第34話 7人の戦乙女
───プロメテウス本部襲撃の少し前
全敵機の殲滅後、改めて私達はラクシャシーとアスラと向き合った。
「……まあ、改めて、礼は言っとく。」
ラクシャシーはそっぽを向きながら頬を掻きつつポツリと零す。
「感謝。」
アスラさんは両手を合わせ会釈してきた。
「しっかしまぁ……改めてすごい強さだな。」
アリアは周りに散らばる敵の残骸を見て驚嘆の声を漏らす。
「全くね、敵なら…怖い事この上ないわね。」
ディアナさんも腰に手を当てつつ、あえて"敵なら"と強調する。つまり今は敵では無いと言っているのだ。
「はい、頼もしい限りです。ね、リリィ」
メガイラちゃんがこちらの顔を覗き込みつつ聞いてきた。
「そうだね……でも、何より2人を助けられて本当に良かったよ。」
私は2人に笑顔を向ける。あんな酷い仕打ちを受け苦しんでいた2人だ。さぞ嬉しい……
「はぁ……ていうか…さ、全く、頼んでもいないのに勝手に……本当……困るって…」
ラクシャシーは顔を伏せながらポツリポツリと言葉を零す。
あれ……嬉しく……無いのかな?
私がもしかして、本当は余計だったのかなと
ワタワタしているとアスラが握手してきて思い切り腕をブンブンと上下に振られる。
の、脳が、ゆ、ゆれれれれれ
「ヴァルキリー……いや、訂正。リリィ。感謝。感謝。感謝。」
あ、アスラは無表情のまま、激しい握手をしながら感謝の気持ちを伝えてくれれれれ……
だ、誰か……と、止めて
「はぁ……アスラ。やめたげな、アンタの感謝でリリィ、死んじゃうから」
ラクシャシーの言葉を聞いたアスラはパっと手を離し、勢いのまま私は宙を舞った。
吹っ飛んだ私を、アリアが空中でキャッチしてくれた。
「おいおい、味方に殺されてどうするんだよ」と笑いながら。
一連の流れを見ていたナギサさんが珍しく吹いた。
それをかわきりに皆で笑い合う。
ラクシャシーも、メガイラちゃんすら、アスラは……相変わらずの無表情だけど……でも
──やっぱりこの時間が大好きで、温かくて……何より嬉しくて
守れて……助けられて本当に良かった。
『あー……ちょっと、感動の所本当悪いけど、ダルクが逃げ出す前にプロメテウスを仕留めるわよ。ラクシャシー、アスラ。……貴女達にも協力してもらえるかしら?正確な敵拠点の情報が欲しいの。』
ハカセが無線でこれから行わなくてはならない任務の説明を始めた。
「………へぇ……面白そうじゃないさ……いいよ……協力してやるわ。」
ラクシャシーはこれまた怖い笑みを浮かべる。
「ぶっ潰す。」
アスラも首の骨を鳴らしやる気満々だ。
「最短ルートであの薄ら笑いを引き攣らせてやるわよ。アンタ達も良い子ちゃんぶらないで、あいつら……ダルク共々ぶっ殺しに行くわよ。……良いんでしょ?」
ラクシャシーは私達ワルキューレを見て確認してくれる。口は悪いけど、要はこれから行わなくてはならないのは無人機の相手では無い、人間相手なんだと言うことを教えてくれているのだ。
「……分かってる。終わらせよう、全部。」
私は静かに、だけど揺るぎない覚悟を決める。
「リリィ、気張んなよ。私達も一緒だ。な?」アリアが肩を組んではにかんでくれる。……ありがとうアリア。
───そうだ、勝ち取るんだ。私達、皆で!
───
私達はアスラとラクシャシーに先導してもらい最短ルートで、展開されたプロメテウスの隔壁を次々と突破していく。
「ラクシャシー、アスラ……お願い!道を作って!アリア、ナギサさん、私達で突っ込むよ!
ディアナさん、メガイラちゃん、援護をお願いします!」
「「「了解!」」」
行く手を阻もうとしたプロメテウスの無人機の群が細かい爆発となって空に消えていく。爆風の中を突き抜け7人の戦乙女達が駆け抜けていく。
7本の異なる色の光の尾が空に螺旋を描き、闇を掻き消していく。
全てを終わらせるために。
「バイバーイ、ダーリン。惨たらしく地獄へ叩き落とされる準備はできたかしら?」
ラクシャシーのその言葉を合図に私達は転送されたビーム兵器を一斉に放ち、防壁をぶち破ると遂にプロメテウス本拠地に乗り込んだ。




