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異世界人は平和ボケしてる。



 翌日。

 昨日の夜も遅くまで盗賊共が捕まえた女でワイワイやっていたせいであまり眠れなかった。


 現在奴らは街へと繰り出している。

 捉えた商人を奴隷にするらしい。

 朝まであんなに騒いでたのに元気なもんだぜ。

 それにしてもあの女も売られるのか。あんなに輪姦れて売り物になるのかね?


 ナイトハンティングの収穫はゴブリンが4匹。

 2匹が群れていたが危なげもなく倒していた。ズズが弱ったふりをして2匹を誘い出しスライムに襲わせるなんて教えてないのに自分たちで考えて実行していた。


 これで魔石は12個。

 全部スライムにした。


 これでこの家には15匹のスライムとヒートが潜んでいることになる。


 案外バレないもんだな。


 半分は森に、半分はアジト内やアジトのある洞窟内に潜んでいる。


 赤のポイントが10を超えたのでさらにヒートに振り分けてやると、完全に赤くなった。


 ステータスはこんな感じ。




 名前:スライム

 種族:レッドスライム

 属性:火、水

 所属:ケイ

 称号:召喚獣


 戦闘:47

 支配:0


 総合:72




 戦闘力は俺たちの中で一番強い。


 難点をあげれば赤くなったことでバレやすくなったことか?


 発光とはしてないから暗闇になればバレないと思う。


 体温が結構熱くて、粘液を飛ばすこともできるらしい。

 酸性で熱を持っている粘着性のある体液だ。


 なかなか凶悪で悪くない。


 しかし戦力的にはまだ足りない気がする。


 盗賊が護衛を倒した時に得られたゴールドは平均して10。

 これはゴブリンの3倍だ。

 単純に戦闘力にしたら恐らく100くらいだろう。


 そんな護衛と戦って勝てる盗賊なのだから少なくとも平均80とかそこらへんだ。


 ボスは120くらいありそう。


 盗賊12人とボスを合わせて敵の戦力が合計1000だと仮定する。


 俺の現在の戦闘力は528。

 まだ半分しかない。


 余裕を持って戦うとしたら来週だな。


 来週になればグレイウルフの数も増えているはず。

 絶好の機会まで俺は待つ。


 俺は結論を出して眠りについた。

 半分は出かけているとはいえ数人はアジトにいる。お昼は人の気配が動いててあまりスマホを眺めていられる気分にもならないのだ。


 ま、この調子なら余裕でしょ。




     ***




 夕方。

 俺は女の呻き声で起きた。


 目の前で猿轡をさせられた黒髪ショートヘアーの制服姿をした女の子が連れて行かれる。


 1人だけ?


 街で攫われたのだろうか。


 それにしても制服?

 この世界にも高校や中学があるのか?


 不思議に思ってたまたま倉庫に入ってきた犬助に聞いてみた。


「あれは攫ってきたのか?」


 すると犬助は可笑しそうに笑う。


「なんで笑うんだよ」


 なんとなくムカついた。


「くくっ。そりゃあれはお前のお仲間さんだからだよ」


「仲間?」


 つい問い返してしまう。

 仲間ってことは転生者って意味か?

 確かに黒髪だった。

 そういえばここで黒髪ってまだ見てないな。俺、盗賊と捕まった商人しか知らないけど。


「ああ。マヌケ仲間さ」


「は?」


 マヌケとだけ馬鹿にしてさらに笑う犬助に腹が立つ。


「あいつもな、おめーみてーに俺たちに手を振って捕まりにきたんだよ」


「そりゃマヌケだ……」


 どっかのマヌケとそっくりですね。

 ほっとけ。


「マヌケだがなかなかの上玉ってんだ。今夜も寝れねーな。げふふ」


「ちっ」


 俺は汚く笑う犬助に背を向けて寝っ転がった。


 黒髪ときて他人に警戒心のない日本人っぽさ。

 恐らく転生者だろう。


 少し気になる。


 けどその程度だ。


 俺に助けるなんて選択肢はない。


 彼女もこの前の商人の連れの女性のように犯されて売られるのだろう。


 俺は耐える。


 恨まないでくれよ。

 来週には仇をとってやるからさ。




     ***




 盗賊たちは案の定酒を飲み始めた。


 街で買ってきた酒を早速開けているらしい。

 今日は上玉のメインディッシュが控えてるからな。酒も進むさ。


 クソが。


 前回と同じく盗賊が盛り上がってきた頃に、ボスが地下牢獄へと入っていった。


「いやいやいや! 何すんの! 離してっ!」


 しばらくしてから抵抗する声が聞こえてくる。


「なんでなんでなんでこんなことになんのよ! 嫌よ! 初めてはロマンチックにって決めてるの! エロ同人みたいになんかなりなくないっ!」


 騒がしい声が段々と近づいてきた。


「やめて! 痛いから離して! お願いだから!」


 ボスが地下牢獄から右手だけで例の少女を引っ張ってくる。

 少女は必死に抵抗するも、引っ掻き噛みつき引っ張りと全く効果がでていない。


「お願い誰か助けて! あっ! あなたもしかして日本人じゃない!? 助けてよ!」


 目の前を引っ張られていく彼女に声をかけられる。


 うん、こいつ転生者だ。


 頭が平和ボケして残念そうなのが特徴。


 藁にもすがる気分なのはわかるんだが俺も檻の中にいるのは見てわかるだろ。

 助けて欲しいのはこっち。


「私、絢川トモ! もしかして知ってない? 知らない? お願い知らなくてもいいから助けてぇ!」


 突然名乗られても聞いたことのない名前だ。

 あれ、でもなんか聞き覚えのある声だ。

 気のせいかな。


 首を傾げているとボスとトモが倉庫から出ていき、音を立てて扉が閉められる。


 たくっ。

 人に助けなんか求めるなよ。


 胸糞悪くなるだろうが。


 俺は扉に背中を向けてスマホを開いた。


 彼女の悲鳴と盗賊の歓声をできるだけ耳に入れないように意識する。


 なんとなく開いたのはコミュニティ。


 フレンド欄の検索窓にトモと打ち込む。


 特に意味はなかった。


 他にやれることもないから、なんとなく気になったものを調べようとしただけ。


 該当は一件だったのですぐにわかる。


 彼女のステータスはこんな感じだった。




 名前:トモ

 種族:人間

 職業:獣刻印師

 所属:

 加護:

 字名:

 称号:転生者


 戦闘:21

 資金:36ゴールド

 支配:0


 総合:43




 獣刻印師?



今日中にこのまま盛り上がりまで行きます。後2話投稿予定。

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