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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第138話 導きの聖女


リリィ達が最後の扉、救助対象の科学者達が監禁状態の部屋の前に着くころには既に無人機が複数配備されそこを警戒していた。


いくらハカセ達が開発した警戒システムを誤認させる最新ウイルスを拠点全体に走らせたといっても、バイタルデータが含まれない国連議員達を連れ歩いているのが今の状況だ。



彼らの脱出が警戒システムと直接繋がっていない無人機達にバレた時点で警戒システムはけたたましくアラートを鳴らし、先ほどから複数の戦闘を繰り広げていた。



「……機体が……重くなってきた……」


リリィのエクゾスケレートはエネルギー残量が三十%まで低下していた。


エクゾスケレートはエネルギー生成までにだいたい丸一日必要とする。



これまでの様な高速戦闘はあと一回か二回が限界だった。


そんなリリィの状態にローレンツは気付いていた。

ロゼッタがエクゾスケレートの情報を教えてくれたが、それ以前に一目見てリリィの動きが遅くなって来ているのを理解していた。


重火器メインのローレンツとは違い肉弾戦で戦っているリリィのエネルギー消費の方が圧倒的に高いのだ。


「リリィ……まだ行けるか?」


「……行けるか行けないかじゃない……行かなきゃ……でしょ?」

リリィは額に汗を浮かべつつ笑顔を作ってみせた。



ローレンツは顔を顰めた。


───確かに、リリィの接近戦を自身が射撃でサポートする事でここまで来れた。


ただ、これはリリィの高い接近戦能力があればこそで、彼女だよりの戦術であることは否めなかったから。


「……ここは俺が突破口を開く。


リリィ、君は少しでも力を温存するんだ。


……いけるかロゼッタ?」


『……いけるかいけないかじゃない。行かなきゃだぜお兄ちゃん?』


「いちいち……復唱するな!」


ローレンツは叫び敵のヘイトをあえて稼ぐとシールドを構えながら無人機に突撃していった。


無数の弾丸に晒されるローレンツの背中を見てリリィは歯を食いしばる。



先ほどからなるべく少ないエネルギーで戦ったつもりだったが、見積もりが甘かった自身を戒めた。


そしてリリィはミレイナが見せた瞬間的なエネルギーの使い方を見様見真似で再現してみる。



エクゾスケレートはエネルギー操作の仕方が初期型のメカニカルワルキューレに近く第二世代のミレイナ達の様には上手く出来ないが、それでも今、目の前で道を切り開こうとするローレンツを助けたい。



その一心でリリィはデルズキー超高周波ブレイドを構え直す。


先ほどの戦闘よりもエネルギーを送る箇所を更に局所に限定し限界までエネルギー消費を抑える。


───防御力はゼロで構わない。


敵の攻撃はローレンツが守ってくれる。



そう信じ───




「今だリリィ!!」



ローレンツの叫びに呼応しリリィは膝にエネルギーを集中させるとそのまま壁を蹴る事で加速する。



リリィが蹴った壁は激しく歪み───



ローレンツに押さえつけられた無人機とその後ろの扉は、同時に両断された。



その勢いのままリリィは最後の部屋に突入した。


「……だ、大丈夫ですか?……あなた達をティターニアから助けに来た……メカニカルワルキューレ、です。」


自分が思ったよりも息が上がってしまっており絶え絶えになってしまった。


更にリリィは思わずその場で膝を着いてしまった。



科学者達は扉をぶち破って登場したリリィに困惑しつつも疑問をぶつけてきた。


「助けるだって……?君がメカニカルワルキューレなら我々がティターニアで何をしてきたか知っている筈だ……


我々はここで彼女達……沢山の命を奪って来た。


それに、家族の命を守るためにここで働いている。


……だから逃げる事は出来ない。」



一人の科学者が苦しげな表情で顔を伏せる。



自身のエゴの為に大勢の命を奪う選択を選んだ科学者達。



───確かにそれは許されるべきではないのかも知れない。



しかし───



「……あなた達に……そんな選択を強いたティターニアは……私達メカニカルワルキューレが倒します。


この、命にかけても」



彼らだってただ家族を守りたかったのだ。



家族を守る為に己の出来る事をする。




……そこに守る為にと武器を握った自分との違いは無いはずだ。




「貴方方のご家族の安全は我らアトラスが保証します。


既にアトラスはあなた達の家族の身柄を確保している。」


扉からリリィの隣に歩いてきたローレンツがリリィに手を貸しながら科学者達に呼びかけた。


それは簡単に言えば脅迫でもあった。


家族の安全は既にティターニアの元からアトラスに有るという。



「……そうか……ありがとうメカニカルワルキューレ、そしてアトラス……」



しかし、二人の表情を見て科学者達は確信した。


家族はもう安全なのだ……と。



リリィはローレンツに礼を言うと立ち上がった。


「では……皆で脱出しましょう!……格納庫まで、私達が案内します!


───あなた達を誰にも傷付けたりさせませんから!」



武器を杖の様にしながらも高らかに宣言したリリィの姿はまるで、遥か昔に語られた童話に出てくる少女……



───導きの聖女を連想させた。

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