第一章 楽な仕事
作者処女作、4人姉弟が異世界のロイ=ウェルに導かれ、名前のない女王と戦う『ロイ=ウェル』をお読みになった事がある方、お久しぶりです!そうじゃ無い方、はじめまして!
またまた、思いついたのでお話を書き始めてみました。今回は、魔法世界を支配しようとする『闇の王』と、それに抗う『魔法騎士』の子供達と大人達の闘いを描く物語です。お楽しみ頂ければ幸いです♪
自分ほど、楽な仕事をしている者はいない。それが、ヒル氏の自慢だった。この物語は、そんなヒル氏が、厄介な仕事を引き受けることになった日から始まる。
その日、ヒル氏は意気揚々と村を歩き回っていた。村で彼を知らない人は居らず、彼を見つけるとみんな頭を下げて敬意を示すため、ヒル氏は何の用がなくてもよく歩き回っていた。彼の仕事はとても重要な仕事で、それを一手に担うヒル氏やその家族は、村人から尊敬されていた。
彼の仕事は、代々続く封印師だった。世界に害を与える者を封印し、その封印が解かれることがないよう、守るのを生業としており、ヒル氏はその第50代目だった。
ただ、村人達は知らなかったが、彼はほとんど仕事をしていなかった。第50代目ともなると、もう危険な存在は全て優秀な先代が封印し、封印が解かれることが無いように、入念な封印がされているため、ヒル氏がやることといったら、定期的に封印物を確認し、たまに掃除をするくらいのことしかなかった。
もちろん、それも立派な仕事ではあるが、ヒル氏に対する尊敬の念と比例することの無い量には違いなく、だからヒル氏はこんなに割りの良い仕事は無いと、今日もご機嫌で歩いているのである。
だが、今日のそれは長く続かなかった。村の人達が自分に頭を下げるのは変わりなかったが、その深さが普段とはまるで違っていた。自分の命を預けるような勢いで、次々と村人達は頭を下げた。そして、頭を上げた人は、みな期待に溢れた、縋り付くような目で、ヒル氏を見つめた。
一体なんなんだ?どうしたんだ、みんなは。訳が分からず、途方に暮れながらもヒル氏は歩き続けた。すると、村長とその一族が向こうからやって来るのが見えた。一族の者たちは、「やっと終わった!」「我々の勝利だ!」などと叫び続けていた。やがて、村長が率いた御一行は、ヒル氏の前で止まった。
「おお、ヒル氏よ。探しておったぞ」村長は、ヒル氏を見ると言った。「そちに、重要な任務が魔法騎士団長より与えられたのじゃ。なぁに、そちならば、何の問題も無いわい。なんたって今までずっと守ってきたのだものな。なぁ?皆の者」
村長の一族は、それに歓声でもって応えた。みな口々に話し出し、ヒル氏を取り囲んで揺さぶったり、抱きしめたりした。そんな騒ぎの中で、ヒル氏は何とか村長に近寄り尋ねた。「一体どうしたんです?任務とは何ですか?」
ヒル氏の問いに、村長が答えた。その答えは、ヒル氏から今までの日常を全て奪い去った。
「『闇の王』が、『分闇の箱』によって封印されたのじゃ!そちは、これから闇を分けし五つの封印箱の、一つを守るのじゃよ」




