第十二章 殺されるかもしれない
お久しぶりです、『分け闇のハコ』第十二章です!
忙しく、なかなか続きを書けずに申し訳ない…。
ハコ達は、アルケミーとの戦いを通じて、自分達の力や、運命を突きつけられます。お楽しみ頂ければ幸いです。
「ロック」
ハコの後ろから、アルケミーの声がした。振り向こうとしたハコは、身体を光の縄に縛られ、アルケミーに蹴られて地面に横になった。そんなハコに、しゃがんだアルケミーは低い声で囁く。
「その技は使わない方がいいって言ったろ。人殺しになりたいのか?なにより…」アルケミーはハコの顔を上げて続ける。「あんな風になりたくないだろ?」
見上げた先では、杖から出た赤い光線が、空中で止まっていた。すると、空から無数の手が現れた。手は、光線を掴むと、まるで雑巾を絞るように捻り上げ、やがて光線は引きちぎられて霧散した。その破片を、無数の手は拾い集め、掬い上げてまた空へと帰り、消えて行った。
アルケミーを除く3名は、呆然とその光景を見ていた。ハコの顔から手を離し、立ち上がったアルケミーは空を見ながら言う。「あれは、暴走した力を止める為に開発された、封印魔法だ。普段は見えないし、何もしてこないが、ラススヴェート学園と、君らが乗ってきた汽車には、すべての空間にあの魔法が張り巡らせてある。あまりに強力な魔力の使用が必要だから、準備に時間がかかったが、あれが出来たおかげで、訳ありな君らも入学できた訳さ。ただ、力の使い方には、注意した方が良い。基本的に、あの手は力そのものに行使されるが、その力を、本人にも周りの者にも止められないと判断された時は…」「…時は?」震えた声でハコが聞く。「…力の行使者が、あの手で絞られて殺され、力と一緒に封印される」アルケミーは、そう答えた。
ハコ達は震えた。自分達の力について、彼らはよく学び、知っているつもりだった。だが、それは誤りだった。自分達が背負った力は、あれほどの魔法を使用してまで止めるべき力で、もし暴走したら殺されるのだ。あまりの運命の重さと恐怖に、パワーの目からは涙が溢れ、やがて力なく膝をついた。
「じゃあ、続きだ。次に力を示すのは誰だ?」
アルケミーは、視線を空からアルクとパワーに移した。透明魔法で、見えてないはずなのに。
もう、パワーは動けなかった。何らかのやり方で、力を示さないと強制退学となり、魔法騎士団になる夢が叶えられないのは分かっている。けれど、力を見せるのは怖かった。夢を叶えるのが、こんなに怖いなんて思ってなかった。
「…舐めるなよ、俺の夢を殺されてたまるか!」アルクの声がした。はっ、とパワーとハコは声がした方を見る。アルクは野原の草をむしり取ってから透明魔法を解除し、姿を見せながらアルケミーに走りながら近づいていく。「錬成眼!」アルクは、そう叫んだ。
すると、アルクの両目に、赤く光る錬成陣が浮かび上がった。それを見とめたアルケミーは距離をとる。
アルクは一度強く目を瞑り、数秒後に再び目を見開く。それは、錬成眼におけるリスクー戦闘中に必ず目を閉じる必要があり、閉じた時間が長ければ長いほどリターンが大きいーであり、リターンとしてアルクの手にあった草が、剣に錬成された。アルクは剣で、怒涛の勢いでアルケミーに切り掛かり、アルケミーはそれらを全てかわす。
「…その歳で、開眼したのか」かわしながら、アルケミーは小さく呟く。それが聞こえなかったアルクは、剣を振り続けながらアルケミーに問う。
「あんた、さっきの手は、暴走した力を、その持ち主と、周りの者が、止められないと、判断した時に力の行使者を殺しにくる、って言ってたな」
「ああ、そうだよ」
「…じゃあ、あの手は、あんたが、あの馬鹿強い力を止められると判断し」
アルクは、最後まで言い切れなかった。アルケミーが、足で剣を折り、その勢いのままアルクを蹴っ飛ばしたからである。重い蹴りが入り、アルクは動けない。「そうだよ、止められる。今の君らなら、魔法なしでも私は殺せるよ」静かに、アルケミーは言った。「全員戦闘不可だな。では、君らの結果を伝える」




