。
残るラプターは一機。
ソフィアはエネルギーブレードを展開するとラプターと激しい接近戦を繰り広げていた。
パワーで言えばほぼ互角。
しかし実際の戦闘に慣れておらず、思わずラプターのスピードに翻弄されてしまう。
そして遂にラプターに背後を取られ、ソフィアは地面に叩きつけられる
「ぐうぅっ!!」
ソフィアが何とか立ち上がろうと上半身を起こし振り返った時、目の前にラプターの鋭利な爪が振り上げられていた。
(あ……)
ソフィアは自身の死期を悟る
私はここまでだ。
何も成せず、何も出来ず、
ただ無意味に死ぬ……
ソフィアが目を瞑った時、空から風切り音と共に翡翠の光が舞い降り、ラプターの腕を切り裂いた。
ソフィアはゆっくりと目を開けると、その光景を目視し目を見開く。
「ヴ、ヴァルキリー……リリィ……先輩……」
それは、忘れるはずもない、翡翠の髪、青のインナーに白い鎧。
現存するメカニカルワルキューレの中で、最強のワルキューレ……MV-01ヴァルキリー。
リリィはソフィアに背を向け、目の前のラプターを睨みつける。
そしてソフィアに笑顔で振り返る。
「遅くなってごめん。もう、大丈夫だからね」
ソフィアは思わず歯を食いしばっていた。
今すぐにでも殺してやりたい……父殺しを咎めてやりたい……
けど今その殺したい相手に助けられてしまったと言う事実。
死の淵から助かったと言う安堵感。
奴が背中を見せた今が復讐の絶好のチャンス……だと言うのに……そのはずなのに
私の手は動いてくれなかった。
リリィはそのまま空中に飛翔するとすかさず剣を投擲し、敵のもう片方の腕の関節部に突き刺す。
そこにビームガンをピンポイントで当て剣を爆発させる事でもう片腕を破壊する。
そしてコンバットメイデンを武器スロットから呼び出すと、流れるように背後のエネルギー機関を辻斬りし、ラプターを斬り伏せた。
爆発することく、ラプターは膝をついて沈黙した。
リリィは一呼吸置くと後ろで未だに尻もちを付いているソフィアに手を差し伸べて来た。
「……ありがとうソフィア。
貴女が、あの親子を助けてくれたんだよね。
通信越しに、ちゃんと聞いてたよ。」
差し伸べられたその手を、私は掴めない
「わ、私は……!!」
普段の笑顔を崩し、自身を睨みつけ苦悩の表情を浮かべるソフィアにリリィは困惑する。
「ご、ごめん、何処か…怪我しちゃった…かな…?」
と首を傾げ眉を垂らしながら優しく聞いてくる。
「……いいえ。何でもありません……支援、ありがとうございました…」
私は顔を伏せ、無理やりに言葉を紡いだ。
(お父さん……私は……)
そこに突如アリアが手をワキワキさせながら現れ、リリィにヘッドロックをかます。
「おぉい!!会いたかったぜリリィ!!」
「ふふっただいま、アリア」
仲睦まじそうにアリアとリリィの笑う光景。
ソフィアはそれを無意識のうちに恨めしそうに見ていた。
そこに今度はメガイラがソフィアに手を差し伸べて来る。
「お疲れ様です。今回のソフィーの判断。
素晴らしかったですよ!」
ソフィアはもう一度差し出されたそれに、ゆっくりと手を伸ばすと、メガイラはしっかり握り締め彼女を立ち上がらせる。
しかしソフィアはバランスを崩し、メガイラにもたれかかる様な体勢になってしまう。
「あ…っごめ」
ソフィアは無意識に謝ってしまい、メガイラから離れようとする。
しかしメガイラはソフィアを優しく抱き締めた。
「…おあずけになっちゃったオムライス。
皆で食べに行きましょうね」
───どんだけ食べたいのよ、オムライス…
気づかぬうちに、ソフィアは笑顔を浮かべていた
ちなみにですが、私は恋愛等は書けません(血涙)




