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プロローグ
16歳。
まさかこの歳で、一人で街の外を歩ける日がくるとは思わなかった。
真新しい硬い革の靴が、地面を踏みしめる。ただじゃりっと音がしただけなのに笑みがこぼれてしまう。
朝日が新緑を煌めかせている。その眩しさに、思わずグローブを着けた手をかざす。
どこまでも続くような緑の草原を、今、青年が走り出す。
-緑の街・セラトン-
緑であふれる保護地区の除去師育成学校。
16歳で入学した新入生達の初めての授業は、黒髪の青年を中心に静寂に包まれていた。
その青年は訓練用のストレングの付与された動物の人形を、信じられない気持ちで見つめていた。
「...残念ながらカイ。あなたはストレング除去の才能がなさそうです」
教師の声に顔をあげる。数少ない3人の同級生から哀れみの視線が送られているのがわかった。
生まれてすぐの検査でストレング値0だと分かってからずっと、除去師になるレールを敷かれてきた。なのに、なぜ。村のみんなになんと言えばいいだろうか。
そんな事ばかりが頭を巡る。
今までの礎が、瓦礫と化していく。そんな感覚に自身の膝すらも崩れそうになった。
呆然としているカイに教師は諭すように言葉を紡ぐ。
「何か理由があるはずです。精密な検査を受けてみましょう。」
カイはただただ頷くしかなかった。




