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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第122話 大事な事


「要人救助……ですか?」

リリィはソーマの発した言葉を復唱した。


国連事務総長が直々に、このタイミングで依頼してくるのだ。きっとこの現状を打開する為に欠かせない人物なのであろう。


「あぁ……ガドルの追手から逃げていた僕だけど、本来の目的はこっちだったんだ。


ティターニアに拉致された科学者達と国連の穏健派議員の救助……それをアトラスに依頼する手筈だったんだ。


……この依頼の件はベルにも共有してあるから

後で通達が有ると思うけど、実働する君達に直接伝えたかった。


───けど、今はこんな状態……今はアトラスの負傷者の手当てが最優先事項だけどね……」



ソーマは周りを見渡し眉間に皺を寄せる。



「……ガドル……思想は違えど平和を願う気持ちは同じだと思っていた……本当に思っていたんだ。」


リリィもソーマの独白を受け、辺りを見渡して歯を食いしばる。



ガドルからしてみれば、アトラスもメカニカルワルキューレも国連の関与していないただの武装勢力であり、世界から排除すべき危険分子という扱いなのだろう。



そして自身にとって邪魔な存在を自分の手を汚さない形で世論をメカニカルワルキューレ糾弾という形に誘導してみせた……



今の自分達に必要なのは力だけでなく、きっと民衆に呼びかけることのできる、そんなもの……


人々の思いを現在の排他的思考では無く、もっと他の形にしなければならないだろう。



───ただ、リリィにはそこから先が思い浮かばない。



リリィは振り返るとソーマに問いかける。

「ソーマさん……世界の全てが敵の状態で、皆から悪だって思われた状態で……私達は、このまま突き進んでも良いんでしょうか……」


リリィはこれまでも全力で戦火を駆け抜け敵を倒してきた。



他のメカニカルワルキューレだって、そこに迷いはもう無い。



しかし───後どれだけ自分達は戦えば良いのか



何時この戦いが終わるのか……そもそも、武器を振るう事が最適解なのか───



瓦礫の山を見てしまうとどうしても考えてしまう。


それでもリリィは自身が戦う事をやめられない事を、本人が一番理解していた。



守る為には相手と同じ、武器を取るしか道は無いと……理解出来るからこそ、否定したかった。



リリィが思い詰めていた時


ソーマの元を離れていたトニオが戻ってきたかと思うと、会話の内容を聞いていたのだろう。そのまま会話に割って入ってきた。


 

「君達は君達のまま、メカニカルワルキューレとして戦えば良い……と思う。」


トニオの言葉にリリィは顔を上げる。


「でも……っ!


私達は……私は……これまでだって戦ってきたのに……結局はガドルに悪だって言われて、それを皆は受け入れて………」



トニオはリリィの言葉を遮るように被せる。

「───世界がどう言おうと、ガドルがどう画策しようと……困っている人を助ける為に傷付き苦悩しながらも武器を取り、誰かの笑顔を守るというメカニカルワルキューレの……君達の在り方。


その───守る為に戦う姿は、どんなプロパガンダよりも、どんな言葉よりも強く民衆の心を打つ………今回の君の戦いを見て……俺は……思ったんだ。


だから、男として……大人として無責任で、申し訳ないのは分かってる。


───だけど、君達のあの輝きに、世界の未来を賭けたいと、思ってしまったんだ。」



「僕からも、改めてよろしくお願いします……僕だけでは、きっと世界を救えない……


世界には君達メカニカルワルキューレが必要なんだ。……だから、どうか」

そう言うとトニオとソーマは頭を下げてきた。


トニオは自分達メカニカルワルキューレの在り方に疑問を抱いている側だと思っていたから、そのトニオからの言葉に思わず呆気にとられてしまう。



そして、唐突にリリィの脳裏に少女のシルエットが浮かび上がる。




まるでノイズだらけの少女との会話……だけど


『君は……違うのか……?私と……』




『うん………私は、ヴ……キ……ーみたいに全部助けようなんて出来ない。




でも……皆の笑顔を守るって誓ったの。




もちろん、貴女の笑顔だって守りたい……




だから、そのために戦う、戦い続ける。




───それが、私達……』




「メカニカル……ワルキューレだから……」

リリィはポツリと零す。


「そうだった……私、誓ったんだ。


もう、迷わないって"あの娘"に……」



リリィの頬を一筋の涙が伝う。


 

───それは儚い夢の残滓。



しかし確かに紡いだ約束の記憶。



「ありがとうございます。トニオさん……私、大切な事を思い出せました。」



リリィは自身の手を見つめてそっと握りしめる。


そしてゆっくりと前を向いた。



───きっと、未来は誰にも分からない。



けど、明るい未来を夢見ていたのに果たす事の出来なかった彼女の儚い思いを、ちゃんと受け止めたから……



「ソーマさん……その依頼、私達メカニカルワルキューレが引き受けます。」



既にリリィの目に迷いは消え失せていた。




その時、リリィの元にハカセからメッセージが届いた。

リリィの新たな力の設定がやっとこさに詰まったぜ……!

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