第七話・だから、のんびりと冒険する事にした
ここはギガン城から数キロ離れた場所にある大草原...。
「くうう...!大自然の心地良い香りが、俺の鼻口をくすぐってくるなぁ~♪」
地平線が見える程広い、その大草原の中央に立って思いっきり息を吸い込むと、
自然が与える安らぎの香りを、タップリ身体中で体感する。
「ふう...しかし何とか、あの城を抜け出せて良かった。まぁ...抜け出せたと
いうより、あの悪意の塊の悪魔城から必死に脱出した...この表現が正しいか...」
まぁ...どっちでもいっか、そんな事。
「それより今は、疲れきったこの気持ちを回復させる為、どこかでゆっくりと
休憩を取りたいなぁ...」
えっと...どれどれ......
あの城の騎士隊長らしき者から失敬した、この【マッピング】と呼ばれる
地図が表示されるアイテムによると...
この草原から東に数キロ歩いて行った場所に、リタイと言う大きな町があると
表示されている。
「よし...取り敢えず、このリタイの町に向かって宿を取り、そこでしばらく
英気を養ってから、その後の事を考えよう...」
その間、リタイの町の名物を食べ歩いたり、武具と道具の調達をしたりと
のんびりしたライフを楽しむとするか。
何せ、お金はあいつらのおかげで、いっぱい潤っているしねぇ~♪
俺はあの城にいた兵士や神官からお詫びとして頂戴した、皮袋いっぱいに
入った硬貨をジャラジャラと鳴らす。
「しっかし、この地図アイテムの【マッピング】って便利だな。俺の現在地が
表示されているし、記号でその周囲の場所も表示されているし...。おっ!
ここを押すと、少しだけ先の場所も見れるんだ?」
俺はマッピングを使って、今の現在地...そして少し先に何があるのかを
調べてみた。
ん...このリタイの町のちょっと離れた場所にある、洞窟マークみたいなものは
なんだろ?
えっと...何々......『試練のダンジョン』...って書いてあるな?
と言う事はつまり...この場所にダンジョンがあるって事!?
「おおっ!ダンジョンかぁ~!ふふふ...この異世界に来て、ダンジョンと
聞いたら、行かない手はないよな!」
ふ...待っていろよ!まだ見ぬ、ダンジョン!
そして...沢山のお宝さんっ!!
◇◇◇◇◇◇◇
「そしてダンジョンに入って、この上にあった宝箱を開けようとした結果が、
この有り様ってわけだ......」
はぁ...こんな事になるんだったら、素直に真っ直ぐリタイの町に行っていれば
良かったなぁ......。
俺は目線に映る天井の穴を見ながら、心の中で無念の言葉を吐くと、後悔の念が
ドンドン込み上げてくる。