第八話・扉を意地になって開ける
「......ふう。取り敢えず愚痴や後悔は後回しにしておくとして...まず今はここから外に脱出できる場所を探し出すとしますか」
俺は休憩の為に座っていた少し大きめの岩から立ち上がると、再び冒険の続きを始める為に移動を開始する事にした。
「しかしあの城の兵士がこいつを持っていてくれて本当に良かったぜ。おかげさまで暗闇がバッチリ見え見えだ!」
俺は手に持っている光で闇を照らすマジックアイテムに頬ずりすると、兵士にではなくこのマジックアイテムへ感謝の念を贈る。
そんな感謝を贈りつつ、俺はダンジョンの奥へ奥へと進んで行く。
ダンジョンの中をさまよい歩く事、幾数時間。
「な、なんだ...!? この大きな扉は......っ!?」
俺の目の前に何十メートルもあろうかという大きな扉がそびえ立っており、その扉のあまりの大きさに圧倒されてた俺は、思わず後退りしてしまう。
「この扉...開く......のか??」
......ゴクッ!
「あ、開けてみちゃおっかな......?」
俺は好奇心が奥底から沸々と湧き出てくると、この大きな扉を開けるべく両手を扉にピタッと押すように当てる、
そしてめいいっぱい力を込め、この大きな扉をググッと押していく。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぅぅぅぅうううっ!!! お、重い!? 見た目通り、この扉めちゃくちゃ重いぃぃぃいっ!!?」
や、やっぱ...ぐぬぬぬ...こんな大きな扉...ぐぬぬぬぬ......お、俺みたいな...おっさんが...ハアハア......あ、開けられるわけ...うおりゃああああ...ない...ぐぬぬうおおお......か.........っ!!?
好奇心よりも現実心が勝とうしていたその時、俺の耳にズゴゴ...と言う音が耳に聞こえ入ってくる。
こ、この音はこの扉が開いている音!?
「おぉぉ! す、少しずつだけど...と、扉が動いているって事かぁ!?」
な、なら......さぁぁぁああっ!!
「ぐぬぬぬぬ、ぐぬぬぬぬぬぬおおおぉぉぉぉぉぉおおぉぉおおおっっ!!!」
扉が少しずつだが開いている事に気付いた俺は、両手に最大の力を込め、脳の血管が切れそうなくらいの気合いで大きな扉を開けるべく押していく。
それから大きな扉を死に物狂いで押し続ける事、約数十分。
「ハァハァハァハァハァ......や、やっと...やっと開いたぁぁぁぁぁあっ!!」
苦労してやっと開けた扉を見て、俺は両腕を天へ突き出して喜びの雄叫びを上げる。
それからしばらく喜びにうち震えていた俺だったが、ドンドン時が経つにつれて、俺の心が「意固地になった後に起こる虚無感」でいっぱいになっていた。
「れ、冷静に考えてみたら、なんで俺こんな馬鹿デカイ扉を開けようと思ったんだ?」
よく見たらこの扉、悪魔や天使を叩き潰している邪悪っぽい竜の絵が刻まれてあるじゃん!?
めちゃくちゃ怪しいにも程があるじゃんっ!?
「数分前の俺! もっとちゃんと観察して行動しろやっ!!」
好奇心に負けたのを棚に上げた俺の心が、この扉を意固地になって開けようと思った数分前の俺を責め立てる。
「さて、ここからの脱出口を探す行動を再開するとします............ハッ!?」
開けた扉の隙間からチラッと見えてくる風景を目にした俺は、先程までの後悔と虚無感が一瞬でポンと吹き飛び、好奇心が再び沸き上がってくる。




