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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第一章 プロメテウス編
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第26話 激突・ラクシャシー 1


アリアの病室という狭い場所で行われる対策会議。

ハカセに続いてキュベレさんも参加したから、私を入れて七人。さすがにぎゅうぎゅうだ。

「……対策と言ってもハカセ、あのワルキューレ二人についての情報は……」

ディアナさんが口火を切る。

確かに今分かっているのは、"プロメテウスが開発したメカニカルワルキューレらしきもの"ということだけ。

「あれはメカニカルワルキューレではないわ。

感情論じゃなく、技術的に見て“同じ素材を使った別物の兵器”よ」 ハカセはきっぱりと言い切ると、ラクシャシーとアスラの姿をホログラムに投影した。

「アリアとリリィが直接肉弾戦をしてくれたおかげで、この機体──アスラの、かなり詳細なデータが取れました。」 キュベレさんが端末を操作し、機体内部の構造図が展開される。

それを見た瞬間、部屋の空気が凍りついた。


「……っ……これっ」


そこに映っているのは、間違いなく“人間”だ。

……だけど、人としての身体は頭部と胸部しか残っていない。


ディアナさんは、モニターから視線を逸らして唇を噛む。

普段ほとんど表情を変えないメガイラちゃんですら、眉間に皺を寄せていた。


「ハウンドに使われていた生体部品では、魔力結晶の力を引き出しきれていなかったのでしょうね……。

だからプロメテウス──ダルクは、“人体をどこまで削れば最も効率よくエネルギーを得られるか”を、実験していたみたい」


画面が一瞬暗転する

そして “無機質な白文字” が現れる


【実験記録・抜粋】

・魔力結晶の人為的な生成は現段階では不可能。少女を媒介とし、結晶側から接触させることで採取を試みる。

・男性体への適合実験:男児を外科手術により女性化させ適合を試みたが、結晶は反応を示さず。

・適合年齢の制限:最低3歳から最高85歳までを検体とした。結果、第二次性徴期(9〜15歳)が最も高い適合率を記録。

・人為的適合:遺伝子配列の特定により、適合率の底上げは可能。

・適合維持の限界:脳および脊髄の一部さえ残存していれば、魔力結晶は『人間』と誤認し、出力を維持する。

・生命活動を終了した被検体(死体)への適合:反応なし。※廃棄済み


……悍ましい記録が次々と流れていく。

これはきっと、ダルクからハカセへの“プレゼント”なのだろう。

消去しようと思えば一瞬で消せたはずのデータを、あえて残したのだ。

『ほら、人道なんて捨てれば、もっと効率的な方法があるぞ』と、あざ笑うために……


私達はあまりにも悲惨な実験の数々に絶句してしまった。人の進化をうたい行われるおぞましい実験の数々、これを悪意では無く彼らなりの正義の元に行っていると言う事実が、何より理解を拒んだ。


ラクシャシーとアスラは敵……それは間違い無い。アリアを傷付けた事も許せない。けど……だけど、

画面に映る彼女達の人の部分の少なさが、ただの敵と切り捨てる事を拒んだ。

彼女達も私達と同じ。プロメテウスに歪められた被害者なんだ。


多分この場に居る皆が思い思いに同じ様な事を考えていた。


「彼女達の性能の高さはハッキリ言ってしまえば機械化による物が大きいわね。……性能だけを突き詰めるなら、プロメテウスのやり方は間違いではない。人と言うタンパク質の塊に鎧を纏わせるより、機械そのものに置き換えた方が強いのは道理だもの。」

ハカセは淡々と、だけど苦虫を噛み潰したような表情で言う。


「……違う。道理じゃない。それは、ただの蹂躙だ。……ハカセ、奴らの出力が高いのはただ機械だからじゃない。……ラクシャシーとアスラの魔力結晶の性質は憤怒……怒りを増幅させる物……」


ナギサさんは突然語り始める。

「奴らプロメテウスは魔力結晶の中でも、特に怒りを増幅させる物が最も制御しやすいと……プロメテウスの施設で研究員達が話していたのを、聞いた事がある。」


アリアが怒りを露わにする。

「なんだよ……つまり生体部品やらこいつら偽ワルキューレ達は、あえて怒らせる為に手足もがれたってのかよ……」


「……ええ、アリアの言う通りよ。奴らは絶望と怒りを煽るために、効率の為、あえて彼女たちの人としての形を奪った。ダルクとはそういう男。」ハカセは目を瞑る。


「でもね……どんなに高性能、高出力に出来たとしても私は奴の蛮行を許すつもりは無いわ。私はあくまで人として、貴女達を強くしてみせる。それが私の科学者としての美学よ。」

ハカセは今まで以上に強い眼差しで私達へ宣言する。

それを聞いた私達も覚悟を決める。

敵は私達よりも格上。でも絶対に負ける訳には行かない。私達は絶対にダルクを打ち負かす。彼の効率的で強力な兵器を倒すのは、私達、彼の言う"非効率"なメカニカルワルキューレじゃなきゃいけない。


「奴らを倒す力の開発には少し時間が必要かも知れない……けど、必ず成し遂げるわ。だから……」


ハカセが言いかけた時だった

管制室よりコトネさんの緊急放送が流れる。


『ハカセ!プロメテウスの新型…ラクシャシーがラボに向かってきています!敵影は1っ!アスラは見当たりません!』



まだ準備が整っていない私達に対し、ラクシャシーが牙を剥く。



───



「さぁ、かかって来なよメカニカルワルキューレ共……アンタ達さえ居なくなりゃ……世界の破壊も容易なんでなぁ!!」

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